Overdose
<序章>
目が覚めると
手は血塗れで
目の前にはドアがいっぱい並んでて…
そう云う、夢を見る
Overdose
その日は朝から騒がしかった。朝食すらもロクに摂らないウチに、海軍に追われ、逃れた時には別の海賊と鉢合わせ、一息付いた所に嵐とくれば、落ち着いて煙草を吸う暇も無かった。
食事をする時間も無く、腹が減ったと騒ぐ船長と、疲れが見えるクルーの為に手早く料理を済ませると、取りあえず食事より一服させてくれと、サンジはキッチンを後にした。
古めかしいジッポで煙草に火を点ける。今朝起き抜けに吸っただけで、数時間ぶりの煙草の味をしっかり味わうように深く吸い込み身体に染みこませた。心地よい酩酊感に、すっかりニコチン中毒だと、自嘲する。
いつから煙草を覚えのか定かではないが、今ではすっかり呼吸の一部になってしまった。
普段はあまり使わないジッポを暫く手で弄び、胸のポケットに仕舞い込む。船の手摺りに身体を預け空を見上げると、先程の嵐が嘘のように収まり、青い空が広がっていた。
蜜柑の葉が風に揺られ音を奏でている。ザワザワと葉擦れの音が浪の音に紛れ、奇妙な音を作り上げていた。
「サンジ飯食わないのか?」
キッチンから食事が無くなる事を心配したのか、チョッパーが顔を覗かせた。煙草を吸う為に出てきた時から既に食事は諦めていた。ルフィの旺盛過ぎる食欲と、それなりに量は食べるゾロと、朝からの運動でヘトヘトのウソップと、ルフィにつられて必死に食べるチョッパーがいて、食事が残る筈が無い。もちろん女性の分はちゃんと別に確保してから出て来たので、そこに抜かりはないが。
「食うけど、どうせ残ってねぇだろ。ま、いいさ。後で食う。オマエはちゃんと食えたか?」
「うん。おれはちゃんと食った。ルフィはまだ食ってる」
「ははっ。皿は食うなって言っとけ」
「分かった」
そう返事をすると、ひょっこりと顔を覗かせた時の仕種のまま、同じ動作で喧噪の残るキッチンに顔を引っ込めた。
フィルター近くまで火が届いている煙草を、最後の呼吸とばかりに深く吸うと、持ち出していたアッシュトレイに押しつける。燻る煙が緩く螺旋を描く様を、追うように見上げると、高く掲げた海賊旗が風に靡いていた。
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2005/2/18UP
タイトルに、ちと悩んだ。
Over douseかOver doorsか分からなかったので。
でも前者だと「脱ぎ終わってる」??意味が分からん。
という事で、後者「ドアの上で」で。それでも意味は分かりませんね。
今は無きS P E E D - i D というバンドの曲(手元にCDが無い;;)
最初のセリフは E U R O さんがライブの時、この曲が始まる前に言った言葉。
我ながらよく憶えてるモンだ(^_^;
って事で、急遽タイトル変更(^_^;
後でURLも変更します…。
Over doors→overdose
*Kei*