縦には振れない

「キミの気持ちがわからんでもないんだ。でも、今はもうキミの活
躍する場はないんだよ。まあ、あんな場所にキミを閉じ込めるのは
僕としても気が進まないんだが、上からの命令には逆らえないんだ
よ。わかってくれないかなぁ」
「……」
「ん?もう一度だけチャンスが欲しい?しょうがないなあ、1回だ
けだぞ」
「○○○○」
「そうかそうか、まだ現役でやれるって言いたいんだな。でも、そ
うやってキミが一所懸命になればなるほど、今はうとましく思うや
つも多いんだよ。頼むわかってくれ」(肩を叩く)
「←→←→」
「そうか、そうだよな。キミが首を縦に振らないのももっともだよ
な。必要なときだけ朝から晩まで酷使しておきながら、用がなくな
れば、はいさようならじゃあんまりだもんな。でも、これ以上キミ
に活動されたら僕が上から怒られるんだ。スマン」
「……」
「世間の風あたりが強すぎる?はは、うまいこと言うなぁ。ま、そ
う嘆くな、また時期がくれば、ここに戻ってこれるんだから」
     ◇     ◇     ◇
「あなたっ。いつまでも遊んでないで、早く物置にしまってきてよ、
その扇風機」