■ BME280 熱中症モニターの製作  ■

 1つのセンサー・モジュールで、温度・湿度・気圧を測定できるBoschのBME280センサーを使用して、各測定値と共に熱中症の警戒情報の表示と警報を発生する装置です。

  ○温度・湿度・気圧を8秒間隔で測定してLCDに表示。
  ○気圧値の24時間偏差を計算して天気を予測。
  ○温度と湿度の値から、暑さ指数 WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)
    「湿球黒球温度」を計算し、熱中症の警戒レベルの表示と警報を発生。



回路の解説
 
1.電源回路

 
 ・乾電池(単3または単4)を2本使用し、3Vで動作します。
 ・LCDの動作電圧が2.7V~のため、1.2Vの二次電池は使用できません。

2.AVRとクロック
 
 ・AVRマイコンはATtiny85-20PUを使用し、クロックは内蔵RC発振器の1MHzで動作します。
 ・電源投入後、初期設定を行った後はAVRがスリープ状態になり、消費電力を抑えます。
 ・AVRマイコン内蔵のウォッチドッグ・タイマーが8.192秒間隔で割り込みを発生して、
  スリープ状態から起動すると共に各測定値の表示を更新します。
 ・これにより、単3アルカリ乾電池2本で約半年間動作する計算です。

3.スイッチ
 
 ・スイッチを押すとAVRマイコンのピン変化割り込みが発生して、スリープ状態から起動後に
  各スイッチの処理を行います。

4.温度・湿度・気圧センサー
 
 ・BoschのBME280センサー(秋月電子のAE-BME280モジュール)を使用します。
 ・I2Cバス(SCL・SDA)で通信し、8.192秒間隔で測定を行います。
 ・消費電力削減のため、表示される測定値は8.192秒前の測定値です。
 ・センサーの詳細は、下記データシートを参照して下さい。
BME280の日本語データ・シートが見つからないので、私的に翻訳してあります。
BME280 日本語データ・シート 原本 BME280
 
個人で使用するために翻訳した物を掲載しておりますので、翻訳間違いや誤字による、
いかなる損害にも責任を負いません。

5.LCD表示器
 
 ・AQM1602Y-RN-GBW (I2C接続キャラクタLCDモジュール)16文字×2行を使用します。
 ・文字の大きい「AQM1602XA-RN-GBW」でも同等に使用できます。
  (ピン配置が違うので、当ページのオリジナル・プリント基板には搭載できません)

6.スピーカー
 
 ・圧電スピーカー(圧電サウンダー)を使用します。
 ・圧電スピーカーの種類や大きさは任意で選択して下さい。 (音圧の大小が違います)
 ・装置を落下させたり圧電スピーカーに衝撃を与えた場合に、圧電スピーカーから逆起電圧が
  発生してAVRマイコンに高電圧が加わる恐れがあるので、1KΩの抵抗器で保護します。

7.ISP端子 (In-System Program)
 
 ・AVRマイコンのプログラムを書き込む際に、書込機を接続するために使用します。
 ・プログラム書き込み済のAVRを使用する場合は、このピンヘッダは不要です。



回 路 図  PDF版 BME280_heatstroke_Cir.pdf (222KB)
部品配置図  GIF版 BME280_heatstroke_Pcb.gif (158KB)
 
   
注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

試用版 
 [SW1]は機能しません。 (気圧値表示のみ)
 [SW2]のアラーム選択は、アラームのON/OFF操作のみです。 (警戒レベル5以上のみ)
 簡易の天気予報機能は未搭載です。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  BME280_heatstroke_001.TXT
 BASCOM-AVR用 ソースファイル
 (BASCOM-AVR(製品版)が必要です)
 BME280_heatstroke_001.bas
 書込器用 HEXファイル  BME280_heatstroke_001.hex

・この製作では、ヒューズ ビットを工場出荷状態のまま使用しますので、変更の必要はありません。
・下記のLCD[AQM0802A , AQM1602XA]共用ライブラリを、
 C:\Program Files\MCS Electronics\BASCOM-AVR\LIB\ に保存してからコンパイルして下さい。
   Lcd_AQMxx02.LBX
・HEXファイルを使用する場合は、ファイルをそのままAVRに書き込んで下さい。

完全版
 [SW1]の表示選択により、気圧値、24時間偏差値、WBGT温度値、AUTOの表示を切り替え可能。
 [SW2]のアラーム選択により、アラームOFF、警戒レベル4以上、5以上で警報の発生を選択可能。

 簡易の天気予報機能を搭載。
プログラム  BASCOM-AVR用 ソースファイル
 書込器用 HEXファイル
 BME280_heatstroke_102.bas
 BME280_heatstroke_102.hex
 頒布室にて頒布いたします。

注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。

       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、展示、リンクもご自由に。)



 
ケース左側面

 
ケース上側面

 
ケース右側面

AQM1602XA-RN-GBW
LCD 接続テスト

 

プリント基板

基板 部品面

 
基板 ハンダ面
タクト・スイッチ
SKHHPNA010

3Φのアクリル丸棒
を7mmでカット。
4Φの収縮チューブ
で固定。
電源コネクターの圧着

XHハウジング 2P
 JST XHP-2
コンタクト
 JST SXH-001T-P0.6

芯線二つ折りで1.7L


製作について
 
・部品表は、部品の背が低い順に記載してありますので、この順番に取り付けて行きます。
 
・ジャンパー線JP1は、すずメッキ線や被覆電線を使用して下さい。
・1/6W抵抗器は、3目 (2.54X3 = 7.62mm) ピッチで両端を折り曲げて取り付けます。
・積層セラミックコンデンサは、2.54mmピッチの物が取り付け可能です。
・ICソケットは、必要に応じて取り付けます。(AVRマイコンを直接ハンダ付けすることも可能です)
・圧電スピーカーは、向きを問いません。
・電源コネクターは任意で取り付けます。 電池ボックスのワイヤーを直接ハンダ付けも可能です。
 秋月電子の「電池ボックス XHコネクタ付」とは、[赤+]と[黒-]の配置が逆になりますので、
 そのまま接続しないで下さい。
 ハウジングからコンタクトのツメを押してピンを抜き、[赤+]と[黒-]を逆に差し込んで下さい。

・押しボタンスイッチは、汎用のタクトスイッチを基板上に取り付けできます。
 ケースの高さに合わせてケタ上げして下さい。
 (当製作では、タクトスイッチSKHHPNA010 9.5mm高に7mmのアクリル丸棒で延長してあります)
・ISP端子用ピンヘッダ(6ピン オス)は、ISP端子を使用してAVRのプログラムを書き込む場合に
 取り付けて下さい。 (書き込み済みのAVRを使用する場合は不要です)
・ISP端子を使用してAVRのプログラムを書き込む場合は、ワイヤー(0.3mm程度の被覆電線)で
  [Vcc]と[RST]間のJP2,JP3を接続します。
 (書き込み済みのAVRを使用する場合は、ワイヤー配線は不要です)
・AE-BME280モジュールは、付属のL型ピンヘッダを使用せずに、ストレートタイプの6ピンを別途
 入手して取り付けます。(PH-1x6SG/RH)
 モジュール上のハンダジャンパー J3, J1, J2 を接続します。
・LCD AQM1602Y-RN-GBWは、細ピン用のピンソケットFHU-1x40SGN5-Bを9ピン分に切り分けて
 基板に取り付け、 ピンソケットにLCDのピンを差し込み、LCD固定用の六角 スペーサー
 (高さ9mm)で支えます。
 
・収納するケースや電池ホルダーは、任意で選択して下さい。



操作方法
 
1.電源投入
 
 ・乾電池を入れると、初期設定を行った後はAVRがスリープ状態になり、消費電力を抑えます。
 ・以降は8.192秒間隔で割り込みが発生してスリープ状態から起動すると共に、各測定値の表示を
  更新します。
 ・これにより、単3アルカリ乾電池2本で約半年間動作する計算です。
 
 ・LCDのコントラストを上げても文字の表示が薄い場合は、電池の交換時期です。

 
2.動 作
 
 温度値  気圧値  天気予報

 湿度値  警戒レベル アラーム状態

 ・温度値は、-40.0 ℃ ~ +85.0 ℃ の範囲で表示します。
 ・湿度値は、0.0 % ~ 100.0 % (相対湿度) の範囲で表示します。
 ・気圧値は、300.0 hPa ~ 1100.0 hPa の範囲で表示します。
 ・気圧の24時間偏差値は、現在と24時間前の気圧値の差分(hPa)です。
 ・WBGT温度値は、温度と湿度の関係を表す表から得られた警戒レベルの元になる温度です。
 ・天気予報は、「晴れ」、「晴-時々曇り(曇り-時々晴)」、「曇り」、「雨」、の4種類です。

 ・熱中症の警戒レベルは、WBGT温度値から5段階の警戒レベルが表示されます。
 
警戒レベル 表 示 画 面 表 示 内 容
 5-危 険
 4-厳重警戒 
 3-警 戒
 2-注 意
 1-ほぼ安全 

 ・アラーム状態は、下記のスイッチ操作により表示が変わります。
 ・アラームOFFの場合は、ブザー音は鳴りません。
 ・アラーム選択が4または5の場合は、警戒レベルが上がった場合に警戒レベルと同じ回数の
  ブザー音が鳴ります。 (警戒レベルが5に上がると5回のブザー音)
 ・警戒レベルが下がった場合には、ブザー音は鳴りません。
 ・WBGT温度値が警戒レベルのしきい値より2度下がった後、再度警戒レベルが上がった場合に
  ブザー音が鳴ります。 (警戒レベルのしきい値境界で繰り返し鳴るのを防止するため)
 ・アラーム選択が4の場合、警戒レベルが4以上の状態が続くと、10分間隔でブザー音が鳴ります。
 ・アラーム選択が5の場合、警戒レベルが5の状態が続くと、10分間隔でブザー音が鳴ります。

※ 注意
 ●この装置の警報は、温度と湿度の値から簡易的に求められた暑さ指数(WBGT)の表に
   基づいて出されるもので、環境や個人差により熱中症を防止できる装置ではありません。
 ●また、センサーの誤差や測定環境、装置の製作状態や設置場所により、動作を保証するもの
   ではありません。
 ●出される警報は、熱中症を防ぐための目安としてご利用下さい。

 ●この作品を使用した、いかなる損傷や損害にも責任を負いません。

 
3.スイッチの操作
 
 ○ [SW1] 表示選択  (完全版のみ)
 
 ・スイッチを押すとLCD画面右上の表示が、「気圧値」、「気圧の24時間偏差」、「WBGT温度」
  「AUTO」で切り替わります。
 
表示順序 表 示 画 面 表 示 内 容
 気 圧 値
 気圧の24時間偏差値 
      (hPa)
   天気予報の詳細
 WBGT温度値
 AUTO
  上記の1~3を、8秒間隔で
  自動的に切り替えて表示。




 ○ [SW2] アラーム選択  (完全版のみ)
 
 ・スイッチを押すとLCD画面右下のスピーカー・マークが変わり、熱中症の警報を選択します。
 
表示順序 表 示 画 面 表 示 内 容
 アラームは鳴りません
 警戒レベルが上がった場合と、
 警戒レベルが4以上の場合に
 10分間隔でアラームが鳴ります。
 警戒レベルが上がった場合と、
 警戒レベルが5の場合に
 10分間隔でアラームが鳴ります。

 ・スピーカーマークと同時に表示される警戒レベル4と5の数値表示は、スイッチを離すと消えます。
 ・警戒レベル4の場合はスピーカーマークにアンダーバーが付き、警戒レベル5の場合は
  アンダーバー無しです。




 ○ [SW1] と [SW2] の同時押し。
 
  ・同時に押すと、LCDのコントラスト設定画面に切り替わります。
 
[SW2]でコントラストを上げる。
  30 ~ 60  初期値:43
 
[SW1]で設定終了。



 
◎ このプリント基板と書き込み済みAVRを、実費頒布しております。
 
  基板・部品の頒布室



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