井上靖「後白河院」

公開日: 09/12/2008 18:18:29 | カテゴリ: 未分類

私にとって、文学は特別なもので、もしかしたら音楽より好きかもしれません。
その中でも、ヘルマン・ヘッセと並んで最上級に位置するのが井上靖です。
井上靖の作品の中で、唯一、途中で読むのを止めたまま二十数年間ほったらかしにしていた「後白河院」を、先日あらためて読んでみました。

主人公を直接描くのではなく、他者の回想によって人物を描き出す、井上文学ファン(特に歴史小説のファン)にはおなじみの手法が、この作品でも憎らしいくらい効果を発揮しています。
しかし「本覚坊遺文」などよりは、はるかに硬質で、文体としては(手法は異なりますが)「風濤」などに近いと言えるでしょう。

最初に読んだ時、何が気に入らなかったのかは思い出せません。
が、まあたしかに、後白河院という人物は、青年にとって、あまり魅力的ではありませんから、つまらなくなって投げ出したのでしょうね(笑)
20代の私では、井上文学の精緻で重厚な味わいを、本当には理解できなかった、というだけの事でしょう。