コラム:低周波発振機の効用 2003.2.25   戻る

オーディオシステムを科学的・物理的見地から構築したい人はぜひ低周波発振器を備えることをお勧めします。
以下のような効用があります。

1. システムの周波数特性の体験とセッティング

1000Hzくらいの周波数で通常聴く大きさに出力をセットして、低音から高音まで周波数スイープすると、当然のことながら装置と部屋の周波数特性がわかります。このとき、特に低音では特性が凸凹なのがわかると思います。スピーカーや家具の配置を変えると特性は変わりますが、いくら変えてもフラットにはならないことがわかると思います。

2. 共鳴体のチェック

 少し出力を上げて周波数スイープすると、もし窓やや調度品で共鳴を起こす箇所があればわかります。ビリつくような所があれば大変有害なので何とかしましょう。

3. 聴力のチェック

 自分の耳の感度の周波数特性がわかります。高音の感度は年をとると随分落ちてきます。あまりがっかりしないでおきましょう。

4. サブウーファーの調整

 サブウーファーを使っている人はメインシステムとのつながりをチェックするのに有効です。 レベル、ハイカット周波数、位相などが調整可能な装置なら低周波発振機を使って正しく調整することをお勧めします。サブウーファーを使うときハイカット周波数を上げすぎないことが重要です。
 なお、スーパートゥイターの調整にはあまり役に立ちません。なぜなら、現在のマルチウエイスピーカーの高域上限は最低20kHzはあると思います。このあたりの音は 3.で分かるように普通聞こえないので、もしスーパートゥイター側から音が聞こえているようならメインシステムのトゥイターとオーバーラップしていることになり正しい使い方とはいえません。

5. 聴く位置での音の変化の体験

 色々な周波数に固定し、聴く位置を変えて見ると、随分音が変わることがわかると思います。高音では首をまわしただけで変わるのがわかると思います。
 ところで、一般の音楽ソースは幅広い周波数スペクトルをもち、当然そのスペクトルはソース毎に異なります。CDを聴くときは音として聴くより音楽として聴くので、あまり意識しませんが、上の体験から聴く位置によっても音質が変化していることが分かると思います。

このような体験をすると、あまり些細なことにこだわってもしょうがないなという気になるのではないでしょうか?

なお、低周波発振機を使うとき注意する必要があるのは、高音(8000Hz 以上)で音が小さくなったからといって、アンプのボリュームを上げてはいけません。下手をするとトゥイターのボイスコイルを焼き切ってしまいます。

ところで、低周波発振器の価格ですが、定価3万円程度からあるようです。変なアクセサリーを買うよりよほど有効な投資だと思います。