■ ロジックIC 4桁LED デジタル時計の製作 ■


 前作のセグメント液晶パネル「SP-521」を使用したロジックIC時計は、室内が暗い時や夜間に表示が見えなくなります。
 今作は、7セグメントLEDを使用して、表示の明るいロジックIC・デジタル時計を製作しました。
 消費電力が多くなるので電池駆動は難しくなりますが、昼夜を問わず視認性が良く、LEDは数字の大きさや色の品種が多いので、お好みで選択も可能です。
 室内の明るさに応じてLEDの輝度を変える、輝度調整(ディマー)回路も搭載しています。


回路の解説
 
1.電源回路

 
 ・5VのACアダプターを使用します。
  (電流容量は300mA〜2A程度の物で、安定化された物に限ります)
 ・LSタイプのTTL-ICを使用しているので、動作電圧は4.75V〜5.25Vです。

2.基準信号 発振回路
 
 ・時刻カウントの基準となる正確な1Hz信号を作ります。
 ・74HC4060は、水晶の発振回路と14段の分周回路(最大1/16384)を一つにまとめたICです。
 ・水晶(Xtal)は、時計用の32.768KHzを使用して、分周器の最終段からは2Hzの信号が出ます。
 ・この2Hzの信号を、さらに74HC393(余りのIC)で1/2分周して1Hzを得ています。
 
 ・この水晶発振回路は、電源ノイズや基板のパターンにより大きく影響を受けますから、
  各パーツはICの近くにまとめて配置します。
 ・周波数カウンターがあれば、TP端子の周波数が32.768KHzに近づくようにトリマー・コンデンサー
  を調整して下さい。
 ・水晶の個体差や電源電圧により、発振が不安定になる場合がありますので、TP端子が
  32.768KHzから大きくずれる場合は、100PFのコンデンサーを取り付けてみて下さい。
 ・周波数カウンターが無い場合は、1日〜1週間の誤差を見ながら、トリマー・コンデンサーを回して
  微調整して下さい。

3.秒カウンター回路
 
 ・74HC390は、10進(2進+5進)の非同期BCDカウンターが2回路入っています。
 ・74HC393は、16進の非同期カウンターが2回路入っています。
  (いずれもクロックの立ち下がりでカウントアップします)
 ・1つめの74HC390で0〜9秒を計数し、2つめの74HC393は0〜5をカウントした後、出力が6に
  なった瞬間にこのカウンターをクリア(リセット)するので、2つ合わせて00秒〜59秒を計数します。
 ・最上位の出力S12(QC)は、次の「分カウンター」の計数信号(1分)になります。
 
 ・時刻の設定時には、[Sec Reset & Hold]スイッチをONにすると、秒カウンターが強制的に[00]に
  固定されますので、標準時刻が00秒になった時点でスイッチを解除します。

4.分カウンター回路
 
 ・秒カウンター回路と同じ74HC390と74HC393の構成で、00分〜59分をカウントします。
 ・最上位の出力M12(QC)は、次の「時カウンター」の計数信号(1時間)になります。

5.時カウンター回路
 
 ・前作のSP-521パネルと同じく、12時間制の構成としました。
  (24時間制の方が回路は簡単になりますが、市販の時計は12時間制が多いと思います)
 
 ・74HC160は同期式の10進カウンター、74HC107はJKタイプのフリップフロップです。
 ・12時間制の場合、AM12:59の次にAM1:00になるため、カウンターをクリア(リセット)する際に
  [1]にセットする必要があります。
 ・この動作のために「時カウンター」が[12]になった次の時間で、74HC160に[1]をロードさせます。
 ・時の上位桁は[0]と[1]しか必要が無いので、74HC160が9になった時に出力されるキャリー
  [CRY]信号で74HC107を[1]にセットし、一連の動作で1時〜12時を計数します。
 
 ・AMとPMの表示は、AM11:59の次がPM12:00になるため、「時カウンター」が11になった次の
  時間で、AM/PM用の74HC107を反転させます。
 
 ・通電が開始されたときには、抵抗器・ダイオード・コンデンサーによる「パワーオン・リセット回路」
  により、「分カウンター」と「時カウンター」が0にリセットされます。
  (通電の最初のみ、時刻はAM0:00から始まります)

6.時刻設定スイッチ
 
 ・2つの押しボタンスイッチは、抵抗器とコンデンサーの積分回路と74HC14によるシュミット
  トリガーで、スイッチのチャタリングを除去します。
 
 ・74HC153は、4入力1出力(×2回路)のセレクターです。
 ・[Time Set (L)]ボタンを押すと、「分カウンター」に接続されている1分単位のクロックが2Hzの
  信号に切り替わり、「分カウンター」が0.5秒単位で進みます。
 ・[Time Set (H)]ボタンを押すと、「分カウンター」のクロックが8Hzの信号に切り替わり、
  「分カウンター」が0.125秒の高速で進みます。
 
 ・「時カウンター」は「分カウンター」を高速で進めることにより、桁上げされて設定できます。
 ・設定時刻が表示と大きく離れている場合は、[Time Set (L)]ボタンと[Time Set (H)]ボタンを
  同時に押すことにより、クロックが32Hzの信号に切り替わり、「分カウンター」をさらに高速で
  進めることができます。

7.ダイナミック点灯と秒表示回路
 
 ・LEDの桁数が4桁なので、秒の表示はスイッチにより切り換えます。
 ・74HC151は、8入力1出力のセレクターです。
 ・下位4つの入力(D0〜D3)で、[時:分]表示中の4桁ダイナミック点灯に使用するBCDデータを、
  桁ごとに選択します。
 ・上位4つの入力(D4〜D7)で、[分:秒]表示中の4桁ダイナミック点灯に使用するBCDデータを、
  桁ごとに選択します。
 
 ・ダイナミック点灯は、1,024Hz(約976μS)間隔で桁ごとの表示を切り換えています。
 ・桁の選択に用いるアドレス信号は、基準信号 発振回路のQ6とQ7を流用します。
 ・ダイナミック点灯では、桁アドレス毎にセグメント・データを切り換えますが、この切り換え時に
  信号の微少な遅れから、隣接する桁に漏れ表示(ゴースト)が出てしまいます。
 ・これを無くすために、桁アドレスとセグメント・データを切り換える際には、表示を消すブランキング
  信号が必要となります。
 ・このブランキング信号を作製するためにはアドレス信号Q6・Q7より高い周波数のQ1〜Q3が
  必要ですが、74HC4060にはこの端子がないので、別途74HC393を74HC4060と同期化させて
  表示の切り換えタイミング信号を作製しています。 (下のタイミング図を参照)
 ・この信号から4538単安定マルチバイブレータで、桁切り換え時の前後30μS(合計60μS)の
  表示を禁止するブランキング信号を作製します。
 


8.輝度調整(ディマー)回路
 
 ・室内の明るさに応じてLEDの輝度を変えるため、明るさの検知にCDSを使用します。
 ・ブランキング信号と同じく表示の切り換えタイミング信号から、4538単安定マルチバイブレータの
  遅延時間をCDSの抵抗値で可変して、表示期間のパルス幅を変化させてLEDの輝度を変えて
  います。
 
 ・CDSに並列接続してある半固定抵抗器で、暗さに対する感度調整が行えます。
 ・自動輝度調整(ディマー)が不要な場合は、CDSのみを取り外すことで、半固定抵抗器が
  輝度設定に使用できるようになります。

9.LEDのコモン・ドライバー回路
 
 ・桁アドレス信号からLEDの桁ごとにC1〜C4の4つのコモンを選択するために、3 to 8デコーダ
  74HC238を使用します。
 ・ LEDのコモン端子には100mA近い電流が流れ、C-MOSやTTL-ICではこの電流が駆動できない
  ので、ソース電流ドラーバーTD62783APを使用しています。
 ・トランジスタを4個並べても良いのですが、実装面積や配線の手間が簡便となる専用ICを使用
  しました。

10.LEDのセグメント・ドライバー回路
 
 ・この回路のみ74LSタイプTTLを使用していますが、理由は74HCシリーズに相当するICが無い
  ことと、4000シリーズC-MOSにあるデコーダー4511の[6]と[9]の文字が気に入らない事です。
 ・AM/PM表示を[時]の上位桁の左側に加えるため、出力がオープンコレクタになっている
  74LS247を選択しました。
 ・同じくオープンコレクタの74LS38で、AM/PM信号を加えています。
 
 ・1時〜9時の間に、[時]の上位桁(左側)の[0]表示を消したいので、10時桁のみゼロサプレスが
  働くようになっています。
 
 ・LEDの電流制限抵抗器は、使用するLEDのVf電圧とLEDに流す電流量によって調整して下さい。



回 路 図  PDF版 LogLedClkCir1.pdf (243KB)  PDF版 LogLedClkCir2.pdf (304KB)

部品配置図  GIF版 LogLedClkPcb.gif (212KB) 部品表
 
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。


 
背 面

 
百円均一(セリア)
L版の木製
写真フレーム

 
基板 部品面

 
基板 ハンダ面

スペーサーで高さ調節
木ネジで基板取付

基板カバー
ファイル・フォルダーの
ケースを加工


 製作例では、基板の製作時に木製写真フレームの寸法が未定だったので、基板外形寸法を最小で加工しました。
 よって、木枠に取り付けるためのジョイント基板が必要になっています。
 写真フレームの寸法に合わせて、基板ののりしろを大きく取って取り付け穴を加工すると、基板のネジ止めが簡単になります。
 
 LED表示器には、未点灯部分の反射光を抑えるために、青色のフィルムが貼ってあります。
 
 各スイッチは、写真フレームに付属の透明保護板に、カッターで穴をあけて操作できるようにしてあります。




   電子工作の部屋 Top へ 前のページへ戻る