Opcode StudioVision に関して
Opcode社はコンピュータによる音楽制作の分野に偉大な足跡を多く残しました。
初めてピアノロール画面を備えたシーケンスソフトがVisionで、その後、これも世界で初めてMIDIとDigitalAudioの統合環境を備えStudioVisionへと進化しました。
Standard MIDI File(SMF)形式を開発、提唱したのもOpcode社ですし、また、MacOSに柔軟なMIDI管理機能を追加するOMSを開発、その技術は現在のMacOSXに於けるCoreMIDIに引き継がれています。
私が使い始めた時のStudioVision 1.2から、最終ヴァージョンのStudioVision Pro 4.5まで、基本的な構造、操作概念は一貫していました。
特に「Sub Sequence」という、Cubase等では絶対不可能なとんでもない機能(というより基本構造)を持っているのが特徴です。
楽曲データの固まり(Cubase等でのProject)はSequenceと呼ばれ、一つの楽曲ファイルはA~Zまで26のSequenceを持つ事ができます。
当然それぞれにテンポや拍子情報を持っていますが、Sequence は SubSequence として、他の Sequence内部に組み込む事が可能だったのです。
つまり Sequence の入れ子状態です。
連結する事も、平行して走らせる事も可能で、それぞれが個別のテンポでも、最上階の Sequence に同期する事も自由でした。
例えば、同じフレーズを繰り返す二つのトラックを用意し、一方はテンポ120、もう一方は120.05で平行して走らせ、だんだんとずれていく、スティーブ・ライヒのような音楽も、MIDIトラックだけで可能だったのです。
また、任意の Sequence を鍵盤に割り当て、楽曲のパーツとしての Sequence をリアルタイムに「弾く」ことすら可能でした。
これらの機能は、制作者が " あらゆる可能性を試せるように " 用意されていました。
それは " 誰でも簡単に流行の音楽をお手軽に作れます " などという考え方の、対極に位置するものです。