「河東節」「宮古路節」「新内節」などの別の俗曲、あるいは「うた澤」などの端唄・小唄の類も、それぞれ薄物があります。さらにまた「祭文」「くどき」「ちょんがれ」「よしこの」「あほだら経」などを含めれば江戸時代を通じて出版された「薄物」は膨大な数に上ると言えましょう。ここでは、たまたま手に入れたもので、金沢の書肆「近八」の出版した「くどき」の一種、「やんれ節」のものを紹介しておきます。
鈴木もんど 後日の栄 |
おはん長右衛門 | 加州敦木街道 たばこやころし |
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このような薄物は、幕末近くなると粗製乱造の様相を呈してきたようです。それ故あまり珍重されずに反古として扱われ、纏まって残っていません。やはり、これらの俗謡も、江戸時代の庶民文化を知る手掛かりとなるものです。