EURO2000決勝トーナメント TV観戦記

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6/25       準々決勝 第1戦
  ○ ポルトガル 2−0 トルコ ●    
         
    予選リーグで3連勝と絶好調のポルトガルが、地力の差を見せつけた。トルコ側に退場者があり、優位に試合を進められたことはあったが、それでなくとも、トルコに勝機は見出せなかった。後半、ポルトガルが手を抜き、試合がだれた雰囲気になったのは残念。そして、イエローカードが多発したことも、ポルトガルの今後の闘いには不利な条件となった。真のイエローカードは、判断基準があいまいな主審に出されるべきだろう。  
         


準々決勝 第2戦       6/25
    ○ イタリア 2−0 ルーマニア ●  
         
   イタリアはチーム状態がいい。今大会では、フランスに次いで、安定したいいチームだと思う。難敵ルーマニアを相手に、ほとんど危なげなく勝ちをものにした。この試合も、ハジが退場になるというアクシデントがあり、それに救われた部分はあったが。
 ハジにはこれで大舞台は最後。去り際は悲しいことになってしまった。それでも、今大会でもその実力は証明された。世代交代もうまくいっているようだ。ルーマニアは、敵にすると嫌なチームであることに間違いはない。
    
         
 
 
6/26       準々決勝 第3戦
  ○ オランダ 6−1 ユーゴスラビア ●    
         
    パスが「走っている」と感じることがある。選手の足から足へと、スピードのある生きたボールがピシッピシッと小気味よく通っていく。そんな時、ああこの試合はいける、そう思う。今日のオランダが正にそれだった。立ち上がり早々から、これまでの試合では見られなかったような攻撃の組み立てを見せ、相手サイドにガンガン攻め入っていく。ボールに対する寄せが速く、皆が動き回ってボールを貰い、次の攻撃に繋げていく。これが、これこそが本当のオランダ!
 しかし、あのクライファートの、瞬間に止めるトラップと、いとも簡単に決めるゴールはどうだ。1試合に4得点は、大会初だそうだ。もちろん、他の選手達も全て良かった。このまま頂点まで昇りつめてくれ。
 
         
 
 
準々決勝 第4戦       6/26
    ● スペイン 1−2 フランス ○  
         
   フランスは大人のチームだ。同じくジダンの率いるユベントスの試合を見ているような気にもなる。そして、ユベントスよりも確実に高く、強い。ただ、こういうチームは、見ていて意外に退屈だ。
 スペインを応援していた。試合が終わり、誰しもの胸に残ったのは、ラウールのPK失敗だろう。あれが決まっていたら、同点で試合は振り出しに戻っていた。ま、とは言っても、客観的に見たらフランスの力がまさっていたのは疑いようもない。フランスの、文句の付けようのない2得点に対し、スペインは結局PKしか得ることができなかったのだから。ただ、スペインの監督に一言。何故にメンディエタを代えたのだ!そして、ムニティスも。代えるべき選手は他にいたはず。
    
         
 
 
6/29       準決勝 第1戦
  ● ポルトガル 1−2 フランス ○    
         
    深夜3時半からの生中継はビデオで録画し、朝7時に起き出して見た。出社時間に合わせ、時折早送りもしながら、ずっとポルトガルを応援し続けた。延長後半、ザビエルのクリアボールがゴールラインを割った。当然コーナーキックと思い、また少し早送りをした。数倍のスピードで送られる映像はいつまでもコーナーキックの画面に切り替わらず、ポルトガルの選手達が審判に激しく抗議をする場面が映し出されていた。慌てて通常再生に戻した。
 ハンドの裁定だった。スロー再生では、ザビエルの出した左手にボールが当たっていた。PK。そしてフランスの決勝進出決定。ジダンのキックはゴール左上に鋭く突き刺さり、エウゼビオ以来のポルトガルの望みを打ち砕いた。
 
もう会社に向かわなければならない。最悪の気分だった。

 ザビエルはよくやっていたと思う。激しいスピードで迫るフランスアタッカー陣に対し、果敢なタックルで攻撃の芽を摘んでいた。それに対し、華麗なる中盤は息を潜めた。フィーゴは潰されてドリブルもままならず、ルイ・コスタに至っては、ほとんどの時間で消えていた。前線は、振り向きざまのスーパーゴールを決めたヌーノ・ゴメス、右サイドを切り開いたセルジオ・コンセイソン共に、及第点だろう。

 ポルトガル。いいチームだった。応援してきて良かった。フランスが勝ったが、サッカーの楽しさを再確認させてくれたのはポルトガルだった。
 2年後のW杯、またこの素晴らしいサッカーを見せてくれることを切望する。
 
         
 
 
準決勝 第2戦       6/26
    ○ イタリア 0−0 オランダ ●
3−1 
(PK戦)
 
         
   理不尽。そりゃあ、試合中のPKを2本外す方が悪い。最後のPK戦で1本しか決められない方が悪い。でも、あれだけ攻め込んで楽しいサッカーを見せてくれたオランダに対し、イタリアは確かにそれを防ぎ切ったにせよ、攻撃はほとんど糸口すら見出せなかった。そのイタリアが、勝ち上がる。見ている側にとっては、理不尽としか言いようがない。
 攻めるオランダ、守るイタリア。この図式は最後まで変わることはなかった。イタリアチームの中では、今大会、中盤からの球出し役として光っていたアルベルティーニからのパスも、ほとんど見られない。フィオーレも、デル・ピエロも、どこにいるのかわからない。ただ、4人のディフェンダーは凄かった。人間技を超えている。フランスのディフェンダー陣よりも芸術的だった。
 オランダにとって、2本のPK失敗は、しばらくの間重くのしかかるだろう。プロの選手が本気で蹴れば、PKなど決められない訳がない。開催国のプレッシャー、焦り。それとも、もともと精神的に脆い国民性なのか。オランダは、先のW杯でもブラジルに、そして前回のEURO96でもフランスにやはりPK戦で敗れている。
 ただ何にせよ、また前を向いて進んでいくしかない。負けたのは事実であり、どうあがきようもない。でも、ポルトガルと同様、オランダサッカーの真髄は充分に発揮してくれた。見ていてハラハラしたが、やっぱり楽しかった。今日の試合で一番目立っていたのは、何と言ってもダービッツだろう。どの場面でも、真っ先に飛び出してボールを取りに行き、最適な場所へさばいていく。華麗とはいえない。野性的、貪欲。そのプレーは最後まで続き、見る者を感動させた。彼にはもう、自分のやるべきことが全て理解できている。コンディションさえ良ければ、いつでも同じことができるだろう。今大会で、そのプレースタイルは完全に確立されたと感じる。

 僕のEURO2000は、これで終わりを告げた。決勝戦、見ることは見るが、もうどちらが勝ってもいい。素晴らしい試合のみを期待する。

 以上、すみません、オランダファンの独り言。
    
         
 
 
7/3       決勝
  ○ フランス 2−1 イタリア ●    
         
    決して好きではないが、今大会で最も安定したチーム状態を誇る2チームの決勝戦となった。そして、大きな大会での決勝にありがちな守備偏重な戦法ではなく、両チームともアグレッシブに、よく戦った。素晴らしい試合だったと思う。
 後半、好調デル・ベッキオのゴールが決まり、そのままロスタイムに突入。イタリアベンチは既に飛び出す用意で終了の笛を待っていた。が、そこでゴール前に抜け出たウィルトールが、あっけないほど簡単にゴールを決める。ここまでスーパーセーブを連発した名手トルドの脇をボールが転がっていく。トルドの顔が歪む。直後に笛は吹かれた。
 延長に入り、フランスの攻勢は明らかだった。途中出場のピレスが元気よくサイドをえぐり、そこから同じく途中出場のFWトレセゲにボールが渡る。トレセゲはもう何も考えず、ノートラップで渾身のボレーシュートを放った。ゴール天井に突き刺さるそのゴールが、イタリアの夢を奪い去った。

 どちらかというと、イタリアに勝って欲しかった。ただ、1−0ではなく、もう一波乱あって勝って欲しかったので、フランスが追いついた時には興奮した。これで、イタリアがVゴールを決めてくれれば最高、と思っていたが、ショックが大きかったのだろうか。ディフェンダー陣は最後まで完璧だったのに。ただ、フランスは本当に強かった。W杯よりも更に強くなり、全勝でこのEURO2000を制した。完全優勝だ。ジダンはこれで、プラティニを超えたとされるだろう。W杯とEUROの連覇は、プラティニもなし得ず、これまでどの国もやり遂げたことのない偉業だ。素直に拍手を送りたい。
 
         
 
 

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