ニミッツ・クラス

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パトリック・ロビンソン 著/伏見威蕃 訳
写真提供 "世界の艦船"
カバー 暁印刷
角川文庫
ISBN4-04-287301-4 \1,000(税別)

 インド洋上で演習航海中にある、ニミッツ級の原子力空母、"トマス・ジェファーソン"。幾多の艦艇で周囲を固め、鉄壁の防御と圧倒的な攻撃力を誇る空母機動部隊の中核が、突如目も眩む閃光につつまれ、そしてその巨体を消し去った。原因不明の核爆発。一瞬にして6,000名以上の将兵と、数十億ドルの兵器を失ったアメリカ全土に衝撃が走る。原因不明の事故なのか、それとも………。"ジェファーソン"とともに蒸発した空母戦闘群参謀長、ボールドリッジ大佐を兄に持つ核兵器管理の専門家、ビルは、この"事故"に不可解な物を感じ取っていた………。

 ハイテクの限りを尽くした世界最強の戦闘ユニットの中心で起こった大惨事の陰に潜む陰謀に挑戦する、英国のものとしてはひさしぶりの壮大な冒険小説(訳者あとがきから)、では断じてないぞこれは。

 主人公が打ちのめされ、そこから自分の力で立ち直り、そして巨大な敵に立ち向かって行かなきゃウソじゃんよ。絶体絶命の危機に立ち向かわなきゃダメじゃんよ。その背景にいくらでもハイテクがあったり、現代戦のディティルがしっかり書き込まれてても、それだけじゃあ、だめだめなのさ。で、このお話にはそれが全くない。英国潜水艦乗りのかっこよさあたり、うんうん、蛇の目ファンとしちゃあうれしいんだけど、それはそれ、これはこれ。「冒険小説」としては落第じゃ。「仮想ノンフィクション」としてなら、んー、許さんことも………やっぱり許さぁぁぁん(^^;)。

01/4/3

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