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アニばら観察日記


あんた、そんなキャラだったのか!?
・・・原作を知らない私は当時、歓喜のあまり小躍りしましたっけ。涙・・・!!



第30話 「お前は光 俺は影」
 




晴天の霹靂と言っていい事態です。

いや・・・ここ最近のアニばら世界は決して晴天とは言えません・・・曇天、雨天、嵐天、それでもとにかく決行。
という波乱に満ち満ちた展開がすっかり寒色系に様変わりした画面いっぱい、繰り広げられているわけです。
あー・・・このまま行ったら、このアニメ、一体ど~なるの!?という堪らない不安感に苛まれながら手に汗握り、息を殺しつつ状況を見守る私。
嗚呼、アニばら。20話を過ぎたあたりからそれは少しの予断も許さない、まさに「緊張と驚愕の玉手箱や~~~★」という状態だったわけです。
それというのも・・・当時まだ小学生だった私。観ていたのは既に再放送として流れるアニばらで、当然池田理代子センセの原作は知らないわけで、も~ホントにマッサラな気持ちでアニばらという物語を追っていました。そんな私にとって・・
あのジェローデルがプロポーズして来たっつ~のは事件を超え、天変地異にも似た“異常な出来事”として、先ず最初は映ったのであります。



ジェローデル。原作の彼のことはこの時点でまだ知らないわけですが、アニメの彼だけ観て・・・それでも私は彼のことが大好きでした。


物語の中でこれといって何をするわけではないのですが、彼が出るとむっしょ~に胸がときめきました・・・。何かをするわけではない事を知りながら、必死で注目しエールを送る時間が、ただそれだけで充実していました。妄想なんちゅう言葉もまだ知らなかったと思いますが、彼のプライベートを夢想し「ああ~ジェローデルが○○してくれたらいいのになぁ~」なんて呟きながら通学路をモタモタと漫ろ歩いたあの頃・・・。それでも!「ああ~ジェローデルがオスカル様にプロポーズしてくれたらいいのになぁ~」なんて大それた事までは考えていなかった・・・はず。彼は異性であって異性でなく、とにかく恋愛に絡んで来るような・・・そーゆー生々しいキャラではないような気がしたから。
かといって、今流行りの「草食系」という感じでもないのです。彼は、ジェロ系・・・というしかない。

肉も草も彼には無縁で、ひたすら連隊長の片腕ガンバッてます!!という・・・オスカル様にとってはもはやアンドレ以上に空気な感じで、最高の箸休め的存在だったのだと思う。荒れる物語の中で「心が休まります・・・ジェロに想いを馳せると・・・・・」な感じ?
それもちょっと違いますか・・・なんか、凄く綺麗な造花を眺めるような感覚で彼を愛でていたのかもしれません。
そんな生温い感覚が、第29話のラストで一変しました。

私はいてもたってもいられなくなり、初めて母に「ねえねえ!ベルサイユのばらって知ってる!?」と尋ねるに至ったのです。母は・・・当然、知ってました。が、肝心の内容に関しては殆ど空白で「池田理代子って人が描いたマンガだよね~?そういや、あの人って思いきった行動して有名になったっけねえ!」と父と一緒に当時ワイドショーを賑わせていたらしいカッコいいスキャンダルの方で盛り上がってしまったのです。あのー・・・それはまたの機会に聞かせて貰うとして、ベルサイユのばらの内容は・・・?と訊いても、「はて・・・?宝塚でやってた事があるくらいだから、そーゆー感じの話なんだろうね」「フランス革命がどうとかじゃなかったか」「しかし、池田理代子は有名だね」と、まったく的を得ないまま時は過ぎ「ジェローデル?誰それ?」という事で、それっきり親とは決別しました・・・。
(この数年後、母は購入したビデオを一気鑑賞して、泣きまくったのですよ・・・初めて「心が通い合った」と思いました・笑)

予想通りというかなんと言うか・・・親がまったくもって当てにならないので、私は全神経を集中して考えました。今日はジェローデルの行動について全力で考えたいから学校は休ませてくれ。という感じだったのですが、そうもいかず。仕方ないのでクラスメイトが星新一のショートショート等で非常にフワフワとしている時、あるいは新美南吉のごんぎつね等でさめざめとしている時に、私は黒板を凝視しながらも頭の中はジェローデルの事でいっ~~~ぱい☆
完全に孤立しながらジェローデル進化論についてひたすら想像を巡らせていたのであります。
(こんなだから通信簿には毎回「いい加減、うわの空でいるのを改めましょう」と書かれるのです・・・)

アニメを観て、何故こうも苦しまなければならないのか!?情操教育云々と言われ「いいことだ」とか言われたりする傾向もあるんでしょうが、アニばらに関しての『視聴する悦び、または苦しみ・・・』というのは時として限度を超えて私の上に重く圧し掛かりました(じゃ~止めろよ・・・って話です・泣)
私とて・・・バカですが、ある程度の常識はそれなりにありましたので・・・たかがマンガ、たかがアニメなご都合主義が随所にあらわれるのは仕方ない、っていうか、それは当たり前なので全然気にせず楽しめていたのです、他の作品に関しては!・・・ただ、アニばらだけは~・・・好き過ぎて、信頼し過ぎて、あらゆる事がスルーできませんでした。

他のアニメのキャラクターが突如空を飛んで解脱しようがなんだろうが構いませんが、アニばら内では理由のない出来事が起こるはずがないのです。特にジェローデルに関しては!!

少女マンガの常識として“主人公の女の子はモテる。彼女が傷ついた時には誰かが必ず助けてくれるし男キャラはどういうわけか彼女の素晴らしさを見抜いていて、時期を見て必ず交際を迫って来たりして、とにかくそーゆー展開で読者をドキドキわくわくさせるものなのだ”という・・・一般論で納得してる場合ではない。オスカル様が失恋して傷付き、身近な男にちょっと乱暴な告白のされ方をして驚き、更に転職して疲れているので、ここらでジェローデルでも投入してひとつロマン要素追加しとくか。なんつ~理由でジェローデルが動くわけがない。ジェローデルがここまで思い切った行動に出るにあたっては相当・・・相当~・・やむにやまれね理由があるはずなのだっ!!というヲタクの信念です。他の・・・もっと普通の勉学に励めばなんぼか評価もされましょうが、アニばら以外興味なかったので。今も昔も・・・こればっかしで生きてます♪

というわけで、考え抜いたジェロの心理。それを一言で表現するのは難しいのですが、彼はつまり“責任を感じている”のだと思います。

連隊長が連隊長でなくなって、目の前から消えてしまって、どうしようもなく湧き上がるこの想い・・・。嗚呼~・・・どうした事か身も心も切なさで引き千切れそうだ。でもなんか甘くてとろけそうでもあり・・・。何っ!?なにっ!?これって・・・恋ですか?連隊長~~~(萌っ)・・・・・・・!!!なハイテンションな部分は勿論彼にもあったと思います。が、それより深い心理として彼は「彼女を軍人に推してしまった」という今更悔恨にも似た複雑な感情があるのではないか?

30話内に漂う独特にヘビーdeビターなムードはそーゆー・・・「THE 罪悪感。」で縛られ、絶妙にシンクロする頑固一徹軍人コンビ、ジャルジェ将軍&ジェローデルがバリバリ醸し出すものでまず間違いありません。


アニばらを観る限り、このエピソードは主人公二人を揺さぶる思わぬ恋のハプニング♪という感じではありません。惚れたはれた以前に・・・なんというか掟破りに渋いのです。何が渋いって燻し銀レニエの泣きのバリエーションが、です。
おとっつぁん・・・娘のクーデターに遭い、それまでの子育て方針っていうか、考え方を急速に改めていくわけですが、その過程たるや・・・想像すればするだけ切なく過酷なものがあります。

というわけで、原作とは一味違う『愚かなまでの親心』、そして不器用な男の精一杯の告白の形。30話のすべてはラスト、どアップで描かれるジャルジェ将軍の泣き顔に集約されるのだと思いますが・・・本当にいい話です。決して派手ではありませんが、そこらじゅうに愛が溢れております。やるせなさで胸が掻き毟られます・・・。

そう、アニばらはアンドレが草毟りする変わりに、我々視聴者が心を掻き毟って咽び泣きするべきで、もーーー・・・あんた、出崎さん、ヤバいよホント、こーゆーやり方・・・涙。というヒューマニズム溢れる珠玉中の珠玉エピソードに仕上がっております。なので読んで下さる皆様!古今東西アニばらを愛する皆様っ!!
・・・共に咽び泣きましょう・・・最高の家族愛に。そしてジェローデルのフラれっぷりに・・・うっうっうっ★



前回までのあらすじ。
男子に恵まれなかったジャルジェ将軍はやむなく6番目に生まれた女の子をオスカルと名付け、自分の跡継ぎにするべくスパルタ教育を施し、その結果、予想を上回る逸材に育て上げたまではいいものの、なんせ相手は複雑なお年頃の女子なので、ここぞという時に「NO!」と言われ、焦って暴力に訴えた彼はかえって娘との溝を深めてしまう。
一方、親父のこの駄目っぷりをよそに娘は名誉を守るべく独自のやり方で勝負をつけに行くのだが、如何せん無鉄砲なので当時の国王の怒りを買い、あやうく厳罰処分!というところに人知れず敗北した男が「彼女、凄い人材ですよ!本当、処分なんかしてる場合じゃないですよっ!!あーゆー人こそ重用すべき、これ絶対ですよ!!!」と国王に対し熱心に進言したようで、すったもんだはあったもののオスカルは当初の予定通り、近衛隊長という地位に就任する。しかし、これって自分の意志とは明らかに異なる展開なのであって・・・のっぴきならない事情がテンコ盛りだし、経緯は非常に複雑なのだけれど・・・とにかく愛と死の怒涛の運命に本格的に出発進行ーっ!してしまったオスカルは、その後の人生、もぅ本当に・・・*泣@★♪美○$~~~・・・!!!

というわけで、前回までっていうか・・・第1話のあらすじです。←ホントか?
これをもとに考えると・・・「じゃ~他にどんな道があったと言うのだ!?」という思いはひとまず置いておいて、晩年(そりゃなくね?)時代が荒れて来た時にふと立ち止まって自らの言動を振り返ったジェローデルが・・・猛然と苦悩するのも頷けようというもの・・・そう思いませんか?
ちなみに、原作のジェローデル。6巻で殆ど初登場で出て来て若干敵役ムードも漂わせながらの猛烈な活躍っぷり。そんで、いきなり婚約者扱いされたうえでの過激に美味しい場面の数々・・・その爆発的な台頭ぶりは他のキャラクターの比ではなく、存在の重要性とか身元が案外不確かだよなぁーとか、そんなもの以前に・・・てか得体が知れないからこそ!否応なく萌えざるを得ない特殊キャラとして、私は大好きなのです。
が、やはりここは第1話から登場しているアニジェロに、あらゆる意味で軍配が上がります。とにかく・・・

「ジェローデルというキャラクターを何のために第1話から登場させていると思ってるんだ!!」ということを私は声を大にして主張致したい!!


第30話までの紆余曲折を経て、オスカル様は疲れ果てています。
彼女自身がたとえ強がってなんか抗議して来たとしても、とにかくオスカル様は心底打ちひしがれているのです!


その主な理由はフェルゼンとの決別です。
アニメのオスカル様にとって『フェルゼンへの恋』はいわゆる『初恋』以上のものでした。

フェルゼンはガッツリ刺さり過ぎて何があろうが生涯抜けない棘です。これからの人生、フェルゼンはオスカル様の身体の一部なのです。


でも二度と会えない・・・すべて予想していた事だけど、いまだ動揺が続く自分も許せない・・・・・という、大変な葛藤の中に彼女はいるのです!!それを一体どうすくい上げてあげられると言うのか?
いざ、周りの男たちの力量が試される時です・・・。

は~~~・・・オスカル様ぁ~~~~~・・・・・

と言ったところで、オスカル様・・・周囲の人々とのベクトルの違いというか、あまりの展開に・・・大笑いしちゃいます。いよいよタガが外れてしまいましたか!?という程に、もうゲラゲラ笑っちゃった事でしょう。で、「あーーー・・・お腹イタイ♪」と呟いたところで、はたと考え込みます。・・・またも眠れぬ夜をお過ごしになったかもしれません。疲れが全然取れん~・・・SOS!!!

最も放っておいて欲しい時に次々と・・・知らぬところでモテオーラ大放出中の彼女。人生最大のモテキを向かえ、眠れぬ夜は容赦なく続くのでした。



アポロンの泉を背景にした・・・はい、第30話「お前は光 俺は影」 ・・・アンドレの心境をごくごくシンプルに表現したサブタイトルが美しいです。

なんというか、
人の絆が一時的にブッ千切れている今だからこそ、余計に「お前は光 俺は影」というアンドレらしい当たり前な想いが美しいのです。


「どんな事があろうが、お前になんと思われようが・・・お前を守れるのは俺だけだ。だって、お前は光・・・俺は影なのだから・・・・嗚呼~オスカル。オスカーーールッ(咆哮)」なんつって、日記にも熱くしたためていたんじゃないのか、アンドレ!!
くぅ~~~・・・あんたのそーゆー、なんちゅーか不屈の精神?意外にポエマーなところ?ジェロとはべっこで・・・とにかく無条件に愛しいわ。。。


で、Aパートでまず最初に登場するのが燻し銀代表コンビのこのおっさん達です。ブイエ&ジャルジェ。立場的にはブイエ将軍の方が格上らしく会話にも上下関係の様子が顕著に漂ってはおりますが、ブイエ将軍、決して偉そうなわけではなく・・・いろいろな意味でジャルジェ将軍に気を使っているのが分かります。信頼し合い、仲が良いのでしょうね・・・だからこそ、言いにくいのだが~・・・オスカル君の無謀な転職によって様々な波紋が~~~・・・いや、優秀ってのとは別に・・・女性ってだけで普通は、ねぇ・・・?等とおっしゃる格上ブイエ将軍に「娘には今、結婚の話をすすめております」と伝えるジャルジェ将軍。「・・・ほぅ」と振り向いたブイエ氏に「相手はジェローデルなんですが」と付け足していれば更に「ほぇ~・・・」となり、「何なに?近衛連隊の上層部でわしが知らない間にナニかあったのかえ!?」と、さぞや熱い関心を引けた事と思うのですが・・・疲れたお顔で「父親として・・・あれもそろそろ武官としては潮時であろうと・・・」等と続けてしまいましたので~・・いまひとつ盛り上がりに欠け残念でした。
それにしても、31、32歳で武官として潮時はないだろう?なんかそれって男尊女卑!あんたらは一体いくつなのさーっ!?ついこの間までは潮時どころか「これで少将に昇進間違いなしだーっ!!」とか叫んでいたのに・・・。衛兵隊では出世の見込みがないとみてガックリきてるのでしょうか?それもあるとは思いますが・・・ジャルジェ将軍、流石のスパルタ親父も突然のクーデターにいろいろ考えるところがあったのでしょう。過去を振り返るいい機会だったと思うのです・・・。それで、嘘偽りなく、「潮時であろう」と思うに至ったのだろうと・・・。
オスカル様の転職は彼の中でもまた、物凄い変化が起きた出来事だったのです。

場面展開。この人、誰・・・?はい、字幕スーパーのテロップがなければ解りませんね。「サン・ジュスト」と出ました。アニメから入った私は自然に受け入れる事が出来ましたが・・・原作のサン・ジュストが深く入ってる方には抵抗大だと思います。てか、史実ともだいぶ違うし・・・。この曲芸テロリスト、本当なんなの!?
ベルナールといいサン・ジュストといい、ロベスピエール先生は手下に特殊訓練を施す“THE ロベピ道場”でも持っているんでしょうか?しかしどうやら・・・こういったテロ行為は先生の命令ではないようで、むしろ困惑している様子です。「あいつ、目がイッっちゃてるよ~・・・この先も絶対何かやりそうだし・・・怖いよー・・・」という気持ち、よう分かりますとも・・・。


さぁ、ひと悶着あった後なので気まずい空気が依然充満しているでしょうが、衛兵隊の宿舎です。
ああ、ただの点呼でガラの悪さが解ります・・・「ふぁい!」とか「はいよ~」って返事があるか?まったく・・・普通に返事してるだけなのにアンドレのノーブルさが際立ちまくりですね・・・。
それから外へ出て、とりあえず隊員たちは命令をきいているようでパリ市内特別巡回とやらに出払って行きました。
それを待っていたのかどうだか分かりませんが、やって来ましたよジェローデルが♪
片手をあげて優雅に闊歩(馬がですが)してくる様子が・・・先程までの衛兵隊と非常に温度差あるなー・・・。

パカランパカランと近寄って来て、暗に「今夜デートしましょう」と誘うジェローデル。雰囲気からして「貴女さえお暇だったら、今から二人で出掛けませんか?」というような・・・仕事モードとはかけ離れたとってもジェントリーな物腰です。

こんなジェローデル、見たことないなぁ・・・(笑、でも感動)てか、見て分かると思うが暇じゃないし(泣)・・・プロポーズの事がなければ優しいオスカル様のことなので「どうしたジェローデル、こんなところまでわざわざ・・・さては近衛で何か困った事でも起きたのか・・・?」と相手にしてくれたでしょうが・・・すっかり警戒態勢に入ってしまわれたオスカル様は、先ず敬語になります。能面のような無表情なお顔で「ご都合は、悪いです!」という事だけ告げ、去る彼女。でも、こーゆー感じ、僕ぁ~すっかり慣れてますから。と、特に傷付く様子でもないジェローデルは愛しい人の背中を見送り「十分お気をつけて・・・私のオスカル・フランソワ」とか呟きます。・・・ま、言ってみただけだと思いますけどね。それだけで嬉しい・・・ってな感じだと思います。これも相当健気な男ですから・・・。

というわけで、あっという間に日が暮れて、先ずはアンドレがケツアゴ(アラン)からこんなアドバイスをされとります。「お前があの女隊長の従僕だってことはみんなにもうバレている。中にゃ~おめえが女隊長のスパイだって言ってる奴もいる。一人の時は十分気を付けるこったな」、って、スパイだのテロリストだのと・・・そのうちFBIとかCIAとかモサドとかアルカイーダとかまで登場して来るんじゃあるまいな?てか、従僕ってところも・・・ワケあって既に解雇されてるんで~、結局その噂いっこも合ってないんですけど。あ、ワケの部分・・・もしかして知りたいかい♪とかって言ってる場合ではなく、事件発生!!
やめろと言われているのに又もあの曲芸テロ師・サンちゃんがオペラ座にて人殺しを決行。そして、現行犯逮捕は無理でも、とにかく現場に急行するぞー!!つってんのに誰も動かねえ!?・・・流石のダグー大佐も焦って声を荒げますが、野獣どもってばまったく言う事をきかず、疲労感でいっぱいになるオスカル様なのでした。

夜勤明けでトボトボ帰宅する娘の姿を窓から眺め、・・・てか、疲れてる時に何もねぇ~・・すぐに呼び付けなくてもいいと思うのですが、疲れてるからこそ!頑固娘を説得できるチャンスかも。。。そーゆーわけで、いざっ、親父の出番です。
しかし・・・母上はどうなったのでしょうか?6人も御子をお産みになったものの、大層か弱く儚げな風情の方だったので、もしかしたら既に他界されてしまっているのかもしれません。

細かいことはどうあれ・・・アニばらで親子愛と言ったら『父と娘』であります。非常によく似た性格の二人であると思うのですが、異性であるのでそこには特有の葛藤が生じます。

てか、親父ぃ・・・これまで本当に酷い振る舞いが多々ありました。。。それが今回、突然娘のクーデターに遭い、一瞬は憤ったものの流石に考えを改めたご様子で・・・。
珍しく物腰柔らかに娘を呼び出すお父さん。反対に娘は目をつり上げご立腹モードだったりするのですが・・・まぁまぁ今日は冷静に話し合おうって言ってるだろ?そこへお座んなさい。という事で、娘も着席。先ずは娘の苦労を静かに労うところから会話がスタートします。
・・・我が娘よ・・・弱音を吐くな!強くあれ!!とこれまでどれだけ厳しく指導してきた事だろう?その結果なのか・・・今も目の前のお前は、お前は~・・・と、堪らず涙が込み上げる父ジャルジェ。その様子に「はっ」となるオスカル様が美しいです。てか、突然父に泣かれる娘の気持ちになってみろや~・・・レニエよ、それ反則だから!
涙を流し拳を震わせながら「わしの一生の失敗であった・・・」と自分の人生を嘆かれたオスカル様の心境を思うと・・・それこそ涙が溢れます。こういった行為が実際どれだけ残酷な棘となってオスカル様の心に突き刺さるのか察するに余りありますが・・・親父の方も、こればっかりは本音なのでありましょう・・・。二人とも哀れです。

そこから、父の突然の懺悔というか謝罪の言葉にオスカル様もモードチェンジし、じゃ~・・・ちょっとばかり私もぶっちゃけますよ・・・。という感じになります。だからってここから始まる一連の台詞って、親父に語って聞かせるにはちと大胆過ぎるのでは・・・!?白薔薇一輪を丁寧に毟りながら、非常に淡々と時間は流れておりますが・・・この親子の語らい、私などは物凄くドキドキしてしまいます!!それに・・・ジェローデルが気に入らないのなら他にもっと素晴らしい相手を探そう!ってのも引っ掛かります・・・そうかと言って「いや、ジェローデルが気に入らないとかではないのであって・・・」等と言おうものなら「そうか!そうか!!」と即日結納とかにもっていかれそうなので・・・困ったものです。
ちなみに、アニメの場合この父は「婿を貰うので跡継ぎを産め」と言ってるわけではないのです。この際、後継者なんかはも~どうでもいいのだと思う。一刻も早く安全で自然な環境に娘を戻す為に、気前よく嫁にやる気でいるのですよ。
だって、なんかこっちのジェローデルって長男な気がしますし、『ワタクシごとのお願い』に来た時にハッキリ「お嬢様を戴きたい」と言ってるようなので、それって婿に貰って下さいっていうよりかは嫁に下さいという話なんだと思われます。で、将軍はOKした。相手がジェローデルでなくなるなら話は別だと思いますがね。
というわけで、白い薔薇。アニメのオスカル様は食わずに吹き飛ばしました・・・ふぅーっ・・ってされてみたいでっす(ムッハーーー☆)


そーゆー感じで名場面だらけの今回30話ですが、こっから特に熱いです。とってもアニばららしく燃える仕上がりなので目をこらしてよく観ましょう♪


おばあちゃん、オスカル様に面会日をきいたようで、会いに来てくれました。おばあちゃんの味が恋しくなったから、休暇になったらすっ飛んで帰るさ!と可愛い事を言う孫に、これ隠しておいたらかえってあれかねぇ・・・と言う事で、お嬢様の結婚話が起こってるんだよぉ・・と。アンドレのその後の荒れっぷりを見ると恐らく相手がジェローデルである事もばあやさんは話したのだと思われます。
アンドレ・・・何故そこまで動揺するのか?結婚しろと言われてあのオスカル様が「はい分かりました」と言うはずないんです。でも、相手がジェローデルだったらどうだろう?絶対にないとは言い切れないかも・・・うわ~~~っ!!なんだこの不安感!?フェルゼンの比じゃねえーーーっ!!!と、テンパり、とりあえずダッシュするアンドレ!よりによってこんな火の玉状態の時に喧嘩を売って来たヌリカベ&野獣どもよ、ありがとうっ★ 景気よく買ってやったアンドレは「げ!!こいつ、こんな性格だったのかよ~~~!?」と、傍観者たちをさぞや驚かせ、ビビらせた事でしょう。


Bパートに突入しています。アンドレ、どうやら5対1の喧嘩だったようで・・・なかなか豪快な暴れっぷりだったとは思いますが残念・・・負けてしまいました。集団リンチで袋叩きというやつです。
嵐が去った後現れたアラン。騒ぎになる前に十分止められたと思うのですが・・止めては駄目なんでしょうねぇ。どうやら男の世界の、こーゆーのは一種の掟のようです。
普段からニヤニヤしてる事の多いアランですけど、喧嘩が始まった時も二度とやるなと言って牽制した時も、なんか妙に嬉しそう・・・。きっとアンドレがどれだけやれるか興味があったのでしょう。それで、結構むちゃくちゃやってくれたので、爽快さもあったのだと思う。女の人は怪我とか後遺症とかについて激しく心配するものなので、こーゆー心境はよく分かりませんが・・・アンドレ、晴れてアランに「おめぇ合格っ!!」と太鼓判を押された感じ。更に・・・なんでこんなになるまで暴れちゃったのかっていう部分が、ツボをついたようです。

オスカル様だって喧嘩を止める事は出来たと思ふ・・・。なんで黙って見てたんでしょうか?いや、実際ボコボコにされてる現場を見ていたら何かしたと思うので、やられ終わってから現れたんだとは思いますが・・・・・きっと、いろいろ思って動けなかったんだと思ふ・・・。アンドレったら自分の為にこんなに乱れちゃって、殆ど気絶しながら「結婚なんてやめてくれぇ・・・」とか言っちゃって・・・・・。ブラビラれた時の衝撃がまだ生々しく残っていると思いますけど、だからこそ「・・・アンドレ、そこまで私が好きか?」という感動・・・いや、屍みたいになってる姿を見て感動してる場合じゃないんですが、でも、女なら絶対胸を熱くしているはずです。

同時にそこまでの“熱血LOVE”にまだ全然応えられない自分がいるわけで、彼女の事だからこーゆー時、罪悪感を抱いちゃったりするんですよ~・・・。


そんな複雑で繊細で、みんなには内緒♪な二人のご関係。
気付いちゃったもんね~!!でひとり上機嫌なアラン班長。
こーゆー演出、男性の監督ならではって感じで、初めて観た時、萌えまくりました(何百回観たって萌えは色褪せずヨ♪)。



さて、燃えるような夕日をバックに、次に待ち構えていたのはジェローデルです。

・・・ええなぁー・・・モテモテやんか~・・・

誰もかれもが非常に切羽詰り、寿命を縮める感じで告白して来る様子が本気を物語ります・・・。


重い・・・重いよ、アニばら。こんなにもモテフェスティバル♪という回でありながら、全く浮かれていられない・・・。どうしようもなく切なくて、嗚咽してしまいそうな場面が畳み掛けるように続きます。

アニメのジェローデルは不自由の化身のような人ですね。
彼にとってオスカル様は永遠に崇拝する天上人みたいな存在なのかもしれません。だから結婚等という形でなくても良かったんです、きっと。傍で支えて、同じ目標を持って、信頼し合えていれば、ただそれだけで幸せな人生だったような気がします。妻にしてチョメチョメしたい・・・なんて!っか~~~!!!何恐れ多いこと考えてやがんだ、馬鹿!俺の馬鹿っ!!みたいな・・・一見クールな男ですが内面はそんなアホみたいに生真面目なところがあって、それが彼の魅力のひとつだと思う(そうか?)。

更に、彼は「貴族という家柄でなかったら・・・」と、暗にアンドレ・グランディエが羨ましいという事を言って精一杯想いのたけを伝えておりますが、貴族の身分なんかいつでも捨ててやるくらいの気概はあったと思いますよ。しかし、それをして追いかけてみたところでオスカル様が困惑するだけだと解っているのです。

自分はアンドレのような存在ではないし、近衛を退かれた今、完全に己の役目が終わりを告げた事を悟っている。でも、伝えずにはいられなかったんでしょうね・・・。しょうもないくらいに愛してしまった事を・・・彼とてオスカル様に、せめて知っていて貰いたかったのです。

苦しみの愛じゃーーーっ!!ここにもまたひとつ・・・最強クラスの苦しみの愛があったのじゃーーーっ!!!

でも、苦しいだけで終わらないように・・・彼にはきっと、いい事が起きるような気がします。オスカル様の魔法というやつです。たとえ今は「貴族である以上、従僕のことを言う資格はない。あなたにも私にも」と若干八つ当たり気味に言い放たれ冷たく去られても・・・彼はきっと大丈夫です。。。




で、大丈夫でないのはこの人です。お父さん・・・この間の話し合いは何だったのでしょうか・・・。娘の幸せを願うのは結構なことですが、またもや「命令する!」とか言って・・・威圧的なんだよなぁ~・・・もう答える気にもなりませんよ・・・というムードでひたすら鍵盤をブッ叩くオスカル様なのでした。

一方、盛大に的を外した企画なんですがパーティーを結構楽しみにしている様子のブイエ将軍。これまで舞踏会の主催者になった事なんかないでしょうからね・・・変なことしそうで、いろいろと不安が募ります。ってところで・・・出たっ!?神出鬼没、曲芸テロ師サンちゃんの今回のターゲットはブイエ将軍だったようで・・・おいおい!顔も知らずに待ち伏せしてたのかよ!?いつかのロザリーを上回るうっかり者です。もっとしっかり事前調査しとけ~~~・・・!!

血相を変えて馬をカッ飛ばすオスカル様。「ジャルジェ准将ーっ!お父上が暴漢の襲撃に遭い危篤だそうですーーーっ!!」とかなんとか報告を受け猛ダッシュで帰って来たのでしょう。部屋へ飛び込んで行った瞬間ばあやさんから「大丈夫ですよ・・・」と言われ、思わず泣き崩れてしまいます。

突然親が危ないと言われたら・・・会えなかった事、言えなかった事、きっと様々な事が頭を過ぎると思います。後悔だってたくさんする事になるでしょう。ましてやオスカル様と親父の関係です。とてもとても言葉にならない感情が、いっーぱい込み上げて来たのでしょうね・・・。


最悪の事態を免れてホッとした瞬間、涙がドバーーー・・と溢れて来てしまうなんて、素敵な親子関係だし、つくづく優しい娘です。そして暇だったんでしょうか・・・何故か先に屋敷に戻っていたアンドレがそっとハンカチを差し出す仕草が「嗚呼~・・・他人じゃない」と、しみじみ・・・しみじみ“家族”の絆を感じる美し~い場面なのでした。

意識が戻って結構元気なジャルジェ将軍。今や猛然と「娘のフツーの幸せを願うのみ!」なので・・・犯人を捕まえるよりもおまえが早く花嫁衣装を着てくれる方が嬉しい・・・等と言い。
最近のあんたの一挙手一投足、全てに胸が痛いわ by オスカル・フランソワ・・・

更に、オスカル様がお着替えなさってるというのに給仕をする時も何故か軍服姿で謎なアンドレ。彼をつかまえ無神経な頼みごとをするので、もー・・・ホントに頭イタイ。ってところかもしれません。【何も知らない】って、罪ですよねー・・・


んで、「明日」になりました。
奇跡的に助かった旦那様とのお約束なので律儀に「舞踏会の時間ですよ・・・」と声をかけに来るアンドレ。あんた・・・本当にいいの?と突っ込みたくなる場面ですが、これって仕方ないんじゃないですかね~・・・溜め息。オスカル様もどう反応していいかよく解らなかったと思いますが、とりあえずキレてます。
しかしねー・・・「よい、供はいらぬ!」って怒鳴られた瞬間、私がアンドレならカッチー・・ンときて即座にキレ返すか、さもなくば泣きますが・・・固まる彼はホント、打たれ強いと思いますわ~・・・笑。
お陰で、オスカル様から意味深な言葉を掛けて貰えたのだから・・・良かったねっ、アンドレ♪
「アンドレ、そう簡単に私は 嫁にはいかん」って・・・・・・そりゃそうだ。そうなんだろうけど・・・もっとなんか、希望の光が燦燦と降り注ぐ感じ・・・?
うぉ~~~!!やっぱりオスカルっ!!!俺、ついて行きたいんですけどーーーっ!待ってぇ~~~・・・(はぁと♪)ですな。



そーゆーわけで、ようやくラストです。これ、読んで下さった方には本当に感謝ですから・・・。長過ぎていつもすいません!

いや~・・・やっちゃいましたね。舞踏会慣れしてないブイエ将軍・・・
彼ったら会場のレイアウトや揃えた楽団や提供するお飲み物やお食事には気合いを入れたのかもしれませんが、男ばっかし呼んじゃいました。

これでどう舞踏するって言うんでしょうか?

男女で踊るわけではなく・・・もしかしたら・・・花婿選抜特別プログラムはひとりづつ順番に舞を披露して貰い、その中からセンスのよかった者をオスカル様がチョイスするという・・・・・ベルサイユ宮も驚く程の近年稀にみる“オスカル様争奪 ストレンジ ダ~ンス甲子園!!”になる予定だったのかも。
あ~ぁ、それなのに、オスカル様ったら軍服で来てしまい「これは奇妙な舞踏会ですねぇ」なんつって・・・ミモフタモナイことをおっしゃって・・・・。

冗談はさておき、この場に集まったのって全員独身なわけですよね?・・・地味な奴からチャラ男まで、まぁ~よくぞ集まったもんです。ここへ来ただけでも一定量以上のハンター精神と、何より“大いなる夢”を持ち合わせた男という事で・・・平均点以上の評価をしてやってもいいんじゃないかと私は思います。

その中でジェローデル・・・「頼むからこいつらと一緒にしてくれるな・・・」という居た堪れない様子の佇まいが痺れるなーマジで。。。


彼、舞踏会を開いて大勢の中からオスカルに相手を選ばせるからと言われた時に、信じられなかったと思うんです。自分がすんなり夫になれなかった事では勿論なく・・・連隊長、本気で結婚とかってする気あるんですか!?というような。。。

矛盾しておりますが、そこらのヘタレ貴族のものには決してならず、自分のものにもなってはくれない連隊長。というのが一番自然で納得できる状態だったんでしょう。それ故に「オスカル・フランソワを軍人にしてしまった」という小さな罪悪感の棘は彼の心をチクチクと刺激し続けるのです。

で・・・チクチクどころではなく、グッサリ心臓をえぐられる感じのお父さん・・・。人目もはばからず号泣する姿に、号泣です・・・・・。


最後の台詞、最初はブイエ将軍に話しているのだと思っていました。

でもこれ、ジェローデルに話しているんですよね・・・よく観るとジェローデルの髪や肩が確認できます。


ひとまわり小さくなったような将軍が目の前で泣き崩れるのを見て、かけてあげられるどんな言葉が彼にあったでしょうか?彼らもまた、オスカル様をめぐる運命共同体なのだという事を強烈に語りかけてくる演出は、ごっつー・・見事です。

こうして・・・男女のラブアフェアーの前に第30話は深く切なく美しい、大きな家族愛のエピソードなのでした。つづく!!

          

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