タイミング

「ちょいと、ごめんなさいよ」
「わ、なんだ、おっさん。おいらが入ろうとしてたのに!」
 ドッポーン。
「やったー、お兄ちやん!ざまあみろだね!」
「わはは、大成功、大成功」
「どんな、まぬけな顔してるか見てやろうぜ」

「あれ、これ、オオカミじゃない!人間だよ」
「ほんとだ、でもなんで人間がこんな所から入ってくるわけ?」
「とにかく、助けないとやぱいよなー、熱湯だし」
 3匹の子豚は、煙突の下のカマから、その人を担ぎだすと、冷た
い水をかけました。
「おーい、しっかりしろー」
「あ、何か言おうとしてるみたい」
「どれどれ」
 その人は、息も絶え絶えに、こう言いました。
「メリー…クリス…マス」

「あのおっさん、びっくりさせるよなー。まあいいか、久しぷりに
トナカイ食えたことだし」
 レンガの家の屋根の上では、オオカミが思いもよらぬブレゼント
を貰っておお喜びでしたとさ。
 めでたくなし、めでたくなし。