今回の選挙結果が表しているのは、少なくとも自民党は自己変革したし、それを国民も評価したということだと思います。この結果を受けて、民主党も変わらざるを得ないでしょう。彼らの敗因は、いまだに55年体制の残滓を引きずっていたことにあったことは明白だからです。
いっぽうで、企業業績も本格的に上向き、景気も「踊り場」を脱したと当局も評価しています。おそらく日本は、バブル後の回復期からほぼ脱したと断じてもよいのではないかと思われます。つまりわれわれは、十数年ぶりに、まったく新しい時代を迎えるとば口に立っているのではないでしょうか。つまり今日、ポストバブル時代が終わったということです。あすからは、また違う時代の呼び方が必要となることでしょう。
その間、個人の意識も大きく変わってきました。「一社奉公」の意識は去り、組織風土も、他者との関係も大きく変わってきました。インターネットの普及で取引のあり方も変わったし、新しい産業も叢生し、大きく育ってきました。M&Aが当然のことと受けとめられるようになりました。このサイトを始めたときから較べても、ビジネスマンの意識改革は大きく進んだので、以前つくったページを読み返してみると古くさく感じられるほどです。
そうした意識変化があったからこそ、小泉首相の姿勢が支持されたのです。「郵政改革支持」は、改革方針への積極的な支持表明でしょう。今回の国民の選択は、小泉劇場の猫だましに引っかかったのではなく、そうした深いレベルでの選択だったと認識するべきです。今回の選挙結果は、「時代の変わり目」をはっきり示していると私は認識しています。
それはおおいに歓迎すべきことです。この変化は、不可逆的で一方向に進む変化だと思います。改革のスピードが早まれば早まるほど、日本の国際競争力は高まるし、それが結果として国際貢献に結びつくとわたしは思います。われわれは確実に前進していると評価することができるのではないでしょうか。
とはいえ、最近都銀に勤める友人と話していてドキッとしたことがあります。わたしは「日本企業も本格的に儲かってきたし、不良債権処理にもメドがついたし、いいことだね」と能天気に言ったのですが、彼は「でもそれだけでいいのかな。結局リストラに依存した体質改善をしただけで、経営者は慢心しているのでは。企業経営者は、次の時代に向けた本気の経営改革に取り組もうという姿勢に欠けているのではないだろうか」と言うんです。
なるほど、わたしですらそういう安堵感を持っているということは、ましてや経営者は慢心していておかしくありません。先進的な企業は、果敢なリスクを取った挑戦的な経営や経営改革を続けています。そういう企業にはメディアのスポットライトが当たっていますが、すべての企業がそうではありません。
新しい時代に突入したわれわれは、ここで油断をせずに、さらに大きく歩みを進めなければならないと思います。