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※このお話は『雨やどり』というパラレルの学生ゾロサンです※
Honey Honey Crescent Moon
<プロローグ>
−− ゾロ ――
熱海に行こうと言い出したのは、サンジだった。夏も盛りに差し掛かろうかという頃、稽古やバイトに明け暮れる日々ではつまらないと、ほんの数日の休みを取り、二人で旅行に行こうと。
そんな風に食後にビール片手に話を持ちかけてきた。
「前言ってたろ?ほら、最初にデートらしき事をした時によ、オマエが迷子になっちまって結局近場の水族館に行った時。最初は箱根に行こうっつってたじゃねぇか。今度行く時は温泉に行きたいな、とか」
「あ、ああ…そういや、そうだな。でも、あれは冬じゃなかったか?夏に温泉に行くのかよ?」
「そうだけど、冬場はオマエもオレも忙しいじゃねぇか。や、夏も忙しいんだけどよ、でも夏休みは長ぇじゃん。それにもう少ししたらまた合宿とか行っちまうだろ?温泉ってのは、いつ行っても結構イイもんだぜ」
それもそうだ。昨年は合宿を二つ掛け持ちしたので、8月中半分は家に居なかった。
「一緒には住んでっけどよ、何か一緒に旅行とか行ってねぇじゃん。たまには良いんじゃねぇ?それともやっぱバイトとか稽古とか休めねぇか?」
そう言いながらとても残念そうな顔をしたサンジに、ゾロは慌てて首を振る。ゾロだって旅行がしたくない訳ではないのだ。いやむしろ二人で温泉旅行は、凄く行きたい。
「何とかなるだろ」
「いいのか?よし、宿の手配とかはオレに任せろ!!」
「でもお前熱海とかでいいのか?最初に言ってた箱根とか…他にも色々あんだろ」
「んー、いいんだ。箱根だと海見られねぇじゃん。せっかく夏だし、海とかも行きたいだろ。それに実は宿とか色々見繕ってあるんだ。早くしねぇと予約取れねぇかもしんねぇし」
へへへ、と笑いながらパンフレットを数枚バサバサとゾロの前に差し出した。
「安くても結構いい旅館とかあんだぜ?ココは風呂はイマイチだけど、海鮮料理がすげぇ量多くて、で結構旨いらしいんだ。んで、こっちの方は部屋に露天風呂が付いてんだぜ。凄くねぇ?」
「へぇ…」
次々に捲られていくパンフレットに目を落としながら、相槌を打つ。楽しそうなサンジの声にゾロの方も楽しくなってきた。
―― サンジと旅行。
ゾロの頭の中にはそれだけがグルグルと渦巻いていたのだった。
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―― サンジ ――
ゾロと旅行。
それはもう女の子とデートする時と同じくらいの労力を使って、綿密な計画を立てていた。すぐ迷子になってしまうゾロの為に、この春にはカーナビも付けたし、実はずっと計画していた旅行の為にコツコツと積み立てまでしていたのだ。ゾロの了承を得た後のサンジの行動は早かった。宿の手配から行く場所、食事する場所、全てに於いて万事抜かりなく。
実はゾロには言わなかったが、情報を仕入れようと本屋で『るるぶ』を見ていた時にエースに声を掛けられ、旅行に関しての情報を教えてもらったのだ。隠す事でも無かったのだが、サンジとしては自分が頑張ったんだぞ、という所を少しは見せたい。ゾロに対して見栄を張る必要はないのだが。
なんでも旅行代理店とも繋がっているらしい(何の仕事をしているのかは、よく分からなかったが)エースがオススメしてくれたのは、雑誌にはあまり載らないような隠れた名宿とでも言うのだろうか、旅行慣れした通が行くような旅館でそれなりに値段は張ったが、そこはエースの裁量で程々に押さえてもらう事が出来た。
休みを取る際、ナミには
「あー…遅いハネムーンね。帰って来た時に天気とか景色とか分からなかったとか言いそうよね」
などとかなり露骨にからかわれ、最後にはお土産を忘れないようにと念を押された。
それでもサンジは凄く楽しみで仕方がなかった。
いつだって二人で暮らしているのだから、二人っきりという事には慣れているのだが、旅行となると初めてで、かなり結構楽しみで仕方がない。
―― ゾロと二人で旅行
日頃からケンカは絶えないが、きっと、楽しいに違いない。
2004/2/16UP
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ええと…先に謝っておきますが…
多分コレ凄い長くなるような気がします(汗)
だって既に『プロローグ』ですよ?!はう;;
でもでもコレは夏までには終わらせる気力で頑張りたいと思います。