<無題?>
相方作
『いってぇ〜』
夕食の後片付けも済み、一息入れようとリビングのソファーに先に腰を下ろしていたゾロは、サンジの言葉に後ろを振り返った。
『何だ?虫歯か?』
サンジは左頬に手を添え、食器棚にある引き出しを探っている。
目当ての物が見付かるとゾロに視線を合わせた。『つーか、神経痛の一種だな。たまにあんだよ、こーゆう事。』
視線を動かさずに手慣れたように鎮痛剤を2錠口へ放り込み、喉へと流し込んだ。
『神経痛?なんだそれ、年寄りくせぇなぁ〜』
『るせーよ。痛みが治まるまでちょっと膝を貸しやがれ』
3人掛のソファーとはいえ、ゾロの膝枕で横になれば、長身のサンジもやや窮屈ではある。
しかし、こういうささやかなスキンシップを心地良いと思っている事をお互い知っている。
少し身じろいで頭の位置を落ち着けるとホォ〜と息を吐いた。
それが合図のように、ゾロのごつごつした手がすべらかなサンジの金髪を撫でる。時々指の間ですく。
サンジの髪は何の抵抗もなくゾロの指を通り抜けていく。
夕食後でお腹が満たされているからか、バイト疲れが出たのか、鎮痛剤が効いたのか、はたまたゾロの愛撫が気持ちいいのかサンジはまどろみ始めてしまった。
『こんな所で寝ると風邪引いちまうぞ』
意識が霞んでいく中、笑いを含んだ低く優しい声がどこか遠くで聞こえたような気がした。
『お、おい。やめろよ、何サカってんだよ』
―え?何だこの声!?つーか、ここどこだ?真っ暗で何も見えねぇ。
『いいじゃんよ。もう点呼も終ったんだし、誰も来やしねぇよ』
―って何!?誰だお前?
『隣に聞こえたらどーすんだ?オレ今日もエースに尻触られたんだぞ』
―エース!?って、あのエースかよ?つーか何故隣にエースがいるんだ?
『マジかよ?あのエロボケじじいめ、80にもなって、まだ、んな事やってんのかよ』
―80!!?確かあいつはまだ二十歳そこそこだったよな!?
『ばぁーか。オレらだって変わらねーじゃん』
―!!?オレも80くらいなのか!?嘘だろ〜〜。
『もう黙れ』
―うぐぅー。唇に押し付けられたこの感触。いつものキスと全然違う。でもこのやり方は間違いなくあのゾロだ。
何が一体どうなってんだ!?
『ん…あ…』
オレの感じる所にピンポイントで触れてくる。だけど何か違う。何か変だ。
そうしながらもゾロの手は下へとオレの浴衣の裾を捲って入ってきた。
―ってオレ浴衣着てるんかい!?
オレのナニをゆっくり握りこんだ。そしてその形を確かめると
『もうちょっとかな?』と言って、オレの体の上から離れていった。
何も見えない暗闇の中でシーツの擦れる音だけがする。
―落ち着けオレ!オレは歯が痛くて鎮痛剤を飲んだ。んでゾロの膝枕で横になった。そしたら急に睡魔が襲って来て…って、そうか!これは夢なんだ。
察するところオレは60年後くらいにいるらしいな。そしてここは…というと…
『う…わっ、ちょっ』
オレの声でない声が、オレの言葉を発した。
衣擦れの音が止んだかと思うと、聞き覚えのある水音が響く。
ゾロがオレのナニをフェラしているのだ。
―この感触って何だ?真空パックされてるみてぇ。こんなの初めてだ。
今までだって数えきれねぇほどしてもらってるが全く違う…。
一体…一体何が?
思考を巡らせようと思うのに、ゾロの口技にすべてを吸い取られてしまう。
ゾロの舌が攻める場所を変えたと同時にビクンとオレの体が跳ねた。と同時に答えが見付かった。
"歯"だ。歯がないのだ。オレがどんなに動こうと吸盤のように吸い付いて離れないのだ。
しかし不思議と嫌悪感はなかった。
60年後のオレってこんなイイ思いしてるんだって思ったくらいだ。
謎が解けて気が緩んだのか、あっという間に快感の波にさらわれていった。
パッチリ目が覚めた。明るい室内。見覚えのある天井。
−オレは寝てたのか?ここは現実?
頭だけを動かして辺りを見回した。間違いない。オレのうちだ。
歯も…もう痛くない。しかしゾロの姿が見当たらない。
ゾロを探そうとして体を起こした。
「痛てぇ〜〜!!」
痛いのは歯ではない。これって、この感じって…。
「あ、悪ぃ。起きたんだ?」
痛みの元から声が聞こえた。
「ゾ…お前、何サカってんだよ?」
ゾロは手の甲で口元を拭うとニヤリと笑った。
「いいじゃんよ、誰も見ちゃいねぇよ」
!!
あの時、あの暗闇の中、60年後のお前は60年後のオレをそんな顔で見てたのか?
つーかオレたち60年後もこうして……。
ゴン!!
オレはグーでゾロの頭を殴った。
「いでっ!何すんだよ?」
言葉ほどゾロの表情は怒っていない。
「人の寝込み襲うんじゃねぇよ」
下半身剥き出しで、ナニは元気良く上を向いた状態で、んな事を言っても説得力がないのは判っているが、一応言わずにはいられない。
ゾロは足元からサンジの隣へと座り直すとサンジを胸へと強く抱き込んだ。
「お前さぁ、寝ちまってしばらくしたら急に顔が赤くなるし、息も荒くなるし、誰かに抱かれてる夢を見てんのかと思ったらつい…」
「な…!」
ゾロの言ってる事は当たっているようで外れている。つーかオレはお前に(60年後…のだけど)抱かれてたんだよなぁ。
言葉も出ないサンジに業を煮やしたゾロは、抱き込んでいた腕を伸ばしてサンジの顔を見つめた。
「顔が赤い…」
「てめぇも赤いぞ」
やべぇ…。と言ってゾロは顔を逸らしたが時既に遅し。
手で口元を覆ってしばらく何やら考えていたゾロがようやく口を開いた。
「お前の愛情なんざ疑った事はねぇが、夢ん中でヤんのもオレじゃなきゃ許さね
ぇ」
!!
今日のゾロはすごい。本人も自覚があるようだが、聞いてるこちらまで恥ずかしくなってしまうようなセリフをポンポン言っている。
サンジは今すぐにでもゾロの誤解を解ける答えを持っているのだが、こんなに感情をストレートにするゾロは滅多に見れないので、つい意地悪をしてみたくなった。
「すごかった…」
ポツリと洩らした一言にゾロがすかさず聞き返してくる。
「何がだ?」
「口技」
答えたと同時に今まで寝ていたソファーへと押し倒された。
ゾロは再び足元へとしゃがみ込むと落ち着きかけてたオレのナニを咥えた。
「う…そ。ちょっと…待…て」
息をするのもキツイくらいに意識がナニに集中する。
『オレの事だけ考えてろ』と言葉はないのに、ゾロの手から、口から、体中から伝わってくる。
「ん…あ…いい…ゾロ…ゾ…ロ…」
やがてサンジの口からもゾロの名前しか出て来なくなっていた。
オレは幸せもんだ。今も60年後もこうしてゾロに愛されている。
そして、オレも、もちろん……同じだ。
入れ歯だろうと、しわがれた体だろうとどんな姿になってもずっと一緒だ。
でも夢が60年後の夜中で良かった。
禿げてるゾロの顔を見たら、やっぱ吹き出しちまうかもしれねぇしな。
いや、やっぱりそんなゾロの姿も愛しく思っちまうんだろう。
どんな姿でもゾロだし…。
もちろんオレの夢の話はゾロには内緒だけど。
2004/1/31UP
いや、もうこれ連載で携帯にメール貰った時は、笑いすぎて倒れるかと思いましたよ(^-^;;
仕事中の一服タイムに読んでたんですけどね、喫煙所(外にこそこそ出てます)で怪しい人になりました。
サイトUP許可貰った時は、小躍りしましたよ!!
ネタにするより、このまま載せた方が楽しいかもっ!!と思って、UPしました。
あー…いやぁ、笑った、笑った(オイ!)
相方よ…ありがとう〜っっvv
またネタください。描けるようなヤツ(笑)