四人組の宇宙人

 小惑星が、地球に激突しそうだというニュースが全世界をかけめ
ぐった。まるで、月のようなクレーターに覆われた、その惑星を発
見したのは、日本の科学者であった。

「おい、計算はできたか?」
「は、はい、このままだと、鳥取砂丘に落ちることになりますね」
「砂丘か、まあ、不幸中の幸いじゃのう。都心にでも落ちたら、大
惨事になるとこじゃった」

 科学者の計算どおり、惑星は鳥取砂丘に落ちた。直径10メート
ルほどの、白い惑星であった。計算外だったのは、惑星に続いて、
一隻のUFOが飛来したことである。
 UFOの中からは、四人の巨大な宇宙人が姿を現した。

「すみません、あなたがたはいったい?」
 勇気ある地球人が、翻訳機を片手に話し掛けた。
「わたしたちは、名乗るほどでもない、ただのゴルファーです。す
でに、この形、色からお気づきの方もおられると思いますが、これ
は、我々のゴルフボールなのです。銀河ホール、320光年・パー
4をプレイ中に、私の打った球が大きく曲がってしまい、このバン
カーに入ってしまったのです。すぐ、打ちますから、ちょっと待っ
ていて下さい」
 そういうと、宇宙人は、東京タワーほどもあるゴルフクラブで、
激突した惑星を大気圏の外へ打ち出した。『お静かに』と書いたプ
レートを、別の宇宙人が持つ中で生まれた、ナイスショットだった。
「それでは」
 そう言って、飛び去ろうとする宇宙人に、さらに勇気ある地球人
の男が声をかけた。
「ちょっと待てよ!たまたま、砂丘だからよかったようなものの、
街の中にでも落ちたら、どうするんだよ」男は激昂していた。
「その場合は、そのままでは打てませんから、アンプレアブルを宣
言して、1クラブ以内にドロップした後、1打罰を付加してプレー
を続行することになりますね」宇宙人は答えた。
「そんなことを言ってるんじゃないよ。我々、地球人がケガでもし
たら、どうするんだって言ってるんだよ!」
「そうだそうだ」ひとりだと何も言えない連中も声を合わせた。
「あ、すみません。プレーにばかり熱中して、その事に気がまわり
ませんでした。一応、ゴルフ保険には入ってますが、以後、気をつ
けます」
 宇宙人が、少しすまなさそうに言った。
「気をつけるって、だいたい宇宙でゴルフなんかするのが間違って
るんじゃないのか?やるんなら、もっと広いところで…。あれ?と
にかく、これじゃあ、安心して寝てられないよ」
「そうだそうだ」
「わかりました。でも、大丈夫です」

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