■ デジタル時計 時刻カウント部 ■


● 時計専用LSIで作るデジタル時計の製作 ●

 「時計専用LSI」のページでも数種類の製作記事を掲載しておりますが、このオリジナル時計の製作にも、フェアチャイルド社製 FCM7001 を使用したカウント部を製作してみました。

FCM7001 (Fairchild Corporation)



FCM7001シリーズの相違点

デバイス名 出力方式 表示デバイス カレンダー
FCM7001 7セグメント LED・VFD ウエスタン式
FCM7002 BCDコード ニキシー管等 ウエスタン式
FCM7003 7セグメント ガス放電管 ウエスタン式
FCM7004 7セグメント LED・VFD ヨーロッパ式

VFD : 蛍光表示管
ウエスタン式 : 「月/日」  ヨーロッパ式 : 「日/月」

基準信号 商用電源(50/60Hz)
表示方式 ダイナミック点灯
表示桁数  6桁
時間表示 12時/24時 選択
アラーム機能 アラーム・スヌーズ
スリープ
カレンダー機能  月 ・ 日
電 源 電 圧 10〜17V
消 費 電 流 約10mA (無負荷時)
ドライブ
 能力

セグメント
アクティブ H MIN 1mA
アラーム
ラジオ
アクティブ H MIN 0.5mA
       (出力はオープンドレイン)

 
データ・シート (マニュアル)
英 文  https://www.datasheet4u.net/share_search.php?sWord=FCM7001 から入手可能。


回路の概要
 
・FCM7001は時計用LSIの中では後発の部類にあたり、アラームやラジオタイマーの他に、カレンダー
 機能も搭載された多機能のLSIです。
 
・また、停電対策も考えられており、商用電源50/60Hzが途切れても、搭載されたCR発信回路で不安定
 ながらカウントを続けることも出来ます。
 
・P-MOS構造のLSIなので、電源の取扱がVSS=0V、VDD=-12Vとなっており、表示出力が、桁・セグ
 メント共にオープンドレインでアクティブHのため、蛍光表示管には最適なのですが、LEDを使用する
 場合は、ドライバー用のICが別に必要となります。
 
 
1.基準信号発振回路

 
 ・「秋月電子通商」の超高精度クリスタルタイムベースキットを使用し、50Hzの方形波を得ていますが、
  このキットの出力電圧が5Vのため、トランジスタで12Vに変換しています。
 ・また、この分周回路から3.2KHzと6.25Hzの信号を利用し、1,600Hzの発信音を断続させて、
  ピピピ・・・と言うアラーム音を作っています。

2.LSI制御回路
 
 ・前記の通り、規格では電源の取扱がプラスアース(VSS=0V、VDD=-12V)となっていますが、周辺
  回路やこの製作記事の表示回路がマイナスアースなので、LSIもマイナスアースで統一してあります。
 ・多機能なLSIのため、スイッチや配線が多くなりますが、すべての機能を利用できるようにしています。

3.出力レベル変換回路
 
 ・FCM7001の電源電圧が12Vで、表示回路のインターフェイス電圧が5Vのため、C-MOSの4050で
  12V→5Vのレベル変換を行っています。
 ・また、FCM7001の出力がオープンドレインのため、47KΩのプルダウン抵抗が接続されています。
 ・(この製作記事の回路構成に必要となる回路なので、通常は不要です。)

4.ゼロサプレス回路
 
 ・このLSIには、ゼロサプレス回路(時の上位桁が0の場合表示しない)が搭載されていないので、
  時の桁信号とセグメント(f)信号をANDして、「0」は表示せずに「1・2」は表示する回路です。

5.小数点、点滅回路
 
 ・表示器の「時の下位」と「分の下位」にある小数点を、1秒毎に0.5秒間点滅させる回路です。
 ・月日が表示されている場合は、小数点が点灯しないようにもなっています。(12時間表示のみ)
 ・(この製作記事の回路構成に必要となる回路なので、通常は不要です。)

6.アラーム、ラジオ出力回路
 
 ・アラーム出力は、簡単なトランジスタ1石のアンプでスピーカーを駆動して、ピピピ・・・音が鳴ります。
 ・ラジオ出力(スリープ)は、あまり使用することもないので、外部にSSR(ソリッド・ステート・リレー)の
  LEDを駆動できる出力のみ用意してあります。
 


回 路 図  GIF版 F7001cir.gif (309KB)  PDF版 F7001cir.pdf (300KB)
 
部品配置図  GIF版 F7001pcb.gif (328KB)
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。 

・カウント部ユニットの上に、色々な表示部ユニットを積んで、フラットケーブルコネクターで接続します。


正面

側面

後面

内部

基板 部品面


基板 ハンダ面

内部 (基板無し)
↑ 画像をクリックすると、拡大します。 ↑


操作方法
1.表示 及び 時刻等のセット
 
 ・2回路6接点のロータリースイッチで、下記表のように表示及び設定できます。
 
BLANKING 表示を消灯します。
RUN 通常表示
Set ALARM アラーム時刻を設定します。 (12/24時間表示)
[SET MIN/DAY] [SET HR/MON] ボタンにより、カウントアップします。
Set SLEEP スリープ(おやすみ)タイマー/ラジオタイマーを設定します。 最大9時間59分
[SET MIN/DAY] [SET HR/MON] ボタンにより、カウントダウンします。
Set CALENDAR カレンダー(月日)を設定します。
[SET MIN/DAY] [SET HR/MON] ボタンにより、カウントアップします。
Set CLOCK 時刻を設定します。 (秒は0クリアされます)
[SET MIN/DAY] [SET HR/MON] ボタンにより、カウントアップします。

2.12/24時間表示選択
 
 ・[12/24H SELECT] スイッチを、OFFにすると12時間制、ONにすると24時間制になります。

3.時刻表示モードの選択
 
 ・[DISPLAY MODE] スイッチにより、下記表のように表示できます。 (中立トグルスイッチ)
 
CLOCK D3端子方向 時刻を表示
ALTERNATE 中立(解放) 秒の下位が0〜7の間は時刻を表示し、8〜9には月日を表示
CALENDAR D4端子方向 月日を表示

4.アラームの操作
 
 ・上記ロータリースイッチでアラーム時刻を設定した後、[ALARM ON] スイッチをONにすることで、設定
  時刻になるとアラーム音が鳴ります。
 ・アラームが鳴った後、[SNOOZE] ボタンを押すと、一時的にアラームが停止しますが、10分後に再度
  アラームが鳴り始めます。
 ・[ALARM ON] スイッチをOFFにすると、アラームもスヌーズ動作も解除されます。

5.スリープ(ラジオタイマー)の操作
 
 ・上記ロータリースイッチでスリープ時間を設定した後、[SLEEP ON (RADIO-OUT)] スイッチをONに
  することで、RADIO-OUT出力がONになり、設定された時間が経過すると出力はOFFになります。
 ・また、[RADIO-OUT MODE] スイッチの設定により、下記のような動作をさせることができます。
 
SLEEP ONLY D4端子方向 スリープ動作のみ。
 (今から30分間作動させる など)
SLEEP or ALARM 中立(解放) スリープで設定された期間と、アラームで設定された時刻にも
出力がONになります。
 (今から30分後にOFFにし、8時間後に再度ONにするなど)
SLEEP after ALARM D5端子方向 アラームで設定された時刻に出力がONになり、その時刻から
スリープで設定された時間が経過するとOFFになります。
 (朝8時から30分間など)

6.停電対策用、CR発信回路
 
 ・今回は使用しておりませんが、基準信号に商用電源50/60Hzを使用し、停電対策を行う場合は、
  LSIのOSC端子に接続されている半固定抵抗器を、下記の周波数に調整します。
 
50Hz地域 84.0KHz
60Hz地域 100.8KHz


○パーツの参考資料
 ・基板  「秋月電子通商」 片面ガラスエポキシ・ユニバーサル基板 Bタイプ (95x72mm)
 ・基準信号 水晶発振器  「秋月電子通商」 超高精度クリスタルタイムベースキット
 ・アクリルケース  「無印良品」 アクリルポケットティシューケース



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