ハンドパワー

 みなさんは、ハンドパワーという言葉を開いたことがありますか?
スブーンをぐにゃりと曲げたり、コインを宙に浮かせたり、ダイス
を移動したりするあれです。世間には、インチキだとか、タネがあ
るんだとか言う人がいますが、ハンドパワーは確かに実在します。
これからお話しするのは、そのハンドパワーを持った、ある男たち
のはなしです。


その1:スプーン曲げの名人

 あるところに、スプーン曲げの名人と呼ぱれる男がいた。ただし、
スプーンといっても、さじのことではなく、ゴルフクラブの3番ウ
ッドのことである。その男がスブーンで球を打つと、必ずフックに
なった。ドライバーやバフィーでは曲がらないのに、何故かスブー
ンだけはよく曲がった。不思議に思って、よく調ぺてみると、スプ
ーンだけシャフトがほかのクラブより柔らかいことに気がついた。
 シャフトが柔らかいと反動が大きくなり、球はフックする。これ
即ち”反動パワー”なんちゃって。


その2:コイン浮かしの名人

 あるところに、コイン浮かしの名人と呼ぱれる男がいた。その男
が、技を披露するのは、きまってタクシーの中だった。彼は、タク
シーから降りるとき、必ず運賃をねぎった。そして、たいていは成
功した。ねぎるといってもせいぜい小銭の分をまけさぜる程度だっ
たからだ。
 こうして、彼は、コインを浮かした。浮かしたコインがある程度
たまると、彼は、それを証券会社へ持っていき、中国ファンドでさ
らに増やした。これ即ち”ファンドパワー”なんちやって。


その3:ダイス移動の名人

 あるところに、ダイス移勤の名人と呼ぱれる男がいた。彼は水道
局の局員だったが、その腕は一流で、小さな水道の修理はできても、
大きな水道はだめだという同僚が多い中、もっぱら大きな水道ぱか
りを修理してまわった。そして誰からとなく、彼のことを、大水道
の名人と呼ぷようになった。しかし、水道局以外の人間には、大水
道が、ダイス移動に聞こえたらしい。ある日、隣に住む山田さんが、
ダイス移動をみせてくださいと頼んだところ、いやあ、このへんで
はだめです。東京ドームや武道館じゃないと、と答えたため、ヘえ
ー、この人はそんなすごいところでショーをやる人なんだ、と勝手
に勘違いされたというはなしは有名である。
 ここらで、何故、彼が大きな水道ぱかりを手がけたかという説明
をする。本当は、彼も大きな水道は苦手だった。しかしご存じのよ
うに、大きな水道のほうが、小さな水道よりも数が少ない。そして、
彼の勤めていた水道局には、1日分の苦情を解決すれぱ帰宅しても
いいというきまりがあったので、その数の少ない大きな水道を専門
にやれば、昼前で帰ることも司能だった。彼は、それだけのために
頑張ったのだ。これ即ち”半ドンパワー”なんちやって。

 いかがでしたか?このようにハンドバワーは、確かに実在するの
です。