■ 卓上 LEDライトの製作 ■


● (1) 100円均一の「3LEDプッシュライトミニ」を機能アップする ●

 
100円均一で購入したLEDライトは、スイッチと砲弾型LEDが3個の簡単な構造です。
点灯ボタンのスイッチとバネが強く、かなり強い力で押さないとON/OFFできません。
また普通輝度のLEDが3個なので、それほど明るくもありません。
 
このライトを、色々と機能アップしてみます。
 

・高輝度パワーLEDで輝度をアップ。 (もちろん点灯時の電池の消耗は多くなります)
・押しボタンの点灯を、タクトスイッチで軽いタッチに変更。
・輝度調整とソフトスタートを搭載。
・設定時間による自動消灯機能。
・振動や揺れを感知して自動点灯。

・スイッチの長押しで、常点灯も可能。

このライトのケースは、内部のすき間が少ないので、組み込みにはそれなりの技術を要します。
回路は汎用に使えますので、内部に余裕のあるライトやケースの選定も考慮して下さい。

下記の (2) 「3LEDプッシュライトを機能アップ」のプリント基板化 に応用記事があります。


回路の解説
 
1.電源回路

 
 ・100円ライトに付いている単3乾電池3本の電池ボックスから、4.5Vを使用します。
 ・消費電流は、点灯時の最大で約240mA、消灯の待機時でATtiny13Aのマニュアルから
  約0.15μAです。
  (微少の電流計を持ち合わせていないので、想定値です)

2.AVRとクロック
 
 ・AVRマイコンは、8ピンの安価なAVR「ATtiny13A」を使用。
 ・動作クロックは、内臓発振器9.6MHzを1/8した、1.2MHzで動作しています。

3.押しボタンスイッチ
 
 ・既存のスイッチはオルタネイト・タイプ(押すたびにON/OFFが切り替わる)なので、タッチの軽い
  タクトスイッチに変更します。 (OMRON B3F1050黒) 任意で選択して下さい。

4.マーキュリースイッチ 「M5518」
 
 ・振動センサーとして、秋月電子で販売されている「マーキュロスイッチ M5518」を2個使用します。
 ・この傾斜スイッチは、内部に接点と水銀の玉が入っており、傾きや振動の揺れで接点と水銀が
  接触してONになります。 (リード方向に5度以上傾ける)
 ・揺れの検出の場合は、揺れの向きに方向性があるため、2個のセンサーを水平に90度の角度で
  設置して、各方向の揺れに対応します。 (2本のリードも水平に設置します)
 
 ・センサーの感度が良すぎる場合は、リードが出ている側を少し持ち上げて調整できます。
  (リード側を持ち上げると、揺れの感度が落ちます)
 ・壁掛けなどで垂直に設置する場合は、センサーが水平になるように部品配置を工夫して下さい。
 ・マーキュリースイッチ(振動センサー)を取り付けなければ、通常のプッシュライトとして動作します。

5.輝度調整ボリューム
 
 ・スイッチで点灯した場合に、LEDの明るさを調節するボリュームです。
 ・汎用のボリュームや、半固定抵抗器も使用できます。

6.パワーLEDのドライブ回路
 
 ・パワーLEDを調光駆動する回路で、パワーMOSFETのシンク(電流をGNDに引き込む)ドライブに
  してあります。
 ・パワーLEDは放熱器付きを使用し、極力ケース等のアルミ部分で放熱を強化して下さい。
 ・100円ライトに付いている、3個の砲弾型LEDも駆動が可能です。
  (パワーLEDの使用に、こだわる必要はありません)
 
 ・アノード側の電圧を変更して、LEDのパワーや数量を変える事もできます。
 ・アノードの電圧を4.5V以外にする場合や、パワーLEDの容量を変更する場合は、電流制限抵抗
  の値を変更する事と、抵抗器の消費電力(発熱)に注意して下さい。
 ・パワーLEDの容量を増やしてFETの発熱が多くなる場合は、必ず放熱器を付けて下さい。

7.ISP端子
 
 ・AVRマイコンにプログラムを書き込むための、ISP (In-System Program)端子です。
 ・AVRマイコンを、書き込み専用の基板やブレッドボードで書き込んでから実装する場合は、
  実機のISP端子を省略する事も出来ますが、ISP端子を付けておくと、後日プログラムが更新
  された場合に、この端子から直接プログラムの書き換えが行えます。

注意.
 ・プログラムを書き込む際に、基板の傾きで振動センサー(マーキュリースイッチ)がONの状態に
  なっていると、書き込みが行えません。
 ・必ず、基板を水平に保持するか、振動センサーがOFFになる方向へ傾けた状態で、プログラムの
  書き込みを行って下さい。




回 路 図  GIF版 LedTabLitVcir.gif (96KB)  PDF版 LedTabLitVcir.pdf (154KB)
 
部品配置図  GIF版 LedTabLitVpcb.gif
 
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  LedTabLitV102.TXT (13KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル  LedTabLitV102.bas (13KB)
 
 この製作では、ヒューズ ビットを工場出荷状態のまま使用しますので、変更の必要はありません。

注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。
       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)



 
 パワーLED 単体で点灯

 
光拡散キャップを取付

 

内部 上面視

押しボタンスイッチ側

シリコーン製
おかずカップ
(ダイソー)

 
動画 (YouTube)

マーキュリースイッチ側


基板とケースの加工
 
・基板は、片面ユニバーサル基板を、部品配置図の寸法のように加工します。
・ケース内のスペースの制約から、かなり難しい配線になると思いますので、内部に余裕のある
 ライトやケースの選択も考慮して下さい。
・押しボタンスイッチの位置が、透明カバーの縁取りと合うように配置し、透明カバーが押されたときに
 スイッチも押されるように高さを合わせます。
・マーキュリースイッチは、2個を水平で90度に配置します。
 リードの極性は問いません。 2本のリードも水平になるように取り付けます。
・各基板は、発泡スチロールボード(7mm厚)を加工してかさ上げし、両面テープ(強力アクリル
 フォーム)で貼り付けます。
・ボリュームは、電池ボックスの側面に、両面テープで貼り付けます。
・パワーLEDは、最高輝度での発熱量が多くなりますから、アルミ板で放熱を助けます。
・アルミ板も、電池ボックスの上に両面テープで貼り付けます。
 電池からのリード線と電池の金具は、アルミ板と絶縁して下さい。
・パワーLEDの光は、1点に集中して強力に発光しますので、直接裸眼で見ないで下さい。
 このため、光を拡散する拡散キャップを取り付けます。
 この製作では、100円均一で購入した「シリコーン製 おかずカップ」を流用しています。
 
・回路自体は難しい物でもありませんので、余裕のあるケースで各自工夫をして下さい。



操作方法
 
1.電池を入れる
 
 ・乾電池を入れると、AVRがスリープ(パワーダウン)状態に入り待機します。
 ・この状態での消費電力は、ごくわずかです。
 
 ・本体が傾いていると点灯し続けますので、必ず水平な場所に置いて下さい。

 
2.手動点灯
 
 ・押しボタンスイッチ(透明カバー)を押すと、ソフトスタートで点灯します。
 ・再度ボタンを押すと、フェードアウトで消灯します。
 ・消灯後はスリープ状態に入り、電池の消費を落とした状態で、再び待機します。
 
 ・この点灯状態では、任意の設定時間になると自動で消灯します。
 ・初期値は5分です。 (プログラムの冒頭で、変更が可能です)
 
 ・押しボタンスイッチを「1秒」以上押し続けると、LEDが2度フラッシュ点灯し、常点灯(連続点灯)
  になります。 (自動消灯はしません)
 ・再度ボタンを押すと消灯します。

 
3.輝度調整
 
 ・ボリュームを回すと、点灯する輝度(明るさ)が調節できます。
 ・振動を検知して点灯した場合は、調節できません。

 
4.振動の検知
 
 ・振動や揺れを検知すると、最高輝度で一定期間自動点灯します。
 ・初期値は9分です。 (プログラムの冒頭で、変更が可能です)
 ・押しボタンスイッチを押すと消灯します。
 
 ・振動検知で点灯後、輝度を半減して一定期間点灯し、まもなく自動消灯する事を通知します。
 ・初期値は1分です。 (プログラムの冒頭で、変更が可能です)
 
 ・振動の強弱に関する感度は設定できませんが、感度が良すぎる場合は、マーキュリースイッチの
  リードが出ている側を少し持ち上げると、感度を落とす事が出来ます。








● (2) 「3LEDプッシュライトを機能アップ」のプリント基板化 ●

 
100円均一の「3LEDプッシュライトミニ」は、内部のスペースが少なく回路の組み込みに苦労しましたが、(大)の方は内部に余裕があるので、プリント基板化したボードを組み込みます。
 
ランタン型などの他のライトへの組み込みもアイデア次第です。


回路の解説
 
・仕様、回路構成、操作方法は、「3LEDプッシュライトミニ」と同じです。 (上の記事を参照)
 
・マーキュリースイッチ(振動センサー)を取り付けなければ、通常のプッシュライトとして動作します。


回 路 図  GIF版 LedTabLitVPcir.gif (112KB)  PDF版 LedTabLitVPcir.pdf (189KB)
 
部品配置図  GIF版 LedTabLitVPpcb.gif (51KB)
アートワーク  GIF版 LedTabLitVPaw.gif (19KB)
 
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  LedTabLitV102.TXT (13KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル  LedTabLitV102.bas (13KB)
 
 この製作では、ヒューズ ビットを工場出荷状態のまま使用しますので、変更の必要はありません。

注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。
       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)



 
プリント基板

 
 基板 部品面

 
基板 ハンダ面
・部品実装の写真は、全ての部品を基板上に搭載する場合の見本です。
・ボリューム・押しボタンスイッチ・LEDを外部に取り付ける場合は、各端子からワイヤーを引き出します。
・LEDの電流制限抵抗器は、使用するLEDの電流量に合わせて選択して下さい。
・マーキュリースイッチは、リードと反対側を両面テープで固定します。 (リードの極性は問いません)
・センサーの感度が良すぎる場合は、リードが出ている側を少し持ち上げて調整できます。
 (リード側を持ち上げると、揺れの感度が落ちます)

・ボリュームとLEDは、基板の端子から配線を引き出します。
・ケースの透明カバーの外周がスイッチを押す位置に、基板の位置を
 合わせます。 (ケース外周と基板間は7mm)
・基板は、M3-13mm(10mm+3mm)の中空スペーサー4本を使用し、
 M3-20mm皿ネジ4本でナット止めします。(スイッチの高さが7mmの場合)
 
・電池ボックスは4本用ですが回路が4.5V定格なので、写真右上の
 電池金具を外して、3本目の端子にマイナス側のワイヤーを接続します。
・パワーLEDの放熱のため、アルミ板を取り付けます。 (96×45mm)
・アルミ板は、M3-20mmの六角スペーサー2本を使用し、ケース面は
 M3-8mm皿ネジ2本、アルミ面はM3-8mmナベネジ2本で固定します。
 
・電池の金具は、ビニールテープなどでアルミ板と絶縁して下さい。
・裏面は皿ネジ用のザグリを入れますが、ナベネジを使用する場合は、
 本体のゴム足の高さを上げます。

・乾電池は3本で使用します。

・光拡散用の「シリコーン製おかずカップ」を
 被せます。
・カップの横に小穴をあけて、メッキ線で固定して
 あります。
・ボリュームは、電池ボックスの側面に、両面テープで貼り付けます。
・本来スイッチのあった場所を加工してあります。

・LEDに「電球色」(ウォームホワイト)を使いました。
 
・輝度は「白色」より少し落ちますが、暖かみがあってとても心地良いです。
・電球と見間違うくらいの色合いです。


◎ このプリント基板と、書き込み済みAVRを、実費頒布しております。
 
  基板・部品の頒布室







● (3) FSLP(感圧センサー)で USBライトを調光 ●

 
100円均一でも販売されているUSBコネクターに差し込む「USBライト」を、FSLP(感圧センサー)で調光します。
 
LEDランプは任意に選択できるようになっているので、ランタン型などの他のライトへの組み込みも可能です。


回路の解説
 
1.電源回路

 
 ・単3乾電池3本の電池ボックスから、4.5Vを使用します。
 ・電源電圧は5.5VまでOKなので、5VのACアダプターやUSBバス電源を使用する事も可能です。
 ・消費電流は、点灯時でLEDランプの電流+1mA、消灯の待機時でATtiny13Aのマニュアルから
  約0.15μAです。
  (微少の電流計を持ち合わせていないので、想定値です)
 
 ・電源スイッチは不要ですが、USBライトを外してある状態でFSLPセンサーに触れてしまうと、
  LEDの点灯が確認できないままAVRマイコンの電源が入った状態になり、電池を消耗して
  しまいます。
  USBライトを外して本体を保管する場合は、乾電池を抜いて下さい。


2.AVRとクロック
 
 ・AVRマイコンは、8ピンの安価なAVR「ATtiny13A」を使用。
 ・動作クロックは、内臓発振器9.6MHzを1/8した、1.2MHzで動作しています。

3.FSLP感圧センサー
 
 ・秋月電子で販売されている、スライド式フェーダータイプの感圧センサー(FSLP)を使用しました。

FSLP感圧センサーの日本語マニュアルが見つからないので、私的に翻訳してあります。
FSLP感圧センサー 日本語マニュアル
 
個人で使用するために翻訳した物を掲載しておりますので、翻訳間違いや誤字による、
いかなる損害にも責任を負いません。

 ・センサーの制御プログラムはマニュアルに記載の通りで、4つのポートと2つのA/Dコンバータを
  使用し、センサーの上をスライドした位置とセンサーを押した圧力を読み取ります。
 
 ・読み取ったセンサーの位置情報で調光量を制御し、圧力はLEDの点灯ON/OFFを制御します。

4.LEDのドライブ回路
 
 ・パワーLEDも使用できるように、パワーMOSFETのシンク(電流をGNDに引き込む)ドライブに
  してあります。
 ・部品配置図に記載の通り、USBライトを使用するか外部のLEDランプを使用するかで、基板の穴を
  使い分けて下さい。
 
 ・アノード側の電圧を変更して、LEDのパワーや数量を変える事もできます。
 ・アノードの電圧を4.5V以外にする場合や、パワーLEDの容量を変更する場合は、電流制限抵抗
  の値を変更する事と、抵抗器の消費電力(発熱)に注意して下さい。
 ・パワーLEDの容量を増やしてFETの発熱が多くなる場合は、必ず放熱器を付けて下さい。

5.ISP端子
 
 ・AVRマイコンにプログラムを書き込むための、ISP (In-System Program)端子です。
 ・AVRマイコンを、書き込み専用の基板やブレッドボードで書き込んでから実装する場合は、
  実機のISP端子を省略する事も出来ますが、ISP端子を付けておくと、後日プログラムが更新
  された場合に、この端子から直接プログラムの書き換えが行えます。



回 路 図  GIF版 LedTabLitFcir.gif (108KB)  PDF版 LedTabLitFcir.pdf (162KB)
 
部品配置図  GIF版 LedTabLitFpcb.gif (109KB)
アートワーク  GIF版 LedTabLitFaw.gif (22KB)
 
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  LedTabLitF101.TXT (12KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル  LedTabLitF101.bas (12KB)
 
 この製作では、ヒューズ ビットを工場出荷状態のまま使用しますので、変更の必要はありません。

注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。
       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)



 
プリント基板

 
 基板 部品面

 
基板 ハンダ面

 
おにぎりケースを加工

フレキシブル
・ケーブルを
コの字に
曲げる

 FSLPセンサー用
コネクターDIP変換基板
(両面テープで貼り付け)

 
プラネジと中空スペーサー
で基板を固定

 
電池ボックスは厚手の
両面テープで固定

USBコネクター (メス)

 
動 画

裏面 に板磁石を
貼り付け


操作方法
 
1.電池を入れる
 
 ・乾電池を入れると、AVRがスリープ(パワーダウン)状態に入り待機します。
 ・この状態での消費電力は、ごくわずかです。
 
 ・USBライトを外してある状態でFSLPセンサーに触れてしまうと、LEDの点灯が確認できないまま
  AVRマイコンの電源が入った状態になり、電池を消耗してしまいます。
  USBライトを外して本体を保管する場合は、乾電池を抜いて下さい。


 
2.点灯と消灯
 
 ・FSLPセンサーのいずれかの位置を押すと、その位置の輝度量に合わせてライトが点灯します。
 ・自動消灯はありません。
 
 ・センサーの上を指でスライドすると、輝度が変わります。 (上→明、下→暗)
 
 ・点灯状態から、センサーのいずれかの位置を強めに押すと消灯します。
 ・消灯させる圧力値(強さ)は、プログラムの冒頭で変更できます。
 ・消灯後はスリープ状態に入り、電池の消費を落とした状態で、再び待機します。


◎ このプリント基板と、書き込み済みAVRを、実費頒布しております。
 
  ● 基板・部品の頒布室 ●




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