■ PreDinner Cocktail junko様 |
カラン…と氷とグラスのぶつかる心地よい音が聞こえる。 夕食後、キッチンで酒を飲んでいたゾロは、後片づけを終えたサンジにこの場に残るように言われ、何やら作っているらしい、その後ろ姿を眺めていた。 ここ2〜3日。ゾロにとっては面白くない日が続いていた。 アラバスタでの闘いが終わり、船には新しい仲間、ニコ・ロビンが増えた。 ゾロ以外の乗組員は、あっと言う間に彼女を受け入れ、すっかり馴染んでいる。 しかしロビンは過去、アラバスタで戦っていた組織の一員であり、ゾロの長い間培ってきた経験が、それを簡単に受け入れる事を拒否していた。 それでなくともロビン真の目的は分からず、また自分に対するあの態度も気に食わない。まるで癇の強い子供を宥めるような応対ぶり。 10歳近くも年が離れているのだから当然と言えば当然なのだろうが、軽くあしらわれる度に己の経験値の少なさを思わされる。そしてその都度、歯噛みさせられているのだ。 だがそれ以上に、ゾロをイラつかせているのがサンジだった。 女好きのあのコックは、ロビンが乗船して以来、上機嫌で船内を駆け回っている。 ナミやビビにしていたのと同様か、それ以上にも思える程にロビンにも尽くして回り、ただでさえ膨大な量の仕事を自ら増やしていた。 女性に対するサンジの態度を今更とやかく言うつもりはない。言ってみればアレは病気みたいな物だ。 そう頭では分かっていても、理解するのと納得するのは違う。 何度となく体を重ねてもきつく抱き締めても、手の中からすり抜けて行くように、サンジはどこか捕らえ所がない。 その存在を己の手の中にだけ捕らえておけない自分の甘さ。 ロビンの余裕の笑みに、その事実を突きつけられている気さえしていた。 いそいそと駆け回るサンジを見ると、八つ当たりだと思いながらも、つい嫌味まがいの事を口に出してしまい、顔を合わせればケンカになる。 そんな事が続いていたので、サンジにキッチンに残るように言われた時には多少なりとも驚いた。 どうせ邪魔だとその内追い出されるだろうと思っていたからだ。 シンクに向かうサンジからレモンの良い香りがする。 それに混じってきついアルコールの匂い。 ま、こんなモンだろ。と呟いて振り返ったサンジの手には、細い足のカクテルグラスが持たれていた。 グラスの中には透明の液体と、赤いチェリーが入っている。 「どうぞ。オキャクサマ」 そしてテーブルに歩み寄ると大仰に頭を垂れて、グラスを差し出して来た。 「……何だ。こりゃ……」 「マティーニ。『プレディナー・カクテル』って言って。要するに食前酒、だな」 オリーブが無かったからチェリーなんだけど。 そう言って、サンジはグラスの中のチェリーを摘み、その枝を口に咥えた。 「……誕生日、オメデト。ゾロ」 サンジの口元にニヤン…と笑みが浮かぶ。 イタズラを思いついた子供のように期待に孕んだ瞳と、口元に浮かぶ妖艶とも言える笑みの不均衡さに、しばし目を奪われた。 口に咥えられたチェリーの赤い色が、ランプの薄暗がりの中でもサンジの唇の色をより際立たせて見せている。 こんなサンジの顔を見るのも久しぶりだった。 グラスを受け取り口を付けると、高い度数のアルコールと共に香草の香りがする。苦みが強く、いわゆる辛口で、好みの味だった。 もちろん、さっきまで飲んでいた酒とは比べ物にならない。 「旨いな」 「ダロ?」 咥えたチェリーを口の中に放り込むとサンジはテーブルに腰掛けた。そのままズルズルと横に移動して、ソロの体を正面から挟むように、足を開いて座る。 「そう言えば誕生日だったな…」 「…やっぱり忘れてやがった」 「お前が覚えてるとは思ってなかったぜ?」 「…失礼なヤツだなー。オレがそんなに薄情に見えっかよ?」 細い指が伸びてきて、左耳のピアスをピン!と弾いた。 言われてみれば仲間の好みや嗜好まで明確に記憶しているサンジが、よりによって恋愛関係にある自分の誕生日を忘れている方が不自然なのだが。 毎日があの状態では…。仮に覚えていたとしてもナチュラルに無視してくれそうな勢いだった。 「ホントはパーティーでもしたかったんだけどさ。いい食材がある島に寄れなかったし、オマエはケーキ嫌がるし」 「……おぅ……」 だから、酒にした。 そう言って今度は本当に子供のような屈託のない笑みを浮かべた。 コロコロと変わる表情に再び目を奪われて、惚れた弱みとは言え、敵わねぇな…と思わされる。 「でも食前酒ってよ…。メシ喰ったじゃねぇか…」 「だから。食前酒、だよ。喰う前に飲むとその後で食べるものがもっと旨くなる酒…」 ふっ、とゾロの目の前に影ができる。サンジの手がゾロの肩に置かれ、屈んでゆっくりと唇を近づけてきた。軽く合わせただけでスル…と離れて行く。 「…誕生日プレゼント。喰わせてやるよ…ゾロ」 そう言って微笑んだサンジ口元に、また妖艶な笑みが浮かぶ。ゾロの背中にじわっ、と痺れるような感覚が走った。 「お前がプレゼントかよ?」 「不満か?」 「……いや……」 もらう。 再び唇が触れ合う直前、ゾロの口からそれだけが小さく呟かれた。 深く唇を合わせながら服を脱ぐ間も惜しむように互いの体をまさぐる。 サンジは自らジャケットを剥ぎ取り、シャツのボタンを外した。現れた胸の突起に手を伸ばし刺激すると、甘えるような鼻にかかった吐息が漏れる。 「ふ…っ……んんっ……」 それだけでもこれから訪れる快感の期待にゾクゾクした。 こうして肌を合わせるのも実はアラバスタ以来だった。砂の国を出て3日ほどしか経っていなかったが、もっと長かったような気がする。 それ以前に、ゆっくり抱き合える事自体が久しぶりだった。ビビの宮殿ではケガが治りきっていなかったのと、いつ誰が来るとも分からない場所で、隠れるように体を重ねたから言葉も交わさなかった。互いの体温をまた感じる事が出来て、ただ夢中で求め合ったから。 サンジが積極的に舌を絡ませてくる。 唇は好きなようにさせておいて、しっとりと手に馴染む肌に指を滑らせながら。スラックスの上からそっ、とサンジの幹に触れた。 焦らすように何度も指先でなぞると、その度にぴくぴくと反応を返してくる。 じれったい刺激にサンジは唇を離してゾロの頬を思いっきりつねった。 「も…早く……しろよ」 「ンだ……じっくり喰わせろよ…」 スラックスの前だけをくつろげてサンジの幹を露わにすると、ゾロはゆっくりとそれを口に含んだ。途端にサンジの口から高く細い声があがる。 「------っあーーっ、んんッ……」 後ろ手にテーブルクロスを握りしめ快感を散らそうとしているのだろうが、上がる声は待ち望んでいた刺激に歓喜していた。 ゾロの口に含まれたサンジの性器も同様で、先端やくびれの部分をかすめる度に次第に固さと熱をまして行く。 久しぶりの行為にサンジの追い上げもいつも以上に早い。素直に快感に従い、自らの足の間で上下するゾロの肩や髪、頬を片手で何度もまさぐった。 「あ、んっ…あ、あっ…」 「声…聞かれちまうぞ?」 一旦口から離して、尖らせた舌先でサンジの弱い所だけを刺激する。根元にも手を添えてゆるく上下させ、もう片方の手は胸へと伸ばした。 「…だ、って……すごい…気持ちよく、てっ……ぁ!」 「みたいだな…。ココからあふれて来てる……」 先端を舌で開くように押し、ゆっくりと引くと糸を引いて先走りの蜜が流れる。それを辿るようにまたサンジの幹を口に入れて、今度はくびれの部分から上だけを強く吸い上げた。 「んっ、アッ!ア!」 急な強い刺激に耐えられずに、体全体を何度も跳ね上げてサンジの幹が弾けた。全てを飲み干して解放してやると崩れ落ちる様にテーブルに横になる。 「息上がってるな」 「ウルセ」 荒い息を吐きながら睨んでいるつもりなのだろうが、達したあとのサンジの目はどこかとろん、としていて、それを見ていると「もっと」と言っているようにしか見えない。 サンジの足を抱え上げ下半身も露わにすると、腰を上げさせ、その奥まった場所へも舌を伸ばした。 「あっ……あんんっ……あ…」 舌先でつつく様にしてから、まだ小さく縮こまったままの蕾を、氷を溶かすようにとろけさせて行く。 わざと音を立てて舐めると、サンジがむずかって逃げようと身をよじる。それを難なく押さえ付け、唇をよせると強くそこを吸い上げた。 「ャ…!あ、あ…っ!」 「こうやって音立てるのマナーじゃないんだろ?今日は怒らねぇのか?」 「ひ!っバカ!喋る、なよっ…そこ、でっ…!」 ゾロの頭を押し戻そうと、サンジの指が髪に掛けられるのだが、震える指先には力が入らない。その間にもゾロの舌が音を立てて這わされる。 やがて濡れた入り口に、ゾロの指が押しつけられてゆっくりと埋め込まれた。しかし何度か抜き差しを繰り返すとすぐに抜き出してしまい、代わりにサンジの手を取り、後ろへと導いた。 「ヒクついてるの分かるだろ?自分で確かめてみろよ」 「……な…っ!」 「食材確かめるのもコックの仕事だろ?ほら」 半ば強引にサンジの指を挿れさせると、その手を掴み入り口付近をくちくちと混ぜる。 「ヤメ…っ!」 「熱いだろ…。お前の中」 「っ------ア!!」 ぐっ、と挿入した指を突き入れられて、サンジは顎を仰け反らせて喘いだ。 サンジの手を上から押さえ付けたまま、ゾロは指の隙間から舌を滑り込ませて熱くうねるサンジの中へも唾液を送り込む。 喘ぐ声を上げながら、サンジの幹がまた徐々に形を成してくる。 こんな事をさせられて、せめて睨みつけてやろうと視線を合わせると、ものすごく厭らしい笑みを浮かべたゾロと視線が絡まった。 (……あ……) サンジの背中にもぞくっ…、と妖しい感覚が走る。 椅子に座ったままのゾロの眼前に局部をさらして、更に自慰行為をさせられて…。自分はテーブルの上に横たわり、まるで本当にゾロに自分を喰わせてるようだ。 支配されて行くような。征服されて行くような。 じわじわと熱い物が体全体にこみ上げて行く。 体の中を駆けめぐる快感に、いつしか自らの意志で指を動かしていた。 「あ、っぁ…ぁンンっ……はっ、あぁ…」 サンジが指を動かし始めるとゾロは舌を引き抜き、再び尖らせた舌先で入り口を撫でた。 「ナカ……どうなってる?」 「んっ……熱、ぃ……」 ふと視線を上げると、テーブルの隅に置かれたカクテルグラスが目に入る。 (……食前酒…か) 抱き合う前に言っていたサンジの言葉が頭の中によみがえる。 ここ何日かのイライラも相まって、ゾロの中で少々の加虐心が膨れあがった。 グラスを手に取り、少しだけ残っていたマティーニを口に含むと、それをサンジの後口へと流し込んだ。 「ッ!アァッ!!」 じわっ…と布に染みこむように、内壁にアルコールが浸みて行く。 少量でも度数の高いアルコールは、痛みすら伴うような熱をサンジに与えた。 鋭い感覚に、慌てて引き抜こうとする指をまた押さえて内壁を掻き回すと、更に高い声を上げた。しかし勃ちあがったサンジの幹は、本人の意思とは逆に、すでにトロトロに溶けている。 「暴れるなって。喰う前に飲むともっと旨くなる酒なんだろ?コレ」 「ヤ、あっ、あ!ひ、ぅ!」 熱い。 すごくすごく熱い。 中がじんじん疼く。 自分の指なんかじゃ足りない----。 「ゾロっ…は、やくっ!」 すがる様な目でゾロを見ると、漸く指が引き抜かれ体を起こされた。ゾロにきつく抱きついてホッと一息つく。でも後ろに感じる痺れるような熱さは相変わらずサンジを責めたてていた。 ゾロはぎゅうぎゅう抱きついてくるサンジに苦笑いを漏らしつつ、テーブルに押し倒そうとした。しかしサンジはそれをやんわりと押し戻し、ゾロから離れようとしない。 「欲しいんじゃねぇのかよ…?」 「…ん……オレ、が動くから…。床…で」 「……随分サービスいいな。今日は」 サンジが何を求めているのか、敢えて言われなくても分かる。 ただゾロとしては、サンジの負担になる体位を固い床の上でする気は更々なかった。ベッドだったりソファだったり、下が柔らかい所でないと膝に負担が掛かりすぎる。 それでも滅多にないサンジからの誘いを断る気など毛頭ないのだが。 腰に腕を回し痩身を軽々と抱き上げると、ゾロはゆっくりと床に横になり、サンジを自分の上へ座らせた。 サンジはゾロの体をまたいで、しゃがむような姿勢になる。そして後ろ手に楔に手を添えて、自らそこへ腰を落として行った。 「んっ…っ……」 口淫とアルコールで入り口は柔らかくほころんで、挿入されるものを容易く受け入れた。時間を掛けて埋め込むサンジの口から、何度も詰まった吐息がもれる。 サンジが顔の横に手をついて動いているから、その表情はゾロの目の前にあった。ちらりと視線を走らせれば挿入されている部分も目に入る。 固く目を閉じた目元が赤く染まってふるふると震えている。声を詰まらせながらも必死にゾロを迎え入れようとするサンジの顔。ひそめられた眉が苦痛を感じているようにも見えるが、悦楽の期待にどこか恍惚としているようにも見えた。 「ん……ふ、っぁ…っ」 一度根元まで埋め込み、また腰を引く。幾度かその動作を繰り返して内壁が馴染んでから、徐々に腰を揺らしはじめた。 欲しかった刺激がやっと訪れて、体中が粟立つような深い快感がサンジを包み込む。大きく腰を揺らすとその快感はもっと大きくなって全身を覆った。 繋がった部分から、くちゅん…と濡れた音が立ち、それすらも快楽となって体の中に取り込まれる。 腰の動きは次第に大胆なものになって行き、ゾロを飲み込み、抜き出される様がはっきりと窺えた。 「あっ、ん、ふっ…ぁ、あ……」 「…すっげ…気持ち良さそうな顔……」 「んんっ……あ、んっ!」 「そんなにイイかよ…サンジ…」 喘ぐ声以外に言葉を紡げなくて、サンジは何度もうなずいた。 流し込まれたアルコールで常よりも熱をましたサンジの内壁は、離れる事を拒むようにゾロの楔に吸い付き、絡みついてくる。気を抜くと先に高みに追いやられそうだった。 しかしそれはサンジも同じで、ゾロのものが中を擦る度に、今までに感じた事もないような快感が沸き上がる。 今にも弾けそうに張りつめたサンジの幹から、透明の液が後から後からこぼれ落ちた。それが繋がった所へも落ちて、また厭らしく濡れた音が立つ。 「…ん…あっ、あ…ゾロっ……」 腰を揺らしながらサンジが唇を重ねてくる。 深くなっていく口付けに夢中になって次第にサンジの動きは止まり、唇が離れると体をくてっ、とゾロに預けてきた。 「……どうした?お前が動くんじゃなかったのか?」 「そ、なんだけ、ど……」 「膝、痛ぇんだろ?」 首筋に置かれた汗ばんだ髪をかきあげて、サンジの膝を見る。こすった跡が赤くなっていて、力の入らない足がふるふると痙攣するように震えていた。 「…しょうがねぇな…。掴まってろよ」 「へ?」 ゾロはサンジの脇を支えて体を起こすと、向かい合って膝の上に座らせた。 急に体勢が変わって、挿入されたままの楔がサンジの奥深くまで入り込む。 「は、ンッ……!!」 自分で動いていた時には感じすぎて避けてしまう所まで、ゾロに侵される。 それだけで軽い絶頂を迎えてしまい、サンジの先端からじわっ、と液がにじみ出た。ゾロの肩にしがみつく力を強くしながら快感の余韻に体を震わせ続ける。 「プレゼント…じっくり喰わせてもらうぜ」 サンジの体を持ち上げてまた奥深くまで穿つと、涙をこぼしながら悲鳴のような高い声を上げた。 その声が聞きたくて、ゾロは何度も抜き差しを繰り返した。 「も、ヤっ!…はっ、アッ、ア!」 宙に浮いたサンジの足が、ゾロの動きに合わせてゆらゆらと揺れる。 抽挿を繰り返す度に、一度冷めたように思えた熱がまた体の中に沸き上がった。 体が快楽だけを求めはじめて、律動も強くなって行く。 「…はっ、アッ、ア!ゾロ、っ!」 「……っ、サンジ……」 ゾロの肩に置かれたサンジの手に一層力がこもり、ギリ…と爪を立てる。 内壁がきつくゾロを締めつけて、サンジの絶頂が近い事を伝えてくる。 濡れた水音と共に、肌のぶつかり合う音も大きくなって、全身がとろけそうな程の激しい快感に包まれた。 「ァア!……っ、ィ、くっ……!」 最奥の一番感じる所を強く擦られて、サンジは自分とゾロとの間に熱を放ち。 強い力で抱き締められながら、体の中にもっと熱い、ゾロの迸りを感じた。 荒い呼吸を収めながら、何度も合わせるだけの口付けを交わした後、サンジは力の入らない体をゾロに預ける。その髪を梳いてやりながら、ゾロもサンジの肩口に顔を埋めた。耳元で聞こえる吐息と、合わせた胸で感じる互いの鼓動が早い。 「参った……」 溜め息のようなゾロの言葉がサンジの耳に入り、ゾロもかなりの快楽を得た事が伝わってきた。思わずサンジの口元にも苦笑いが浮かぶ。 「……なにが……?」 「すっげ、旨かった……プレゼント」 「……エロマリモ……」 言われた言葉に、真っ赤になって悪態をつきながらも、心地よさそうに髪を梳くゾロの手に身を任せる。 「なぁ…ゾロ。誕生日パーティーやろうな…今度島に着いたら…」 「……ケーキか……」 あからさまに嫌そうな声を出すゾロにサンジの口からクスクス笑う声が聞こえた。 「だから…今日祝うのはオレだけ、な」 きゅっ、と抱きついてくる体をゾロも愛おしそうに抱き締め返す。もう一度軽く唇を合わせてから、体を離そうとしたサンジの腰を捕まえて、ゾロは再び、ぐっ、と自身を押し入れた。 「んぁ!…っ、ちょ、休ませろ、って…ば、っ!」 「冗談。まだ喰い足りねぇよ」 腰を揺らし始めたゾロに、サンジは一言だけ「ワガママ…」と呟いて。 その身をもう一度ゾロへと預けた。 「オイ。プレゼントの期限は?」 「…んっ…朝まで」 「短けぇな」 「…じゃ、来年の…オマエの誕生日、まで」 「それでも短けぇな…」 「っ…いつまで、て言えばいいんだ、よっ…」 「……ずっと、だ」 その夜以来、ゾロの好きな酒の種類が1つ増えた。 本当ならオリーブを飾るはずの、チェリーが入ったマティーニ。 ただ、どうしてチェリーを使うのかは、ゾロはまだ気付いていないらしい。 カクテルに入っているチェリーの意味は。 『わたしをあげる』 来年の誕生日までには気が付くかな、と思いながら、サンジは幸せな気持ちで、時折そのカクテルを作っている。 end. |
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