Good Rockin' Tonight - The Legacy of Sun Records
(コンピレーション, '01)
ワーナー, WPCR-11170(日本盤)
Wea/Sire(米盤)
London-Sire Records, 31165-2(英盤)
曲目
1. That's All Right
2. Mystery Train
3. My Bucket's Got A Hole in It
4. Blue Suede Shoes
5. Whole Lotta Shakin' Going On
6. Blue Moon of Kentucky
7. Sittin' on Top of the World
8. Don't Be Cruel
9. Red Cadillac and A Black Moustache
10. Just Walkin' in the Rain
11. Lonely Weekend
12. Who Will the Next Fool Be?
13. It Wouldn't Be the Same Without You
14. I Walk the Line
15. Drinkin' Wine Spo-Dee-D-Dee
16. You Win Again
アーティスト
1. Paul McCartney
2. Jeff Beck & Chrissie Hynde
3. Jimmy Page & Robert Plant
4. Johnny Hallyday
5. Elton John
6. Tom Petty & the Heartbreakers
7. Van Morrison & Carl Perkins
8. Bryan Ferry
9. Bob Dylan
10. Eric Clapton & the Impressions
11. Matchbox Twenty
12. Sheryl Crow
13. Chris Isaak
14. LIVE
15. The Howling Diablos featuring Kid Rock
16. Mandy Barnett with The Jordanaires
*こちら(7, 16以外)かこちら(10, 16以外)で試聴出来ます
オフィシャル・サイトはこちら
解説
'52に設立され、Elvis Presleyを始めとしたアーティストを送りだしてロックの草創期を拓いた伝説的なレーベルSun Recordsへのトリビュート・アルバムで、同名のドキュメンタリー番組(アメリカでは独立系テレビ局で放映)のサントラ盤と位置付けられるコンピレーション。Elvis PresleyやCarl Perkins, Jerry Lee Lewis, Johnny Cash, Charlie Richなどが同レーベルから発表した曲を、SherylやPaul McCartney, Bob Dylan, Elton John, Eric Clapton, Bryan Ferryなどがカバーしており、そのほとんどはこのアルバムの為に新たにレコーディングされたものである(7だけは例外か?)。
SherylによるWho Will the Next Fool Be?はCharlie Richが'60に発表した曲のカバー。要所でのベースの音がBeatlesのOh Darling!によく似た曲(Paul McCartneyはこの曲に影響を受けたに違いない)で、ギターの音で始まるもののオリジナルを結構忠実になぞっている。クレジットは記載されていないが、ピアノ(Sheryl?Elton JohnやJerry Lee Lewisのようにかなりロックしてます)、ベース、ギター、ドラムが聞こえ、Sherylによるバックコーラス(これはちょっと控えめ)も入っている。Sherylの歌声はリラックス、というか”ルース”といった方がぴったりくるもので、終盤は(元)Terence Trent D'arbyのWho's Loving Youでの歌唱を思わせるソウルフルさがある。こういうSherylは久しぶり。なおプロデュースは珍しくSheryl本人ではなくGeorge Drakouliasという人で、'80s後半にPublic Enemy等のラップ系アーティストを擁して一世を風靡したDef Jam Recordsの設立者の一人で、Black Crowesのプロデューサーとして有名。
Paul McCartneyがElvisの初レコーディング曲として有名な曲をカバーした1は楽しみながら演奏してるのが分かって微笑ましい。Elvisの代表曲8ではBryan FerryがElvisのバックを務めたScotty Moore & D.J.Fontana(この二人は他にも数曲で演奏に加わっている)やMark Knopfler, Jools Hollandを従えてオリジナルに忠実なアレンジで歌う。Van Morrisonが故Carl Perkinsとデュエットする7ではVanの実にソウルフルな歌声が出色の出来。Sun Recordsのレパートリーを愛聴しているに違いないChris Isaakが歌った13(Elvisも歌った、Hank Williams Sr.の曲のカバー)も”らしい”仕上がりで、浸りながら歌ってるのが分かる。Bob Dylanが途中微かに笑いながら歌う9や、Elvisを再現したかのような4(この人フランスのElvisと言われてるベテランらしい)、Eric Claptonがゆったりとした歌を聞かせる10なども面白い。イメージ的にはこれほどハマったものはない5でのElton Johnの歌が予想したほど”跳ねた”感じにはなっていないのがちょっと意外(でもピアノの音は十分元気)だが、各アーティストが雰囲気まで大切にしてカバーしたという感じの曲が並んでいて、オリジナルを知っているほど楽しめるアルバムだろう。なお16は裏ジャケットには印刷されていない”ボーナストラック”(これも良いです)。