道彩展によせて

会員
青 木 美 樹

 とても幸運でした。道彩展と出会えたことは。自由に絵を描ける喜びは、思い切り手脚を伸ばし、心の底から深呼吸するような快さでした。この会は、物の見方、考え方、価値観にまで幅を与えてくれました。数年は、そのうれしさと仲間の温かさとに守られて、夢見心地ですごしました。
 でも次第に、その「自由」が重くなって来たのです。ひとりよがりと個性とは違います。単に我を通すことと、自己主張ともまったく異なります。そのボーダーラインは何処にあるのか? そもそも一体絵とは何なのか?
 これらの疑問が、いつもいつも胸中を去来します。王道はないけれど、それを知る唯一の方法は、自分自身を丸ごとぶつけ、試行錯誤しながらも「創作し続けること」なのかもしれない。刻々と変化して行く宇宙の片隅に在って、一瞬の時を切り開いて、空白の大地に己の世界を創るという作業は、その時その時の生き方を問われ、試されて居るということなのかもしれない。最近、漠然とそんなことを考えて居ます。
 会の為に役立つことの出来ない非力さを、いつもふがいなく感じ、様々な過程を経てこの会を創立して下さった諸先生、諸先輩、この会の運営に当たり、貴重な時間を割いて地道な努力をして下さっている方々に、この紙面をかりて、心からの敬意と沢山の感謝の気持ちを贈りたいと思います。
 最後に、「道彩展」が既成概念に依ることなく、多様な創造性を尊重し、佳き絵画を追求する会としてますます発展することを心中より強く祈念いたします。



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