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-KURENAI-
Vol.1
掌には夥しい程の紅い血 振り返るな 前だけを見て進め… 「あー…こりゃまた、ハデにやったな」 ウソップの敵襲の声を聞いてキッチンに籠もって洗い物をしていたサンジは、嬉々として飛び出してきたが、事は既に終わっていた。船首に座っていたルフィが腕を振り回し、同じく前方の甲板で串団子のような鉄アレイを振り回していたゾロが刀1本で薙ぎ払い、それで戦闘は終結。 敵船に残っていた奴らは、即刻退却したようで少し離れた場所に逃げ出す彼らの船が見えた。 甲板には血だまりが残っているだけ。 「つか早ぇよ、オレにも残しとけ」 「遅いのが悪ぃんだろうが」 「んだと、テメェ」 ムッとしてゾロを見る。血振りをした刀をトレードマークのハラマキに差してある鞘にカチンと音を立てて仕舞うゾロは、返り血を浴びて全身血まみれだった。その姿にサンジの眉が一瞬顰められたが、それはすぐに消えルフィの声が被る。 「サンジ〜おやつまだか〜?」 「あぁ?馬鹿かテメェ、さっき朝飯食ったばっかりだろうが!!昼まで待ちやがれ、クソゴム!」 「だって運動したら腹減った」 こうなると我慢がきかない事はサンジはよく分かっていた。 「…ったく、スコーンくらいならあったか…、ちょっと待ってろ」 ルフィに一言そう告げ、ゾロを振り向く。 「で、テメェは風呂な。その血まみれのままレディの前に姿現すんじゃねぇぞ。…つか、ナミさんは?!無事なのか?!ナミさーんっっ!!無事っっ?!」 それだけ言い残すとヒラリと身をかわし、船尾に向かった。 「にしし。良かったな、ゾロ。何か食えるぞ」 嬉しそうなルフィは跳ねるように船首に飛び乗る。 「…嬉しいのはお前だけだろ」 「みんな嬉しいだろ。サンジが作ったモン食えるんだから」 屈託のない笑顔を向けてくるルフィに、ゾロは肩を竦め小さな声で、甘ェと呟いた事にルフィは気が付かなかった。 「終わったか。良かった」 一声を発したウソップは、見張り台で影から応戦していた。声だけで。 「おーい、お前らも食うのか?」 ナミの無事を確認したのだろう。キッチンに戻ったサンジがウソップに問いかける。 「食う!!」 「テメェは分かってるよ!」 即座に返事をしたのはルフィだったが、その声にワンテンポ遅れてウソップも同じ事を叫んでいた。 「分かったよ。甲板拭いとけよ!」 笑いながらキッチンに入っていくサンジを見ながら、ウソップは「で、何を?」と、首を傾げているのだった。 「スプーンだ」 「はぁ?アホか、食える訳ねぇだろ、そんなモン」 「でも、さっきサンジがスプーンって言ったぞ」 「だから、食えねぇって言ってんだろ!!聞き間違いだろ」 不毛な論議を続ける彼らの声を聞きながら、ゾロはバスルームに向かった。 不思議な人種だと思った。 コックに見えない風貌に、人を喰ったような飄々とした態度。細い身体つきからは想像も出来ない程の蹴りを繰り出し、平然とその足で立つ。 アーロンパークで、示し合わせた訳でもないのに、背を合わせ闘った。 気に入らないと思っていた相手なのに、背中を預ける事に不思議と違和感を感じる事がなかった。 しなやかに繰り出される蹴りに、迂闊にも魅入ってしまった。 何かに激しく憤慨しているような顔をして、何度も振り下ろされる蹴りに、ゾロはその時確かに魅せられたのだ。 手を使う事なく、足だけで闘うサンジに横着な奴だと言った事があったが、「手はコックの命だからな」と、怒り出すでもなく答えた顔は、今まで見たことが無い口の端を歪めたような笑顔だった。それが笑顔だったと気付くのに、随分と時間が掛かったが。 ああ、コイツはコックだった、と思い出したのは、その時。 食卓には様々な料理が並べられる。朝も昼も夜も、常に食卓はこぼれ落ちそうな料理に埋め尽くされていた。 ルフィやナミ、ウソップが口々に「旨い」と言いながら、皿に盛られた料理を口に運ぶ姿を、シンクに凭れ満足そうに笑う。 ルフィに話しかけられて、笑う。 ウソップに話しかけながら、笑う。 ナミには常に笑みを浮かべている。 −− 俺には…? 不意に浮かんだ言葉に、ゾロは驚いた。 シャワーコックを捻り、水を止める。 身体から洗い流された血が渦となって浴槽の穴に吸い込まれていく様を、ぼんやりと眺めた。 |
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2004/3/21UP
続くし…何も始まって無いし…(汗)
うう…申し訳ありませんっっ(><。
不意に書きたくなったので、プロローグちっくな所だけ…
あ、これから多分18禁でお願いするかと思います。
*Kei*