学名 Mercenaria mercenaria

英名 Hard Clam, Quahog、Cherrystone

 アサリやハマグリと同じマルスダレガイ科の二枚貝。成貝の特徴は殻表面に成長線があること。ただし殻頂部は滑らかになっている。また、内側には紫の模様がある(オオアサリとよぶウチムラサキガイほど紫の占める部分は多くないし、無い個体もいる)。殻の色は白だが、中には上の写真のように茶色の模様が入る個体もある。また、泥の中から捕れた貝は黒ずんでいるが、空気中に放置すると酸化されて白くなる。もともとは北米産の貝で、フロリダ周辺では養殖もされる重要水産種。
 商業上、殻の長さによって次のように名前が変わる。Seedclams: <1"; Beans:1.0 - 1.5 "; Buttons: 1.5 - 2.0";Littlenecks: 2.0 - 2.5"; Topnecks: 2.5 - 3.0"; Cherrystones:3.0 - 4.0";Chowders: >4.0".(単位はinch)
 寿命は40年ほどだが、15年ぐらいで成長はほとんどストップする。ただし、成長には水温、塩分濃度、溶存酸素などの環境条件が大きく影響し、地域差がある。特に成貝は、酸欠や低塩分に対する耐性が強く、また、水温が4℃以下になると冬眠状態に入る。塩分濃度が下がると殻を閉じて耐える。この状態で塩分濃度1%の環境下4~5週間も生き続けることができる。 ということで、東京湾奥、特に青潮や江戸川放水路の出水の影響を受ける三番瀬の環境に生息するのにピッタリの特性を持っているといえるかもしれない。
 日本では、千葉県立博物館黒住耐二、岡本正豊(敬称略)により1990年代中ごろに千葉県検見川浜で稚貝が発見された。船橋三番瀬でも1990年代中頃から目撃されていたようだが、当初は食用に利用されていなかった。しかし、アサリが捕れなくなってきたことからこの貝を食用に捕る人が増え始め、現在では船橋漁協が出荷し、道の駅やスーパーマーケットで普通に売られている。また、一般の人の中に潮干狩りで大量に捕獲する人がおり、船橋三番瀬の特に浅瀬では個体数が著しく減少している。