Tuesday Night Music Club
(アルバム, '93)
ポリドール, POCM-1054(日本盤・オリジナル盤)
ユニバーサル・インターナショナル, UICY-3542(日本盤・再発)
A&M, 540 126-29(英盤)
A&M, 31454 0126 2(米盤)


曲目

Cover of TNMC (JP)
写真は日本盤ジャケット(クリックすると英盤ジャケットに変わります)

1. Run, Baby, Run
2. Leaving Las Vegas
3. Strong Enough
4. Can't Cry Anymore
5. Solidify
6. The Na-na Song
7. No One Said It Would Be Easy
8. What I Can Do for You
9. All I Wanna Do
10. We Do What We Can
11. I Shall Believe
*歌詞についてはオフィシャル・サイトを参照のこと(Discographyにあります)

クレジット
(ソングライティング)
 1. Bill Bottrell, David Baewald & Sheryl Crow
 2. S.Crow/B.Bottrell/D.Baewald/K.Gilbert/D.Ricketts
 3, 6. S.Crow/B.Bottrell/D.Baewald/K.Gilbert/D.Ricketts/B.Macleod
 4, 12. Sheryl Crow and Bill Bottrell
 5. S.Crow/K.Hunter/B.Bottrell/D.Baewald/K.Gilbert/D.Ricketts/B.Macleod
 7, 10. S.Crow/B.Bottrell/K.Gilbert/D.Schwartz
 8. David Baewald and Sheryl Crow
 9. W.Cooper/S.Crow/B.Bottrell/D.Baewald/K.Gilbert

(プロデュース)
 Bill Bottrell

解説
アメリカでは'93年5月、日本では遅れて11月にリリースされたSherylのデビュー作。アルバムタイトルはこのアルバムが毎週火曜日にBill Bottrellのスタジオに集まってセッションを重ねるうちに出来上がった(これに関してはブックレットにSheryl自身の説明が記載されている)、という逸話に基づいており、アルバムの性格を的確に言い表わしている。Sheryl名義で発表されたアルバムで実際全曲でSherylはソングライティングに関わっているが、クレジットを見ると分かるように、ここでは"Tuesday Night Music Club"に参加したミュージシャン達の貢献も大きい。

発売当初はかなり地味な売れ方をしていたが、セカンドシングルLeaving Las Vegasの頃からはMTVにかかりはじめ、当初シングル化の予定がなかったAll I Wanna Doをラジオ局からのプッシュでシングルカットしたのを契機に非常に大きな成功をおさめることとなった。All I Wanna DoはWoodstock '94への出演後全米チャートを急上昇し、最終的には第2位(6週間)まで上がる大ヒットとなり、Sherylにグラミーのレコード・オブ・ザ・イヤーをもたらした。アルバムのほうもアメリカだけで600万枚、世界的には900万枚を売り上げた。

このアルバムはフォーク、カントリー、ジャズなどの要素がわりとわかりやすい形で随所に窺え、その後の2作とくらべるとその点でバラエティに富んでいる。彼女の敬愛するストーンズを連想させるシンプルなロックのCan't Cry Anymoreがあるかと思えば、ラップ風のThe Na-Na Song、またジャジーなNo One Said It Would Be EasyやWe Do What We Can(なんと邦題は”スイング・ジャズを聴きながら”!)があったりといった具合だ。歌詞についてはRun, Baby, RunやLeaving Las Vegasで顕著なように物語風のものが多く、彼女独自のソングライティング・スタイルがここで早くも確立されている。

今聞くとSherylの歌は成長途上で若さを感じさせ(Leaving Las Vegasなどで少し苦しそうに歌う場所もある)、そして声が幾分加工されてダイレクトに響いてこないためにライブで聞くのとは大きく異なった印象(その後の2作でのTchad Blakeのミキシングの的確さが分かる)を受け、物足りない。私はこのアルバムを日本での発売間もない時期(11月)に購入したが、All I Wanna Doのヒットで見直すまであまり聴く気になれなかったのはここらへんに原因がある。しかし曲自体は今でもSherylの曲として十分通用するものが多く、特にアコースティック・バラード、Strong Enoughや声を絞り出すように歌うロッカ・バラード、I Shall Believeなどは代表曲と呼ぶにふさわしい。

大ヒット曲All I Wanna Doに関しても、ヒット時のヘビー・エアプレイで今では聞き飽きたという人が多いが、ウェスト・コースト・ロックの流れも感じさせつつポップで軽妙に仕上げたそのサウンドは当時やはり古くて新しいもので、インパクトがあった(ビデオのインパクトも大きかったが、笑)。

All I Wanna Doのインパクトが強すぎて、その歌詞(have some fun...)とこの曲で顕著なSherylの"キャンディ・ボイス"とから当初持たれた軽いイメージにSherylは苦しむことになるが、次作のリリースでそれが間違いであったことを証明してみせる。

できることなら今のSherylのセルフ・プロデュースで再録音したものが聴いてみたい気にさせられるアルバムである。
 

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