ヘッダーイメージ 本文へジャンプ
アニばら観察日記


出崎監督を偲んで一足早く弔鐘が鳴るアニばらですが、こちらはまだプレリュードの段階です。
って・・・どんだけ激しいプレリュードなんだ?



第32話 「嵐のプレリュード」



今から1ヶ月ほど前、2011年4月17日に、アニばら後半部のチーフディレクターをおつとめになった出崎統さんが亡くなってしまわれ・・・大ショックを受けました。
67歳という若さで天国へ・・・。
あと10年、いや今だったら20年は長く生きられたはず!なんでどうして67歳なんだーーーっ!?
と、携帯のニュースフラッシュを見て心で叫び、呆然となりました。。。

出崎監督、それはそれは偉大な方でした。アニばら作ってくれたから。もうそれだけで私にとっては両親に次ぐ「アナタが居なかったら私も今この瞬間この世におりません・・・」なお人です。

オーバーでもなんでもいいの・・・とにかく出崎監督に最大限の感謝を込めて、これから先の観察日記を書こうと思います。
で、やっとこさ32話「嵐のプレリュード」。
ところどころ『出崎統』Wikipediaから解説文を引用などしつつ、イッてみたいと思います。

嵐のプレリュードのプレリュードって、はい「前奏曲」という意味です。
アニばらって第1話からしっかり革命の前奏曲してますんで、これも「何を今更っ!!」と一応突っ込んでおこう・・・。いや、前奏曲の中でもねAメロとかBメロとかあるんでしょうから・・・ここからいよいよサビの部分っていうか、ドカーーー・・ンと響くのです。もうねぇ、32話つったらそれこそネタ満載ですよ。前半のデュバリーVSアントワネットを何話にもまたがって延々やっちゃうんならこの32話を・・・できることなら各エピソードをもっと詳しく、3話4話かけてじっくり煮込んで欲しかった。
当初の予定から大人の事情で大幅に話数が削減されたゆえ、アニばらの詳細は妄想族のアタマの中でのみ煮詰められる事となり、吹きこぼれた分をワタクシは今日こうしてホームページ上に晒しているわけなのですが、この先ますますダダ漏れ状態で参りますっ☆ どうぞヨロシクお付き合いお願い致しますネ。


出崎監督は絵コンテをとても重要視された方で、その理由のひとつとして「作品は一人の人間の思想で貫かれるべきだ」とあるインタビューにお答えになった・・・とWikiにはあります。

なるほど。私はこれまで池田理代子さんが一人で創作された原作と異なり、アニばらという物語は監督や脚本家さんや声優さんや・・・その他いろいろなスタッフさんそれぞれの想い入れが複雑に絡み合って生み出された、それはまさに美しい織物のようだ!!との認識でいたのですが、出崎監督的にはそーゆーモノではなかったのかもしれない。


いや、しかしアニばらは前半長浜忠夫さんのという別の方がチーフディレクターをつとめていらっしゃったので・・・やはり全体として「一人の思想で貫かれた作品」ではないわけで・・・。
でもまぁそれはそれ!19話で驚くべき変貌を遂げたアニばらはアタマとシッポで趣がガラリと変わりつつも恐らく出崎監督が嫌ったストーリーものでありながら各話で監督が入れ替わり遠くから眺めた際に単発エピソードの羅列のようでなんだかなぁ~・・・という散漫な出来栄えでは決してないのです。

更に当初漫画家志望であった出崎監督なのでこんな逸話も残されています。
『出崎にとってアニメーションフィルムとは漫画や映画の延長線上に存在するものであり、「全ての場合において絵が動く事がアニメーションの基礎である」という考え方とは一線を画す演出スタイルを取っている』

『出崎の絵コンテにおけるカット割りは、必ずしも動きの繋がりを重視しない。また、視覚的効果を上げるだけでなく、ときにキャラクターの心理までも表現する大胆な画面レイアウトも大きな特徴。多くの場合、「何が描いてあるかわからない」と言う者もいるほど筆致が粗い。安定したレイアウトを用いて完成画面の構成や動きが容易に想像できる絵コンテを制作する宮崎駿とは、この点で対極にある』

どれもこれも膝を打って「はいはいはい!!」な感じ。特に「何が描いてあるかわからない」ほど粗い絵コンテ・・・ぎゃは~!アニばら後半部のなんてまさにそれなんじゃないの~!?週刊マーガレットに連載されてたベルサイユのばらをアニメ化するよーって言われて集められたスタッフさん達、後半に来て「嘘だろ!?てんで何が描いてあんのか分かんねぇーっ!?」だったんじゃないの~~~(笑)
・・・そしてこのように続きます。
『(戦友小林七郎氏は)出崎の絵コンテを「指示を出すためのものではなく、粗削りで可能性の塊、たたき台」「様々なスタッフが集まって議論、検討して(出崎の絵コンテから)何かを引き出そうとした」とも語っており、実際に『エースをねらえ!』(劇場版)では、絵コンテのイメージを徹底するため、全カットにおいて原画家によるレイアウトを元に作画・美術・撮影の主要スタッフを集めて打ち合わせを行う、前代未聞の作業を敢行したとのことである』

・・・そうですか・・・そうですか・・・・。
エースをねらえ!ではなくアニばら、劇場版ではなく連続テレビアニメですが・・・アニばら制作現場でもこのような前代未聞の作業が日々行われていたのだっ!!と思うことにして、監督のそのイキ過ぎた情熱にここは大いに泣こうと思います・・・。


というわけで、こんな感じの物凄いヲタッキーdeクラッシャーーーで最高のアニメ職人・出崎監督が残してくれたアニメ版ベルサイユのばら。まずは32話の予告編から観察していきます(前段階、ほんとに長い、長過ぎるねコレ・・・)。

「今、燎原の火のように燃え広がり始めた市民の怒りの中で云々・・・」

むずかしい表現するねー・・・笑。もうねぇ、このフレーズ担当してるのはどなたかな?お子様向けじゃないね、完全にね。「燎原の火」って大人でもこの言い回しはそうそう使いませんよ。てか聞いたことないひと多数ですよ。燎原の火のように・・・って日常では使う機会もないからね。
燎原の火=防ぎようがないほど勢いが激しいことのたとえ です。
思えば・・・アニばらは前半部から、容赦なく難しい言葉を投げ掛けて来ては「視聴者よ、辞書を引けっ!」といってるようでした。愛と死のどとうの運命のどとうってなんだ?とか、たいはいといんぼうって・・・とか、時代のすうせい・・・てろ、さんぶかい、そしてほたる・・・。
怒涛、退廃、陰謀、趨勢、テロ、三部会、蛍・蛍・蛍・・・・・・・あぁんアンドレ~・・・って、あんた、今回どうにかなっちゃうの!? 
うー・・む・・・前回、欲しくないのに売られた喧嘩de疲労感MAXのオスカル様を見て胸を痛めた視聴者、そこへこの予告編は更なる爆弾を投下して来るのだからイヤんなっちゃいます♪
いやね、蛍まではまだ道のり長いですよ。長いんですが、アンドレは既にオスカル様にとって必要不可欠な存在なんじゃないかい?そういったことはたとえ原作読んでなかったとしても十分伝わって来てますんで~・・・その男の身に何かあるのであればそれはもぅ一大事っ!!プレリュードの意味なんかは知らなくたって全国のアニばら好きなチビッ子はテンション上げて次回を心待ちにしたことでしょう。あ、アニばらの前ではとりあえず老若男女みんながチビッ子ってことで。

で、やってきました放送日。本日のつかみは雨の練兵場、インネンつけたケツアゴとつけられたオスカル隊長の、ガチンコ対決の火蓋がついに切って落とされるのであります。
(剣を)抜けよと迫るケツアゴに何を言っても無駄のようだと呟き決闘に応じるオスカル様・・・

自ら挑発したわけじゃないこの始まり方って結構よくないですか?アニメのオスカル様は血気盛んな方ではありません。無駄な争いは好まないのでこーゆーのは本当に嫌なんだと思います。
が、コノヤローわけ分かんないこと言ってるからブスッと突いちゃって下さいっ、アゴの割れ目あたりを!!
と、視聴者の期待を一身に背負ってオスカル様が(剣を)抜きます。
心配のあまり「オスカル・・・」と呟くアンドレの雨に濡れたお顔がなかなか整っててカッコいいので見逃さないでちょっと萌え・・・てる間にケツアゴの構えが通常のそれではないので「なんだこいつは?」な我らがオスカル隊長・・・何が起こるのかワクワクします♪

さぁさぁ、鞘と剣の二刀流で挑む男ケツアゴ。咄嗟の闘いでこの戦法はかなり無理がありますからコレは実戦用ではなく、あくまでギャラリーを意識した決闘用特別サービスだと思うのです。
やれやれ・・・B中隊の連中ときたらそれぞれに独自のスタイルがあるようで。その中でもケツアゴは最強らしいので、さぞやお茶の間では皆さん「お~・・・」と唸られたことでしょう。
そーゆーわけでオスカル様もいよいよ本気で応えなければなるまい。といったところで・・・えっ!?どっちの剣が折れたの!?

Aパートです。本日最初の止め絵は二人の剣のどアップから。で、折れたのはケツアゴの剣だったようです。・・・鞘ではなく、ちゃんと剣を折ってやったんですねオスカル様!!って、剣って折れるんだ・・・?
おいおい、一体全体どんなサイボーグ女なんだ!?としみじみ物思う第32話・・・。
お優しい女隊長さんとは前回派手に玉砕したヌリカベもどきの言葉ですが、本気を出せば隊で一番の猛者の剣をもへし折れるんですからね、ちょっと吃驚はしたけど(苦笑)売るのは論外として・・・へし折って使い物にならなくしちゃうのだって損失、ですよね隊長・・・?いえ、なんでもないです。 とにかく、これで勝った!・・・と思わせといてドッコイ男ってのはなぁ~いつもここからが勝負なんだよ!って一体・・・。

あぁ・・・絶体絶命の大ピンチ!な状況でどう出るかってところで、男の真価が問われるってことなんですかね?
ならば29話で猛烈ストーカーと化したアンドレって男はなかなかイイ線いってたんじゃない?って他のこと考えてる場合じゃありません。ケツアゴ、明らかに不利な立場であるにも関わらず全く引く気配なく不敵な面構えで仁王立ち。これには流石のオスカル様も血相変えておられます。「使える・・・コレほどまでに使える男に出会ったのは初めてだ。ほとんど女ターミネーターである私に剣を折られてもなお、余裕すらある・・・」、そうでしょうとも!剣を折ってやってんのにあいつのあんの態度は~・・ホント凄いですよね、オスカル様っ!?

で、これどう収拾つける気なんだろう?と思っていたら、何・・・今度はなんですか?
どこでどう隙をつかれたのか分かりませんがオスカル様、腕を「えいやっ!」ってやられちゃったみたいで・・・剣を落としてしまいました。てか、これもぅ剣の闘いじゃないぢゃん!?
かくなるうえは、オスカル様さえよかったら剣を失った者同士、次は素手で勝負だーっ!!って感じで第2第3ラウンドに突入して戴きたかった。それならば更に男っぽい世界が楽しめたはず(遠のくマーガレット・・・いざサラバ!)・・・しかしながらオスカル様はお手てが痺れてしまっているようで、素手にてデスマッチは叶わず・・・残念!!
てか、内心よかった・・・天下一武道会にならなくて。


いえね、よかった・・・なんて言ってられるのはオスカル様が勝ったからなんですよ。
なんと、ケツアゴの自己申告でオスカル様が勝ちました。
これデスマッチじゃなかったんですね・・・そりゃ、そうですよね・・・。でも、ケツアゴ、あの程度の怪我なら申告しないでオスカル様に勝つことだって出来たでしょうに・・・それをしなかったというのには何かわけがありそうです。舞台進行上オスカル様が負けるわけにはいかないという理由以上に、この場面にはわけがありそうですよね?てか、あって欲しい。
で、その理由というわけではありませんが、時間的制限のあるアニメなので隊員たちの貧しい暮らしぶりを細かく描いてる余裕はありません。なので、負けてこんなこたぁー言いたくねぇケツアゴ氏にそのあたりの状況を口頭で説明して貰い、なるほどねぇ・・・という展開です。脚本家さん、巧くまとめますね。



というわけなので、オスカル様はラサール君の為にブイエのもとへ出かけられ、アルデロス公という全然知らないスペインのおっさん一家を何故あれ程までに犠牲払って守らなきゃならなかったんだ?という微かな疑問も解ける感じ、かつ気の短さも織り交ぜレニエとの似た者親子な関係をアピールしつつの命乞いを敢行。全体的に上司にものを頼むにしては結構な態度のデカさがステキです。もとい、オスカル様にしてはなかなか上手におねだり出来ましたねっ!!
って、ふざけるつもりはありません。何を聞こうが動いてくれない人は動いてくれませんから・・・この人が隊長の時に捕まって良かったな、ラサール。



そして場面転換。ここからの部分、とても美しいです・・・私は大好きです・・・グッと来て、涙が出ます・・・。

雨がやんで明るい陽射しの中、今日は面会日でした。「兄しゃぁ~・・ん!!」と叫んで駆けて来る可憐な娘・・・ケツアゴの妹、兵営に咲くリラの花、ディアンヌちゃん。
ガクッと落ち込む出来事があった後ですが、この娘はそーゆーこと何も知らないわけで・・・部外者のひとが持って来る空気はとても新鮮で爽やか、触れれば何よりの気分転換になりましょう。あまりの眩しさに兄しゃんも目を細め「なんだか今日は目がキラキラしてるぜ」なんちゅ~こっぱ恥ずかしい台詞もきっと自然に、ホントに自然に出て来るに違いないのです。そしてキラキラの理由・・・平凡に生きる女性、万国共通の願いといっていいでしょうか、わたし近々大好きな人と結婚することになりました!という事らしいです。
ケツアゴ、一瞬「・・・え・・・!?」って感じでしたが意外なくらい物分りがよく「駄目だ駄目だ駄目だーっ!!」とかは言いません。兄妹特有の照れもあるんでしょうが妹の幸せな報告を一緒に喜んでやり、早々と「お父さん(じゃないけどさ)今までお世話になりました」と礼を言う妹に一抹以上の寂しさを感じ心の底から「・・・くぅーーー・・・っっ!!」というムード。近寄って微笑みながら肩をぽんぽんとやってあげたい感じです。

で、ここからが私が思う本日一番のハイライト・・・帰るディアンヌと帰って来たオスカル様の短い語らいの場面です。
こちら、いいようのない程に美しい空気が流れていますよ。あぁ、アニばらが大好きだ・・・と、こーゆー何気ない場面で思います。

ブイエ将軍のもとから恐らく希望を持てる返答を戴いて戻って来られたのでしょう。いつになくオスカル様は穏やかな表情と雰囲気です。そして面会から帰って来た娘を見てアランの妹ディアンヌだと気がつき、「兄さんに会えましたか?」とお声をかけられるのです。
アランに・・・でも兄上に・・・でもなく、兄さんに会えましたか?と。

特別なことは何もないフツーの台詞です。
でも限りなく優しい・・・
わざわざ「兄さん」と言ってディアンヌの心境に寄り添って下さるところが、この場面なんだかとても優しいのです。


そしてその問いかけに嬉しそうに「はい」と答えて去る娘。そのまま行くのかと思ったら娘は思いついたことがあるようで、オスカル様に向かって話しかけます。それに対し乗ってる馬ごと振り向いて「一体何を話してくれるのか?」という表情で静かに見つめて返してくれる新しい隊長さん。
もの哀しい音楽に乗せてディアンヌが語ったのは「兄が申しておりました。オスカルとはヘブライ語で神と剣を意味するんですって。神と剣と、そして素敵なブロンドの髪・・・まるでフレスコの画に描かれた神々のよう・・・」というオスカル様にとっては意外な台詞。その後うっとりとなる自分に気付き我に返った娘はそのまま返事も聞かずに挨拶だけして走り去ってしまいます。

風に翻ったディアンヌのスカート、見送るオスカル様のブロンドの髪も初夏の明るい風になびいて・・・陽射しの暖かさや花々の微かな香りまでも伝わってきそうな、本当に美しい場面です。

嵐のようなエピソードの間にあって、ここほど魂の安らぐ場面はありません。このようにたおやかで綺麗な女人が二人・・・何故こんな殺伐としたところに居てるのだろうか?と、安らぎと同時に堪らない切なさも画面からひしひしと伝わって来るではないですか・・・・・・

あーーー・・・・アニばら。こーゆー演出、まじ泣きそうだ。てか泣く。泣き崩れてやる。ふえーーー・・・ん


再び場面展開。窓辺に立ち夕日を眺め一人たそがれる男、ケツアゴ。
27話のあの場面の、ここは逆バージョンみたいなもんで、愛する者が去ってゆくのを憂えている男に無邪気に話しかけていくもう一人の男。まぁ今回は妹なので酒場でショボくれていたアンドレよりは乗り越え易いショックなわけで。
そんなこんなですが、元気出せよ~っていうアンドレの台詞がなんかいいです。
「どうした?恋人よその男に取られたような顔して」って、・・・こんなレベルじゃなく、あんたマジで恋人よその男に取られたような顔してたもんね・・・。既に懐かしいけどねぇ、アンドレ青いレモン・・・。つってるところに、あの坊やがご帰還!!いや、実際は結構いい年なのかもしれませんが、坊やって呼びたくなる感じなんです彼は。
いやーーー・・・妹が売れてしまうのは、おめでたいことです。喜んであげなきゃ兄しゃー・・ん!!で、寂しい部分はこいつで埋め合わせましょう、弟だと思って。自分で洗ってる暇がねえ大量の洗濯物も今度はこいつに洗わせればいいじゃないですか。

ラサールが憲兵隊から前代未聞の無罪放免、五体満足で戻って来たというから傷心のケツアゴ兄しゃんのテンションは急上昇!本当かよ~~~っ!!って経緯を尋ねたら、あの女隊長がブイエ将軍を通じて助けてくれたって言うではありませんか。自分でタレ込んだんであれば「やっぱ返して下さい」とかは絶対言えない事なので・・・犯人、オスカル様じゃなかったじゃん。あんた・・・このオトシマエどうつけてくれるのさ?と視聴者が凄む必要はありませんよ・・・見てごらんなさい。アンドレの恐ろしい目つきを。任侠も吃驚、これぞ無言の圧力。てめー、オスカルにビンタしたよな?俺なんか第1話でグーで殴った経験ありだけど・・・それはそれ。てめー、成人後のオスカルにビンタしたよなぁ!?ゴラァーーーッ!!と、あの目にいろいろ妄想を巡らせてみて下さい☆

いやぁでもホントにね・・・釈放される際にラサールはオスカル様の頑張りで無罪放免なのだよという事を誰かから聞いてるわけです。特例ということで、もしかしたらブイエ将軍が直々にやって来て「君は君の新しい隊長に感謝したまへ」と言ったのかもしれない。それ聞いてラサール君は何度でも大号泣できるくらいに感動をし、オスカル様を自然と愛するようになるのです、きっと。そーゆーところまで想像することによって・・・ここは皆さん、しっかり溜飲を下げておきましょうネ。


んで、アンドレに睨みつけられなくともこれはマズい。一体どう言い訳すれば・・・もう平謝りするしかなかろう。という心境ではないとみえて・・・司令官室へ、今度は単独でやって来たケツアゴの様子は、軽いです。
たいそうな勘違いをして殴るわ放り投げるわ「えいやっ!」ってやるわでオスカル様に少なからずダメージを与えたわけですから、それが誤解だったと分かった今、おまえが刑務所送りだってーの!!
でもね、この男の性格を考えて、こーゆーフレンドリーな謝り方が最上の「感謝」の表現だったのかもしれません。神妙な面持ちで「殴って、す・・・すまなかった・・・」とか言われても逆に困るしねぇ・・・。
ちなみに「もし俺がつかまったら、その時も頼むぜ」というのはオスカル様を完璧隊長として認めたようなニュアンスなので、この一件でようやくオスカル様はフランス衛兵隊B中隊隊長の地位を確かなものにされたという事で・・・涙。

しみじみと「良かったなぁ」と思うのでした。

しかし、これなぁー・・・決闘騒ぎの時ダグーちゃんは休暇か何かで居なかったんだと思うのですが、もし居たら!ケツアゴには相当厳しい処分が下ったと思いますね。事情が事情なだけに、オスカル様が奴を庇う理由なんてないしね。とにかくダグーちゃんにしてみたら何が起きたのか分からないわけで・・・出勤して来たら兵士たちの隊長を見る目が変わってるので「え?なんでなんで?」って感じなんですよね、きっと。(密告者=ダグーちゃんという妄想はくれぐれもNGでお願いします)

そして・・・ダグーちゃんの「?」よりも更に「!?」なのが・・・なんでアンドレを連れて行くんですか・・・?
わざわざ外出先であるパリのオペラ座に、アンドレを伴ってお礼参りに行くと言い出すオスカル様。よくよく考えてみると、謎です。本当はブイエなんかどうでもよくて「今宵、どーしてもオペラが観たいんだ・・・で、観たら誰かとあの場面はあーだこーだと感想を言い合いたいのでアンドレを連れて行こう。他にオペラ理解できそうな奴いないし」とかいう意図が、あったのかもしれないしなかったのかもしれない・・・(むかし皇太子様がこーゆーごまかし方してたっけなぁ)
とにかくオスカル様のこの行動はすこぶるミステリー・・・ではあるのですが、要は気分がいいのです。相変わらず気難しいお顔をされてはおりますがオスカル様は内心とてもご機嫌であったはずなので、そーゆー時にはアンドレ連れてお出掛けのひとつもしたくなるのです。ブイエ将軍にお礼を・・・なんてのは口実口実!(よう分かりませんが、とりあえずはコレで不可解な行動を納得・・・)
さて、その頃宿舎では・・・ラサールの一件でオスカル様を見直した隊員たちが群がっていつも通り小銭を賭けながら倹しくトランプ遊びに興じており、そこで相棒の姿が見えない理由が「隊長のお供でギンギラギンdeまったくさりげなくない貴族の馬車に乗ってパリへ行ったから」だと聞いて、「危ねぇな・・・」と呟くケツアゴ氏。

あぅ・・・今夜はオスカルとデートでオペラ座に行くんだ~♪と一言みんなに自慢でもしてりゃー・・・あるいは電車男のように“パリへ行く際の正しい服装と安全な交通手段”等について適切なアドバイスを貰えたかもしれないのに。いや・・・自慢したのでアンドレが居ない理由を仲間は知ってたんだろうけど・・・残念ながらB中隊の連中は2ちゃんねらーのように親切でもお節介でもなかったようで、結果TPOがなってなかったようです・・・。
で、怒ったのはデートのお相手・・・ではなく、誰だ、こいつ?出崎さんの他作品から特別ゲストですか・・・?
原作でもこの辺りはとっても重要で印象的な場面なのですけど、だからってアニばら、こんなにしちゃいますか。ここまで強調しちゃいますか。。特別ゲストなこのおっさん、止め絵にしちゃいますか。。。


Bパートです。
アニばら32話に恐怖のドヤ街が出現!!暗黒の世界にうっかり足を踏み入れてしまった男女の行く手に群がる黒い人影・・・二人の運命はいかに・・・!!
バイオ@ザードを彷彿とさせる凶暴なアンデッドどもに囲まれてしまったオスカル様とアンドレ・・・密やかなデートから一転、目を覆いたくなるほど激しい集団リンチへと発展してしまうのだから全く息つく暇がありません。
今回冒頭で猛者のサーベルをへし折るという荒技を披露しサイボーグ並のパワーを視聴者に見せつけたレディ・オスカル。そんな彼女もこれには仰天、10分先にこんな展開が待ち構えていたなんて・・・愛と死の怒涛の運命にも程があろうが。
酷いわぁ・・・・・・馬車から引きずり出す時はせめて扉を開けてくれよ~・・・小窓からだと痛いから。と図体の大きいアンドレを見ていて思いました。これねぇ、この囲んでる奴ら、アンデッドではなくパリ市民なので返り討ちにしてやるわけにもいかず、ホント大ピンチだと思いますよ。「アンドレは貴族じゃない!その男には手を出すなー!!」と叫ぶオスカル様、我が身よりアンドレの命が優先のご様子に何やら胸が熱くなりますが・・・一体どうなっちゃうんでしょうか?

はい、そーゆー時に登場するのはこの男!オスカル様のお供がアンドレならばブイエのお供は何故か北欧の貴公子ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン!!オペラ見物にどうして一個小隊を引き連れて来てるのか分かりませんが、それこそがこの男の持ち味、感動するくらいのこのご都合主義っぷりはオスカル様と決別した後も健在だったようで嬉しくなります!!


オペラ見物を中止し暴動の鎮圧に向かうフェルゼン伯、被害に遭った馬車の紋章が『剣を持った青獅子』と聞いて血相を変えておりますが・・・そうなんだ、ジャルジェ家の紋章って『剣を持った青獅子』なんだ?ではグランディエ家の紋章は『雑巾を絞る青い檸檬』だろうね、きっと♪言うてる場合かーーーっ!!
もはや一刻の猶予もありません!隙をついて逃げる余裕(?)がなくもないオスカル様はともかく、アンドレはまじヤバめ・・・殴る蹴るの暴行を受けた後とどめは公開絞首刑の最悪コースをまっしぐら!

きゃーーー・・・やめてぇ~~~!!ってところで、間に合いました。まずはオスカル様ひとりを助け安全な場所へと避難させるフェルゼン伯爵。意識が戻ったオスカル様は彼を見て一瞬「・・・!?」となったご様子ですが、それどころじゃないとみえてすぐさま「アンドレ!」と叫んで飛び出して行こうとするのだからアンドレでなくとも泣けてきます。
今行ったらまたやられるっつ~の!!と静止するフェルゼン、仕方ない言動ですがその冷静さ、なんか冷たい気も・・・。で、放せ戻せのオスカル様絶叫!!本日の名言「私のアンドレが危ないんだっ!!」です。

・・・これ深く考えなくても彼らくらいの主従関係なら普通に口をついて出て来る台詞だと思うのですが・・・言われたフェルゼンも言ったオスカル様もハッ!としておられる。

これはこの二人だから、フェルゼンとオスカル様だから“特別”な発言であったわけですね。少し前まで彼女は彼に死ぬ程の片想いをしていて、それを知った彼は愛してはいれど恋と友情は違うもの・・・という複雑な感情から泣く泣く別れを決める。そんな辛過ぎる出来事からわずか数ヶ月、こんな過酷な状況であまりもドラマチックな再会場面・・・なのに、彼女の意識は彼には向かず、従僕の名前を呼び再び死地に赴こうとするんだから~フェルゼン大ショック・・・!!!

大ショックではあるのですが、ここから始まるフェル伯の一連の言動や表情をみて、その感情は嫉妬や喪失感などではなく(むろん一抹の寂しさってのはあると思いますが)、一瞬我を忘れるくらいに大事な人がオスカルには居るのだなっ!?私ではなく!!という静かな歓喜というか・・・

報われない恋に身をやつし干乾びていく己と違いオスカルには有意義な時間を共に過ごせる相手がいるのだーーーっ!!と、感動したのだと思う。フェルゼンにしてみたらオスカル様とアンドレの間に横たわる身分差なんて障害のうちに入らないと思うし、不毛でもなんでもないさ!俺がこの恋、成就させたるわーーーっ!!!と、大切なひとの役に立てる喜び?こんなものに突き動かされ血祭りの舞台へ一人勢いよく舞い戻る男。

28話で涙し、打ちひしがれ、去っていった彼がこんな形で再度レスキューに現れようとは・・・これだからフェルゼン!あなたってば隅に置けないのよねぇ。

で、舞い戻った暴動現場なんですが・・・血祭りは佳境を迎えているようで、激やば!アンドレ激やばです!!
「吊るせーーーっ!貴族を吊るせーっ!!」って、吊るし上げってまさにこーゆーこと?撲殺とか刺殺とかでなく、首吊りさせて殺そうっていうのだから暴民たちのする事は凝ってます。なんでこんな風になっちゃったの・・・花の都パリはどこに行ってしまったの・・・?俺、ここでこんな死に方するなんてなぁ~・・・呆然。という表情のアンドレを救わんとフェルゼンは空へ向け発砲。注目を集めたところで「我が名はハンス・アクセル・フォン・フェルゼン!」と高らかに宣言。

フェル伯の決死の行動で一命を取り留めたアンドレではありますが注目がフェルゼンに移った瞬間高いところから落とされてるんでー・・・最後にどっか折れたかもね・・・泣。でも、骨の一本や二本なんだ!馬で逃げる人間を走って追いかけられると思うほどにパリ市民の怒りは加熱しているわけで、あと数秒遅ければあの世に逝ってましたって・・・。
助かって、本当に良かったね・・・・・オスカル様、アンドレ・・・。



ということがあり、混沌としたまま休暇、っていうか自宅療養のお二人です。
ばあやさん、大惨事だったわりにこの方は意外とダメージ少ないようで・・・てかオスカル様が軽傷で済んだので、孫の状態に関してはそんな感じでいいんですね・・・。(しかしオスカル様の発言に対してファイティングポーズとるの早くないですか?)で、ばあやさん退場。ひとりになったところであの時の自分の言動を反芻しもの思うオスカル様・・・そこへ作画が乱れて余計ボコボコに見えるアンドレ登場。ここではフェルゼンの無事を伝えるだけで贅沢にも彼はオスカル様の「一緒にショコラを」のお誘いを断るんですが・・・やせ我慢しているだけで多分物凄い痛いんでしょうね・・・。痛くてショコラどころじゃないのよマジで・・・って感じなんでしょうね。。。
というのを察してか特にそれ以上すすめないオスカル様、降りしきる雨を眺めながら再びご自分の世界に戻って『以前とはどこか違うわたしの不・思・議』について、想いを噛み締めます・・・。

いやー・・・観察日記は恐ろしい長さになっておりますが、32話ってBパートがやけに短く感じますよね?
ここから本日最後の衝撃エピソードです。

傷が癒え久々に出勤してみたら・・・ケツアゴが無断欠勤している。ということで、心配になったアンドレは給料を届けに行きたいと言い・・・その前に規則違反してるんだから何やってるんだとハッパをかけに行かないといけないんでは・・・なんですが、本来そーゆーいい加減な事をする奴ではないのでやっぱり心配が先に来ます。
で、給料を届けに・・・と言う優しい男アンドレについて「私も行くー」なオスカル隊長。なんか一気に“いつでもどこでも二人一緒”な関係に戻った感じですか?

この場面、アニばらご覧になった人は皆さん同じ感想を持たれると思うのですが、微笑ましいです。隊長としてではなくあくまでアンドレの後をついて行くオスカル様。アランの友達はアンドレなのだからして、私はその~ついでなんで、道案内やご近所さんとのやり取りも基本アンドレに任せます・・・な態度で一歩後ろに下がって非常に大人しいオスカル様。原作にはまずないアニばら特有のムードが二人を包みます。

血祭りに上げられたことで何よりも強い絆を思い出した二人。気まずい雰囲気はすっかり払拭されたようでイイ感じ~♪とか言ってる場合じゃありません。鼻壊れそうなこの悪臭・・・蹴破って強引に・・・とかしなくてもドア開いたので入るぞアラン。
・・・マイナスオーラ全開で出迎えたのはアランのお母さん。なんか、すごく嫌な予感・・・・・アランや~い、どこですか~・・・で奥の部屋のカーテンを開けて凍りつくアンドレ。
なん・・・なん・・・なんなんでしょうか・・・?あまりにキレイなお姿なのでお母さんの解説がなければそれが屍である事が信じられないほどです。シャルロットの時もそうでしたが、若い娘の芸術的なまでに美しいこの死に様よっ!!
ゴールデンタイムのアニメだからドロドロの腐乱死体はNG。っていうのの他にディアンヌちゃんのこの美しさには理由があるんでしょう・・・。着ているのは花嫁衣装なのでしょうか?首を吊って死んでいるのを発見し下ろしてあげたアランは花嫁衣装と同じくらい白く冷たくなってしまった妹を見て、その場を動けなくなってしまったようです・・・。アランの記憶の中にあるディアンヌちゃん。可憐だったそのままの姿で悪臭を放つ異様な光景。衝撃的です。

こんな時になんなのですが・・・こちらのオスカル様はアランに殴りかかってボッコボコにするとかいった隊長らしい(?)事は致しません。いや、ケツアゴは別に狂っているわけではないので殴る必要ないんですけどね・・・。でもまぁ、万が一狂っていたとしてもアンドレが正気に戻すんじゃないかなぁ。オスカル様は記憶に新しい首吊り用のロープとかを目の当たりにするだけで愕然となってしまいそう・・・。オスカル様が殴る前に、アンドレがやるでしょうね・・・あ、純粋にアランを思ってですよ。誤解してオスカルをビンタした恨み~・・とかではなく。
くだらない事を言ってる場合じゃありません。第32話、重いです・・・。嵐のプレリュードって、これでまだ前奏曲なんだ・・・?革命本番になったら一体どうなっちゃうんでしょうか・・・?
んで、ラストのナレーションがこれまたヘヴィーです・・・。

「・・・オスカルはふと予感した。愛する者 美しい者 生きねばならぬ者がある日突然 帰らぬ人となる
ひょっとして 新しい時代とはそんな哀しい時代ではないんだろうか・・・と」


言われてみれば、三部会を望む民衆のデモ行進はどこか鬱々として葬列のようだ。

って、暗・・・!!ゼエゼエ・・・・・・つい先を慮って動悸が激しくなりますが、しっかり目をこらして見届けましょう。
・・・ヒィーーー・・・長い・・・つづく!!


アニばら観察日記TOPへ戻る


フッターイメージ