もう一つの仏教学・禅学
新大乗ー現代の仏教を考える会
女性と仏教

経典の中の女性差別
- 平川彰氏は、般若経で、無生法忍の悟りを得る説明に女性差別があるとされる(1)。
「不退転菩薩は、三悪道に堕せず、女人身を受けない。このしるしによって不退転菩薩なりと知る(「大品」では、下賎の家に生ぜず。八難処に生ぜず等のことを附加する)。これによれば、女性は不退転菩薩に至り得ないことになろう。」
当時の女性差別の思想を背景にしているが、「女性は不退転菩薩に至り得ないことになろう。」と般若経典(ここの部分は)が言っているとは思わない。女性も、至りえる。そして、女性、男性の区別を超える真の自己を悟ることを、こう表現していると思う。女人身も、男人身も受けないのである。あえて言えば、「仏身」を受ける(自覚する)のである。自己の本質が、男性でも女性でもないことを悟るのが、不退転菩薩になった証拠である。般若経典が、無生法忍の結果得られる境地を「女人身を受けない」という表現にした意味は、こうだと思うのである。
悟る(無生法忍を得る)者は、このことをはいっきり体験的に証得するから、不退転になり、経典などの言葉を疑わないのである。
(注)
- 平川彰「初期大乗仏教の研究」春秋社、昭和43年、314頁。
経典の中の女性差別の考察
| 著者 |
書名 |
発行所 |
発行年 |
註 |
| 平川彰 |
「初期大乗仏教の研究」 |
春秋社 |
昭和43年 |
(1)平川氏 |
(1)平川氏。314頁。
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