絵で楽しむことわざBOOK『ことわざを好きな人に悪い人はいない』
                ・【全51話あります。】外の話はこちら→→→
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キャラさんとミケケンをナビゲーターに、ことわざにまつわるお茶目 な読み物を連載していこうと思っています。           

「人生はケーキやビールばかりじゃない」「ひびのはいった壺は長持ち」など、 ことわざをテーマにしたショートストーリーです。               動物を主人公にしたお話と、ことわざの解説、類似または反意のことわざの紹介、 それと動物の一口メモで構成しています。                                               

@ 目標をたてたとき、覚えておきたいことわざ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
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kotowaza no.1         【嘘つきには記憶力が必要】です。
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「オウム夫人」

 オウム夫人は鏡を見た。
「わたしのダイヤモンドの指輪を盗むなんてほんとうに許せない。

いったい警察はなにをしているの!
先週は琥珀のネックレスだった。
その前の週はエメラルドのピアス。その前の前の週はルビーのブローチ。
その前の前の前の週は、えっとえっと、なんだったけ・・・?
おまえなら覚えてるわね」

オウム夫人は鏡に聞いた。
しかし鏡はこういっただけだった。
「うそつきには良い記憶力が必要・・・」

オウム夫人がいまあげた宝石のうち、
どれ一つとして持っていなかったことを
知っていたのは鏡だけだった。

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キャラさんからの一言 

・「うそつきには良い記憶力が必要」とは、
ついた嘘がばれないように、
自分のいった嘘をよく覚えていなければ
ならないという意味です。
嘘をつくにも頭が良くなくちゃってことですね。

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・オウムとインコの違い
オウムとインコってどう違うかご存じですか?
どちらもオウム科の鳥ですが、
分類学上の違いがあるわけではないそうです。強いていうと、
大型で尾が短いものがオウム、
小型で尾が長いものをインコというそうです。

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kotowaza no.2            【人生はケーキやビールばかりではない】
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「11階のオフィス」

 そう、彼はむずかしい取引をいくつも成功させた。
地位が上がるたびにデスクは上階に移されていった。

当然だ。会社では優秀な人材に陽のあたるオフィスを提供する。

彼は満足してコーヒーを飲んだ。
電話が鳴った。
「仕事だ!」

11階のオフィスを飛び出した。2階まで駆け降りて、書類を忘れたことに気がついた。
「おれとしたことが・・・」
階段をグドンズズンとかけ上がった。

息をきらしながら引き出しの書類をひっつかみ、ふたたび階段にむかった。

〈重量制限、1.500Kg〉
彼はそう張り紙のあるエレベーターをいまいましそうに睨みつけた。
ちっ、人生はケーキとビールばかりじゃないってことか・・・。

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ミケケンからの一言

「人生はケーキとビールばかりじゃない」
このゾウさんのつぶやいたことわざは、
人生は楽しいことばかりじゃない、という意味ですね。
「楽あれば苦あり」とも。
でも、どっちかといえば僕は楽ばかりにして欲しいです。

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kotowaza no.2  【目はこころの窓】
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「シロなのクロなの?」

ひとつおいた隣の男がみょうな目つきで私をちらちらと見ていた。
私はバーテンダーにマティーニを注文した。
「やはりクロだ」と隣の男は友人らしい男にささやいた。
「いやシロだよ」とその男は答えた。

私は黙って言わせておいた。相手になるほどのことではない。カウンターにおかれたグラスをゆっくりと飲みほした。
「クロに違いないよ」
「そんなことあるもんか」
連中の声が高くなった。
あたりまえだ。刑事の私がなんで犯人なものか。

ふと気がついた。店にはいってからずっとサングラスをかけたままでいた。
これじゃあ悪者と思われても仕方がない。
目は心の鏡」というからな。

私はサングラスをカウンターにおいた。
これで私がシロかクロかはっきりするはずだ。

だが連中の騒ぎはおさまらなかった。
とうとうバーテンダーが仲裁にはいった。
「まあ、まあ。本人に聞いたほうが早いんじゃないですか」
「お客さん」バーテンダーは私にむかって言った。
「お客さんの縞模様は黒地に白の縞なの。それとも白地に黒の縞なの?」

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ミケケンからの一言

【目は心の鏡】
目は心で思っていることを自ずと映し出すので、
目で自分の気持ちを相手に伝えることもできるし、
目を見れば相手の心も分かるという意味です。
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*「マティーニ」はヴェルモットとジンからつくるカクテル。
マティーニに始まりマティーニに終わると言われるほど
多くの人に愛されている。
映画『007』ではジェームス・ボンドが好んで飲んでいました。

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kotowaza no.2       【当て事は向こうから外れる】
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彼  女  の  電  話 

私立探偵だって恋をする。
おれは彼女に深紅のバラの花束と
ペギー・リーのアルバム「レッツ・ラヴ」
を贈っておいた。
これでおれの気持ちはバッチリ彼女に伝わるはずだ。
あとは電話を待つだけだ。
べルが鳴った。おれは受話器に飛びつく。
「アロー」女のもの憂い声だった。胸がときめいた。
「仕事よ。ネズミを退治してほしいの」
「フ、フィリックスにでも頼むんだな!」
受話器をたたきつけた。
100回目の間違い電話だった。

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キャラさんからの一言

*【当て事は向こうから外れる】とは、
期待しすぎると、とかく失望させられることが多いもの。思い入
れも強すぎると、相手の事情で思わぬ展開になっで見込みちがい
に終わったりする、という意味です。

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*「フィリックス」は1919年生まれの猫のキャラクター。最
初は無声映画として登場。正義の味方のフィリックスがピンチに
たつと、いつも持っている魔法の黄色いカバンで身を守るという
ストーリーだった。

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