Don't mind のおまじない
「ハンバーガーヒル」という、ベトナム戦争を扱った映画がありました。
望んで来たわけではない戦争の現場で、自分が生きのびる為にも戦わざるを得なかった現実を、米軍兵士達の側から描いた映画です。
この中に、私に強烈な印象を残しているシーンがあります。
自分の責任による(と本人は思っている)作戦の失敗で、部下を死なせてしまった下士官が、精神的パニックを起こしている場面。
それをケアしようとする2人の同僚が交互に「Don't mind!」と繰り返しながら、その下士官の手を拳で何度も叩きます。
始めは力なく「Don't mind・・」と相槌を打つだけの下士官が、次第にしっかり頭を上げて、「ああそうだ・・大丈夫、大丈夫・・」と、無理矢理元気になる・・・ではなくて「戦闘続行可能」になる、というシーン。
このおまじないが・・・実は私にとっても非常に役に立ったのです。
現代では、精神的な不調は別に珍しい事ではなく、対処法などいくらでも情報が手に入りますが、二十数年前はそうではありませんでした。
突然、何の脈絡もなく強烈な不安に襲われ、ひどい場合は失心する場合もある、この症状をパニックディスオーダー(不安神経症)と呼ぶ事など知らなかった私は、毎日を深い谷に渡した綱を渡る様な気持ちで生きていました。
医者にかかろうかと迷った時もありましたが、私は何でも薬でどうこうしようとする西洋医学の考え方を、どうしても受け入れる事ができません。
それで結局、自力で不安発作をねじふせる決意をしました。
それはもう、ありとあらゆる事をやりました。
いちいち書いていたら大変なので省きますが、その中でも「Don't mind !」のおまじないは、緊急時の対処法の一つとしてかなり有効です。
『ヤバい・・来る・・』と思ったら、頭の中のもう一人の自分と拳を叩き合って「大丈夫だ!」「ああ大丈夫」「大丈夫に決まってるだろう?」「ああ、大丈夫だな」「大丈夫だって!」「ああ、そうとも大丈夫」・・これを何分でも延々と繰り返しました。
あれは自己暗示というやつでしょう。
谷底に落ちかけている自分を無理矢理引きずり上げる緊急処置です。
けっこう長い戦いでしたが、あやしげな宗教や迷信に迷い込む事も無く、無事勝利を収めました。
今はもう元気なモンです。(ご存じの通り)