シミュレーターばかりではいけません
ProToolsなどのDigidesign製品登録ユーザーに送られてくる、有益情報満載の雑誌「DIGIZINE」
下記からPDFをダウンロードして誰でも読む事が出来ます。
DIGIZINE
http://www.digidesign.com/index.cfm?navid=6&langid=5&
さて、ちょっと気になったのがPDF版の29ページ(雑誌では54ページ)
guitar tools『オールドなサウンドの生み出し方』という記事に関して。
この記事を書いたジョー・ゴア氏の考え方に、私も殆ど賛成です。
私自身、ギターサウンドの全てを(ボディやピックアップにいたるまで)モデリングで作っているのですから。
しかし、音楽クリエイターを志す若い人達に勘違いして欲しくないのは「・・ 現在、ギタリストはMboxへ直接プラグを挿し、全てをPro Toolsの中でプロセスしていますが・・(本文より)」という部分からの数行です。
多くのギタリストにとって、ギターとアンプは両方で一つの楽器であり、スピーカーキャビネットから出てくる自分のサウンドを体で感じてこそ、実力が発揮できます。
モデリングで最終的な音を作った場合と変わらないからといって、プレイヤーが良いプレイをできない(本気を出せない)状況で演奏させたのでは、本末転倒もいいところでしょう。
インターフェイスに直接プラグインさせ、レイテンシーを我慢させ、プレイヤーが本当に納得したわけではない演奏を録音し、それを音質面だけは完璧に仕上げた所で、それが何になりますか・・・。
この方法で十分という場合も、当然あります。
プリプロ段階等では、コントロールルームで直接コミュニケートしながら録音できるので、かえってこの方が良いでしょう。
ですが、無理強いは禁物。プレイヤーの音に対するこだわりは尊重すべきです。
演奏者の繊細な感覚をなめてはいけません。
我々は(・・ええと・・私も仲間に入れて下さい・・)ギターを弾いてスピーカーから出てくる音が、血の通ったアナログのままの音であるか、一旦数値化されてしまって計算で作られた、完璧にそっくりな音であるかの違いも、体全部で感じ取るのです。
録音されたものを聞き分ける事は、たぶん私たちにもできないでしょう。
が、実際にプレイしている時には、シールドの違いでさえも判るものなのです。
こうした事を理解できない人が、どんなに録音や編集の技術を身につけた所で、心を打つ血の通った音楽を仕上げられるとは、とうてい思えません。
楽器を演奏しない音楽クリエイターも、何か一つでも楽器に親しむべきだ、と私が度々言うのは、そういう事なのです。
さて、話の流れからついでに書いておきますが・・。
今から何か始めるならば、鍵盤楽器ではなく、振動体に直接体が触れる楽器が良いでしょう。
鍵盤楽器は、たとえアコースティックピアノでも発音構造にメカニズムを持っていますから、体で直接楽器をコントロールしているとは言えません。
だから表現力が云々・・などと言うつもりは毛頭ありませんし、今はそういう話ではない事くらい解ってもらえるでしょう。
発音を直接体で制御する楽器に親しむ事が、音楽制作に関わるものとして大切な感覚を磨いてくれます。