『これぞ究極のダイエット薬、週平均3Kgは痩せられます!』 今までありとあらゆるダイエット法を試み、ことごとく失敗して きた良子にとって、その広告は最後の頼みの綱のように感じられた。 けして安い額ではなかったが、その薬を購入した良子は、指定さ れたとおり、毎日3回、一日もかかすことなく飲み続けた。 だが、一ヶ月経っても、二ヶ月経っても一向に体重が減る気配は 無く、それどころか徐々に体調を崩し始めた彼女は、不幸なことに 三十週が経過したある日、若くして命を落としてしまったのだった。 「騙された!恨んでやる」死ぬ間際に漏らした言葉どおり、良子は、 その薬を販売している会社の社長のところに、幽霊となって現 れた。 「だましたな」 「だましてなんかいない、当社は週平均と言ったはずだ」 「なにを言うか、何週間経っても、3Kgどころか、1Kgだって 痩せやしなかった」 「今は?」 「見てのとおり、私は幽霊、体重などあるものか」 「調査書によると、あなた最初90Kgでしたね。それが30週経 った今は0Kgだ。平均すれば3Kgじゃないですか」 (注)1980年ごろ作成。(ありきたり?)