ファンタジイの殿堂

伝説は永遠に(1)

表紙

ロバート・シルヴァーバーグ 編/風間賢二・他 訳
カバーイラスト ©Michael Whelan
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワFT文庫
ISBN4-15-020279-6 \740(税別)

 「SFの殿堂」に続くハヤカワ文庫30周年記念企画は「ファンタジイの殿堂」。うーむ、わたしゃ基本的になるべくファンタシィは読まんようにしよう、と思っているんでありまして、それはともすればファンタシィってモノが世の中からの安直な逃避に繋がるものではないかと思ったりしているからなんですね。幻想の世界で現実とは完全に縁を切って楽しむ、てのもいいんだけれど、余りに度を超してしまうのはよろしくないんではないか。需要が増えたら粗製濫造にも拍車がかかるわけだし。

 とはいえ良質なファンタシィってのもこれはこれでしっかり存在するわけで、それらまで否定しちまってはいかんだろうな、などと思いつつ、ファンタシィに押されて低調なSFの流れを見るにつけても、この手の作品集を読んだりすると、それなりに(というか充分に)楽しめつつもちょっぴり複雑な思いを抱いたりしちまうんでありますね。ま、SF自体がファンタシィの分派であるとも考えられるわけだし、ものごとの流行りすたりってのはこりゃ確かに存在するわけだから、あんまり短いスパンで一喜一憂しないほうがいいのかもしれないしね。

 てな訳でいずれ劣らぬファンタシィの看板シリーズの書き下ろし外伝集第一弾。収録作品は以下のとおり。

 個人的に一押しはなんといってもカードの「アルヴィン」のシリーズ。角川文庫でぼつぼつと邦訳が進んでいるシリーズの外伝で、邦訳が済んでいる部分に限って言えば、まだまだひよっこの少年でしかないアルヴィンですが、この外伝では一人前の青年として、旅の連れもできた状態で登場。アメリカの歴史上、極めて有名なとある人物も登場して興味津々。これを機会に本編のほうももっと邦訳のペースをあげて欲しいもんです。

 書店でそのタイトルだけは知っていたけど初めて読んだ「リフトウォー・サーガ」も、もしかしたらオレ好みなのかもしれない、て感じでありました。総じてお買い得な一冊っす。

00/10/23

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