道具の「位置付け」を理解して使って下さい
DTM音源だけを使って作られた音楽は、たとえ非常に緻密な演奏データであっても、音としては平面的で深みのない、いかにも「打ち込み」風になってしまいがちです。
こうした話ではすぐに、音源が持つ楽器音サンプルの質の善し悪しが言われますが、既存の楽器のシミュレーションを用いない、所謂テクノのようなスタイルであっても同じように感じられます。
原因は主に二つありますが、まず第一に、作業者の多くが演奏データには気を使っても、音色パラメータ(エフェクト設定、EQなどを含む)のプログラミングには注意を払わない、またはそういう意識がない、という事が言えます。
一台で多くのパートを賄え、エフェクトブロックも内蔵したDTM音源が一般的になる前、シンセサイザーは一台につき一音色、エフェクト等も搭載されていないのが普通だったので、何台ものシンセサイザー、ミキサー、各種エフェクター、EQ、等が必要でした。
ですから、演奏データだけでなく、音そのものを作るのに多くの時間を費やします。
言ってみれば「自分の音楽を鳴らす楽器(の音)を自分で作り、それを磨きに磨いた」わけです。
そうした作業を経て緻密に組み立てられた楽曲に比べ、DTM音源の音色リストから音色を選んで鳴らし、せいぜいリバーブやコーラスの量を調整するだけで作られた音が、平面的でつまらなく聞こえるのは当然です。
せめて「良い勝負」にまでもっていこうとすれば、XGまたはGSの拡張規格までをフルに使って、パラメータチェンジをとことん駆使するしかありませんが、その技術には実際にシンセで音色プログラミングをし、EQや各種エフェクターを使いこなした経験が必要なのです。
それでも最終的にはDTM音源の出力アンプ部から音が出るのですから、その音源のカラー(DTM音源臭さ)からは、やはり逃れられません。
これが第二の理由です。
DTM音源は、楽曲としての完成を目指す場合に使う道具ではない・・つまり用途が違うと考えるべきなのです。
あくまで、GM1、GM2、GS、XG、といったフォーマットで作成された楽曲データの「再生確認用装置」である事を認識しておくべきでしょう。
この場合、仕事のゴールは「演奏データの完成」であって、音質を含めた「作品としての完成」ではありません。