Puerto Rico Video

Report from Mr. Ito Yoshiaki in Puerto Rico

プエルトリコ在住の伊藤 嘉章 氏からのレポート(パート3)です。

プランスのサルサ


最近フランスへ出没しました。久しぶりでしたが、一層人種のルツボで進んでい
た感じで、10区、13区や近郊のサン・ドニ市のアラブ、アフリカ、カリブの混じ
り具合は実に濃いものがありました。CDあさりに大手のレコード&本屋のFNAC
へ。

さてサルサ・コーナーはと・・。おお、FNACのイチ押しはサルサではなくソンで
すか。フランシスコ・レピラド"コンパイ・セグンド"。壁一面に翁のお姿が。

店員「なにかお探しですか?」
MOFONGO「今コンパイがブレークなんですか?」
店「ウイ、ムッシュ。当店も押してますが、なんといってもお客様の問い合わせ
    が多いのでキャンペーンを張っております。」
MO「やはりライ・クーダーの BUENA VISTA SOCIAL CLUB?」
店「ウイ、ムッシュ。まあ、ライ・Nーダーもよろしゅうございますが、やはり
    ソロは大変素晴らしく存じます。今月末(4月)は2日間のコンセールもありま
    すし。オマーラ・ポルトゥオンド、 ピオ・レイバがゲストですよ。」
MO「キューバの音楽はこちらでは基本的に支持率が高いですか?欧州全体?
    プエルトリコとかベネズエラのサルサはどうですか?」
店「(うるさい客にたじろぎながら)そうですね。やはり何と言ってもキューバ
    はラテン音楽では伝統がありますから。ドイツやベルギーでも、人気があり
    ますよ。ほら」と言って差し出されたのはユーロ・ディズニーランド隣接の
    コンサート会場のチラシ。

MO「ロス・バンバン、シエラ・マエストラ・・おや、アルトゥーロ・サンドバル
    もいっしょですか。マイアミのディズニー・ワールドでは難しい組み合わせ
    ですね。なるほど。」
店「もちろんプエルトリコやベネズエラも人気です。昨年プエルトリコ・オール
    スターズはいいコンサートでした。ニーチェもとても人気があります。ほら
    この5枚組みボックスはよく出るんですよ」
MO「フランスのサルサのオルケストルはありますか?」
店「MAMBOMANIA、FATAL MAMBO・・いろいろありますよ」

ということで、入手したのはコンパイ翁とサルサ・フランセーズの"FATAL
MAMBO"。コンパイ翁のは'95年録音の"YO VENGO AQUI"と 新盤の"LO MEJOR 
DE LA VIDA"。最初のはラファエル・エルナンデスのシレンシオが入っていたの
で、ついこれにしました。 新盤は豪華な共演陣。いやー、いいですね。
いきつけのキューバ人床屋の親父は絶対支持してくれるな。今度持って行こう。

ファタル・マンボは、1曲目"MALEDICCION"はイスマエル・キンターナの
"ADRACION"、2曲目"LA TETE A GASTON"は"EL NEGRO BENBON"ではないですか。
やっぱりこのへんが好きな人たちがいるんですねぇ。よしよし。しかしそこは
フランス語ですから、あのアンニュイなニュアンスが出たりします。特に女性
ボーカルの曲は(フランス・ギャルを思い出したり)。イスラムの香りがする
曲もあってなかなか楽しい珍盤。あまり「色もの売り」の嫌味もなく、彼らが
居る環境がさらっと出た感じ。

世界のここそこにサルサは子供を作り、子供や孫は混じりあう。親の影響は
どうしたってぬぐえませんが、皆自分らで勝手にやってゆくわけですね。フラ
ンスは今FN(国民戦線)がそれなりの支持を受けてしまう程、移民問題と文
化の問題でかなり揺れてますが、サン・ドニ市のように(まるで象牙海岸のト
レーシュビル、カメルーンのマルシェ・ラゴスであるような、チュニスのスー
クの様な、イースト・ハーレム近くの高層住宅ようでもある様な不思議な所で
した)いやでも折り合っていくしかない所から何か生まれるかもしれません。
#5のアフリカ&ブラックミュージックの部屋での伊丹さんの書いていらっし
ゃった通り、アフリカとアラブの強力なパワーを感じました。

copywright Mr.Ito Yoshiaki 1998.5.14