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-KURENAI-
Vol.7
-Final-
「またかよ…」 敵襲〜!と騒ぎ回るウソップの声に、料理の手を一瞬止める。 火を止め、窯に放り込んだ生地の焼き色を確認してからキッチンを出ると、既に戦闘は終了していた。 「あ、サンジ〜!腹減った〜」 「だからオマエらなぁ、オレにも残しとけって!」 暴れるチャンスを逃したと、騒ぐサンジを横目にゾロは小さく笑う。 「んだよ?笑ってんじゃねぇぞ、クソ剣士」 「お前が出てくるまでもねぇよ」 「ああ?オレが役に立たねぇってのか?」 刀に付着した血糊を一振りして鞘に収めながら言われた言葉に、ムッとして言い返す。その言葉を受けてまたゾロが笑った。 「大した相手じゃなかったって事だ。俺だけか、ルフィだけでもカタが着くくらいな」 「そうだ!サンジはおれの飯を作る大事な任務があったんだから、いいんだ!」 「重大任務かよ?!…って、うわっ!」 ルフィが駆け寄って来て、サンジに飛びついた。伸びる腕でグルグル巻き付いてくるルフィを剥がそうと悪戦苦闘していると、サンジ美味そうな匂いがすると、力の抜けるような事を抜かす。 「そりゃ…お前の飯の方が重要だろ、この場合」 「…はぁ?何言ってんの、オマエ?」 笑っていた筈のゾロが不機嫌な顔でルフィの首根っこを掴む。べりっと音がしそうな勢いで、ルフィが離れた。 「お前も、コレはコックでお前の食い物じゃねぇ」 「おお、そうか。んじゃ、サンジ!何か食い物くれ!!」 出来るだけルフィをサンジから遠ざけようと間に入ったゾロの背中が見える。サンジは無性に可笑しくなって、ゲラゲラと笑い出した。 「何笑ってやがる」 「はは、あ〜いや〜なんつーか…ふはははは」 「サンジ笑ってねぇで、何か食う物〜…おれ腹減った〜…」 腹を抱えたままキッチンにおやつが用意されている事を告げると、ルフィは飛んでいく勢いで(というか、実際に腕を伸ばして飛んで行ったのだが)、キッチンへ向かっていった。その背に全部食うなよと叫んだが、恐らくそんな事は耳に入っていないだろう。 笑いの治まらないサンジを嫌そうな顔で見詰めていたゾロは、大きな溜め息を付いて頭をガシガシ掻いた。 「ベタベタ触らせんじゃねぇよ」 「ふっ…ふはは、あははははは」 サンジは益々笑いが止まらなくなった。 拗ねてる。 拗ねてやがる。 剣を振るい、海賊狩りと恐れられていた剣士が、こんな事で餓鬼のように、拗ねている姿は、そう滅多に見られる物ではない。 「いつまで笑ってやがる」 「あー…はは、スマン。悪かったよ、ゾ〜ロ?」 誰も居ないのを確認して、ムッと口をへの字にしたゾロに軽く触れるキスをした。 「…っ」 悪戯が成功してニッと笑いかけると、うっすらとゾロが赤くなった気がした。 ゾロに告られて以来、一度も触れあう事は無かった。 というか、強姦されてからこっち、サンジよりもゾロの方が微妙にサンジと距離を取っていた。 −− 別に、もう気にしちゃいねぇんだけど…なぁ 確かにあの後は、痛かったし、立ってるのも辛かったのだが、身体の痛みよりも、何か違う場所の方が痛かった。 でも分かったから。 何がゾロを突き動かしたのか、分かったから。それは多分間違って居ないと思う。 「なぁ」 「…何だ?」 「オレ、オマエが欲しいってんなら、くれてやるって言ったよな?憶えてる?」 「忘れる訳ねぇだろ」 憮然と言い放たれた科白に、サンジは笑みを深くする。 ゾロはギョッとしたような顔でサンジを見た。 「おい…そんな顔すんな」 「どんな顔だっつーんだよ。てゆーかよ、もう欲しくねぇの?」 「んな訳ねぇ…いつだって俺は…」 真剣な目に捕らえられる。 ゆっくり伸ばされる手がサンジに触れる寸前。 「サンジー!!ルフィが全部食っちまう〜っっ!!何とかしてくれ〜!!」 「何してんの!!馬鹿ルフィ!!」 キッチンからウソップの悲壮な叫びと、ナミの怒りの声が聞こえてきた。 「…しょうがねぇなぁ」 苦笑を漏らしながらキッチンに向かうサンジの背中に、ゾロの声が掛かる。 「サンジ」 「…っ!」 殆ど呼ばれる事の無いゾロの声が自分の名前を呼んだ。 「…あ…ビックリ、した」 振り向くとゾロは真剣な目のまま。 「いいんだな。貰うぞ」 「…ああ。男に二言はねぇ」 煙草に火を点けながら、再びゾロに背を向け片手を挙げてヒラヒラと振った。 「その代わり、オマエの背中はオレが貰うからよ」 「…背中だけかよ」 その呟きに、サンジはまた大声で笑った。 |
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2004/9/17UP
終わりましたか?
…バッタリ…
エッチ書こうかな〜と思ったのですが、何か…なんつーか、こんな感じで;;
締めになったでしょうか。
何ですかね。私は基本的にハッピーエンド好きなので、幸せな感じにしか出来ませんです(^_^;
まぁ続きが書きたくなったら、その時はその時で。
長々とお付き合いありがとうございました。
…というか、果たしてコレはリクに叶っているのでしょうか…(汗)
*Kei*