井上靖(3)

公開日: 01/04/2008 12:08:10 | カテゴリ: 未分類

井上靖は歴史を徹底的に調べる中で見つけた(あまり知られていない人物)や(なにかひっかかる物)をとりあげて小説の中心に据えるのが得意です。

「天平の甍」で、鑑真和尚を日本に招請した日本の学僧、普照 は唐招提寺の古い記録にその名があるそうですし、「敦煌」の越行徳も、敦煌の石窟から実際に発見された寄進録を元に、イメージを膨らませて作り上げた主人公だそうです。
『ここに大量の教典を隠した人物に何があって、何を思ったのか』
そう考える所からあの壮大なスケールの作品が生まれたのでしょう。

晩年の名著「孔子」に取りかかっていた頃、癌の手術をした際、集中治療室内で無意識の井上靖は、うわごとで(仁)の思想に関する講議を延々と続けたとか。
いかにも井上靖らしいエピソードです。

「孔子」出版後しばらくして再発した癌によって亡くなる時、その最後の言葉は

「人が死ぬというのはこういう事なんだね。
・・・・に(中国の古い文献らしいが不明)こういう場面が書かれている。
後で調べておきなさい」

というようなものだったそうです。
(残念ながら本が手元に無いので、正確な引用ではありません)