ラグビーとアメリカンフットボール
スポーツ文化の違いとマネージメント
[ヨーロッパ型スポーツマネジメント]
ラグビーやサッカーなどのようなヨーロッパ生まれのスポーツには,発生の動機からして不撓不屈の精神主義(ナイトシップ),上流階級の社交の精神とかいうものが見られるという。
ラグビーでは分業がアメリカンフットボールほどではなく,一人がいくつもの役回りをせざるを得ないようにゲームが進行する。全員が団子のように固まってボールを奪い合い,時に展開し,幾人もの選手の手をボールが渡って,波のようにゲームが進んでいく,スタンドオフやスクラムハーフの司令塔もそれほど意味を持たない。
ゲーム中に監督が芝居の演出家のように背広姿で観客席にいるのが極めて象徴的でもある。
[アメリカ型スポーツマネジメント]
アメリカンフットボール,野球,バスケットボール,バレーボールなど,アメリカ生まれのスポーツには,アメリカ人の合理主義,実用主義思想が色濃く,ゲームの内容を最高のものにするために人為的な要素を好んで取り入れている。
そこにはオフサイドなどという不合理なルールは無いのだ。時に監督やコーチが映画監督のように脇で選手をこまのように動かしている。 このようなゲームでは創造力とか判断力は言ったマネジメントスキルは一部の人に求められる能力である。
アメリカンフットボールの場合,フォーメーションという戦略を構築してから攻守を考える。分業が徹底され,スペシャリストが育成されることになる。選手は,クォーターバックの指令のもと,きちんとしたプランに従って行動する。 ゲームはしばしば中断し,そのたびごとに新しいプランの行動が企画され,動と静のリズムを持って,時計仕掛けのようにシステマチックに動くのだ。
この極めて中央集権的なマネジメントを必要とするゲームとなっている。
[日本型スポーツマネジメント]
相撲,柔道,剣道,弓道には,茶道,華道,能などのように,「流儀」という型が存在する。 すべての人を1つの「型」にはめようとする。 この日本型スポーツは、自己の流儀を作り出し,その「のれん(ブランド)」を守るという特殊なマネジメントを必要としている。 これは,強さ以外の優雅さや神秘性,そして精神性を強調し,その差異性を売り物としてきた。
この日本人の持つ精神性の強調や,神秘性を持たせることでの高度化は,先の異国の地で生まれたスポーツにも適用して今日に至っている。