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悪質交通犯罪を起こした運送会社の、
社長の代理監督者責任を問う民事訴訟の経過

支援の署名活動と勝訴、相手側控訴断念まで

「北海道新聞」の記事より

2002/02/07 トラックにはねられ死亡 【相手側社長に賠償請求】
札幌の遺族、地裁で係争「管理が不適切」

トラックにはねられ死亡した男性の遺族が、運転手を雇っていた運送会社の社長に損害賠償を求めた裁判が札幌地裁で争われている。業務中の事故をめぐる訴訟は、運転手や会社を訴える例がほとんどで、社長を被告にするのは珍しい。

遺族側は裁判を「多発する事故の抑止力に」と位置づけている。道交法や刑法の改正で事故の罰則が強化される中、民事面での新たな責任追及の動きとして注目される。原告は、専門学校非常勤講師の斎藤千穂さん(51)=札幌市中央区=ら遺族三人。父親の良夫さん=当時(76)=は一九九九年十月、同市豊平区内の交差点で、トラックにはねられ死亡した。運転手(34)は業務上過失致死罪で禁固一年の実刑判決を受けた。運送会社も昨年九月、「乗務員への指導、監督を怠った」として、道運輸局から行政処分を受けている。

遺族側は二〇〇〇年九月、会社などに対する訴えを起こした(札幌高裁で係争中)のに続き、「運転手が違反や事故を繰り返していたにもかかわらず、適切な管理をしなかった」として昨年五月、社長(75)=同市西区=に対しても二百万円の賠償を請求した。千穂さんは「社長個人も訴えることで、事故の責任を自覚させ、輪禍死の抑止につなげたい」と話す。

被告側は「損害は会社が賠償する。社長も訴えられるのは不本意だ」と請求棄却を求めている。裁判は結審し、今月下旬に判決が言い渡される。道交通事故被害者の会の前田敏章代表は「被害者側の新たな動きで、会として積極的に支援している」と話している。この運送会社は従業員約四十人で、トラック約五十台を所有している。

神田孝夫・札大法学部教授(民法)の話
一般的には使用者である会社が賠償責任を負うが、企業規模が小さく会社の利益が社長に帰属するような場合には、代理監督者として社長にも賠償責任が課せられるべきだ。

北海道新聞 2002/02/07
輪禍死の雇用主責任  判決求める署名活動  被害者の会

一九九九年に札幌市豊平区で起きた死亡交通事故で、被害者の男性の遺族がトラック運転手を雇っていた運送会社の社長に損害賠償を求めている訴訟(札幌地裁で係争中)をめぐり、道交通事故被害者の会(前田敏章代表)は六日、社長の監督責任を認める判決を求めて署名運動を始めた。事業所が、違反を繰り返す運転手を雇ったり、適正な運行・労務管理を怠ったりしても、経営者の責任が問われることはほとんどない。同会は、社長の法的責任を認めるよう求めている。署名はファクスと電子メールで募集している。
問い合わせは同会(電)011・233・5130へ。

北海道新聞 2002/02/20
輪禍死の管理責任明確化求め要請書「被害者の会」

札幌市豊平区で一九九九年に起きた死亡交通事故をめぐり、被害者の遺族がトラック運転手を雇っていた運送会社の社長に損害賠償を求めている訴訟について、道交通事故被害者の会が十九日、適切な運行管理を怠った責任を判決で明確にすることを求める要請書を札幌地裁(中西茂裁判官)に提出した。
交通事故をめぐる訴訟では通常、運転者と雇用主である会社の責任が問われるが、この訴訟では、監督責任を問うため社長を被告としている。
約三千六百人分の署名を添えて要請書を提出した同会の前田敏章代表は「全国から賛同の声が寄せられ、大きな手ごたえを感じている」と述べた。
判決は二十六日。

北海道新聞 2002/02/27
会社のトラック死亡事故、社長にも賠償命令
代理監督者責任認める

1999年10月、札幌市豊平区でトラックにはねられて死亡した無職斎藤良夫さん=当時(76)=の長女千穂さん(51)=同市中央区=ら遺族三人が、トラック運転手を雇っていた運送会社(札幌市北区)の社長(75)=同市西区=を相手取り、計二百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は26日、社長に全額の支払いを命じた。
業務中の交通事故をめぐる訴訟は、事故を起こした運転手や使用者である会社を訴えるケースがほとんどで、社長を被告とするのは珍しい。判決理由で中西茂裁判官は「社長は、比較的小規模な会社の株式の大半を保有してオーナーの立場にあったことなどから、使用者である会社に代わって運転手の運送業務を監督していたといえ、代理監督者責任を負う」と述べた。
判決によると、斎藤さんは99年10月29日、同市豊平区内の交差点で、青信号で横断歩道を渡っていた際にトラックにはねられ死亡した。判決について遺族側は「代理監督者としての社長の法的責任を認めた判決で、多発する事業用車の事故の抑止につながる司法判断」としている。
遺族側はこの訴訟に先立ち、会社と運転手、損害保険会社に損害賠償を求めて提訴。一審の札幌地裁で一部勝訴し、現在、札幌高裁で係争中。 事故を起こした運転手(34)は業務上過失致死の罪で禁固一年の実刑判決を受け、確定。運送会社も昨年九月、道運輸局から「運転手の指導、監督を怠った」などとして行政処分を受けている。
被告側は「社長は運転手の選任、監督を担当していない。代理監督者には当たらず、不当な判決」としている。

「事故の苦痛肝に銘じて」遺族会見

運送会社社長の代理監督者責任を認めた札幌地裁判決を受け、遺族側が26日、道司法記者クラブで記者会見。長女の斎藤千穂さんは「交通事故が遺族に計り知れない苦痛をもたらすことを運送業者は肝に銘じてほしい」と、父親の遺影とともに訴えた。
約3800人の署名を集めて訴訟を支援した道交通事故被害者の会の前田敏章代表は「車優先で、人命を軽視する流れに一石を投じる判決」と評価した。

事故防止対策「不十分」と警鐘

<解説>業務用のトラックが起こした死亡交通事故をめぐり、運転手を雇用していた運送会社の社長の賠償責任を認めた札幌地裁判決は、従業員が事故を起こせば経営者も監督責任を問われて賠償義務を負う場合があることを明確に示したものだ。
事業用車が事故を起こした場合、ほとんどの会社が加入する自動車損害保険から保険金が支払われるため、「事故防止に対する会社や経営者の対策が不十分になりがちだ」との指摘が以前からある。判決はこうした風潮に警鐘を鳴らし、事故防止への取り組みを促すものといえる。
事業用車の事故をめぐる損害賠償請求訴訟では通常、運転手の過失責任に加え、会社の使用者責任が問われる。一方、経営者の代理監督者責任が問われるのは、保険未加入で会社に資力がない場合など極めてまれだ。
この訴訟で遺族側は、保険金支払いを受けられるにもかかわらず「事業用車の交通事故に歯止めをかけたい」として提訴に踏み切った。現実に代理監督者責任が認められるのは、会社規模が小さい場合などに限定されるとはいえ、「会社が隠れみのになり、経営者は痛みを感じない」(遺族の代理人)現状に一石を投じる司法判断となった。

≪代理監督者責任≫
事業を行うために他人を使う者は、使われた者が第三者に与えた損害について賠償責任を負う(使用者責任)が、使用者に代わって事業を監督する者(代理監督者)も使用者と同様に賠償する責任を負うとされ、民法に規定されている。工場長や現場監督、支店長などがその例だ。

北海道新聞 2002/07/13 代理監督者責任が確定
運送会社死亡事故  社長側が控訴せず

一九九九年十月、札幌市豊平区でトラックにはねられて死亡した無職斎藤良夫さん=当時(76)=の遺族が、トラック運転手を雇っていた運送会社社長(同市西区)を相手取り二百万円の損害賠償を求めた訴訟は十二日までに、社長側が控訴を取り下げたため、社長を代理監督者と認定して全額の支払いを命じた一審・札幌地裁判決が確定した。業務中の交通事故をめぐる訴訟は、事故を起こした運転手や使用者である会社を訴えるケースが大半だが、遺族側は事故の抑止を狙い、「使用者に代わって事業を監督していた社長も代理監督者として責任を負う」として社長に賠償を求めていた。

※資料

2002年2月19日 札幌地方裁判所民事第3部1係
中 西  茂 裁判官 御中

北海道交通事故被害者の会 代表 前 田 敏 章

故斉藤良夫さんの死亡交通事故を惹き起こした
殖産運輸社長の責任を明確にする公正判決を求める要請書

≪要請趣旨≫
クルマはその操作を誤ると他人の命を一瞬にして奪う凶器に変わります。運転が免許資格を有したものに限られ、道交法など厳格な法規に基づいてのみ許されるのはこのためです。そして、トラック運送事業者など運輸を生業とする法人の、安全運行の社会的責任はとりわけ重いと言わなくてはなりません。
しかし、これまでの多くの交通事犯では、命と安全にかかわる重大過失があり甚大な被害を与えた場合でも、使用者である法人としての社会的責任が問われることは稀でした。そのため、クルマによる人権侵害は不当に軽く扱われ、同様事犯が頻発する一因ともなっています。
この意味で、現在貴裁判所民事第3部1係で審理され2月末にも判決が出されようとしている故斉藤良夫さんへの業務上過失致死事件で、加害運転手を雇っていた被告殖産運輸社長の責任を問い損害賠償を求める裁判は大変重要です。交差点の横断歩道を青信号で渡っていた斉藤良夫さんは、徐行せず歩行者への注意も払わず反対車線に侵入する極端な内回りで暴走した右折トラックの右前部に轢かれ帰らぬ人となりました。この悪質交通犯罪を惹き起こした責任は、加害運転手はもとより、入社前後に4回の免停を繰り返していた当該運転手を雇い、適正な運行管理や労務管理を怠った殖産運輸の社長にも当然及びます。
私たちはこの裁判の行方を注目していますが、これまでの過程では、証拠調べのための証人尋問の請求も却下し、一方的に結審を宣言するなど公正な裁判とは言えない事態が進行しています。
私たちは、貴裁判官が以上の趣旨と次の要請事項を斟酌され、公正な判決を出されるよう

3,579筆(※追加分と合わせ最終的には3,783筆)の署名を添えて要請致します。

要請事項
1 入社前後に信号無視や速度違反を6回も繰り返し、人身を含む4回の交通事故を惹き起こし、都合4回もの免停を受けている運転不適格の加害運転手を雇い入れ、適切な運行管理を怠り、さらに過労運転に追いやった殖産運輸社長の責任を明確にした判決とすること。
2 事件後、殖産運輸社長が行った陸運局への虚偽の事故報告書作成や、被害者への不誠実極まりない対応(一度の謝罪もなく、入院しているので行けないと嘘もつく)など不法行為を正しく裁くこと。

以上

ご支援に感謝いたします
運送会社の使用者責任を認める貴重な判決を得ることができました!

―悪質死亡交通事故の代理監督者責任を求める裁判判決について―

2002年2月28日 北海道交通事故被害者の会 代表 前田敏章

2月26日札幌地裁、中西茂裁判官は、悪質死亡交通事故
―1999年10月29日、札幌市豊平区の斉藤良夫さんが交差点を青信号で横断中、暴走右折トラックの前部に轢かれ死亡させられた事件―
を惹き起こした運送会社社長の運行管理、労務管理責任など使用者責任を求めた裁判で、事件後の不法行為については認めていないものの、社長の代理監督者責任については原告の主張どおり認める貴重な判決 を下しました。

この裁判は亡き夫、亡き父の死を無駄にしないという、遺族の強い意志でとりくまれた貴重な裁判ですが、「北海道交通事故被害者の会」も、交通犯罪撲滅のために、これまで問われてこなかった使用者の監督責任を求める重要な事案と位置付け、要請署名に取り組むなど支援を行ってきました。

実質審理が不十分なまま一方的に結審されるという事態のなか、緊急に提起された要請署名は10日ほどで全国から3783筆に達し、適切に取り上げてくれたマスコミなど世論の力が 今回の実質的勝利判決につながりました。あらためてご支援に深く感謝申しあげます。

この事件は単なる過失ではなく、まさしく「交通殺人」ともいうべき犯罪です。不適格運転手を雇い、安全のための適切な運行管理を怠っていた会社には、営業停止などの重い処分が課せられるべきなのです。 生存権という根幹の基本的人権は何より尊重されなくてはならず、営業活動も公共の福祉に反しないという当然の制約があるはずです。

このようなケースで経営者の責任が問われないのであれば、直接命にかかわる交通犯罪であるのに「『事故』だから被害者はいても加害者はいない」「運が悪かった」などと軽く扱われ、「事故」という名の人権侵害が懲りなく繰り返されることになります。

こうした点からも、本判決は極めて当然のものですが、相手側は「社長を訴えるのは嫌がらせとしか思えない」(「読売新聞」2月27日)などと控訴の方針を明確にしているように、いまだ責任の自覚も謝罪の意志もありません。

私たちの願いは、交通犯罪のない社会、交通事故被害ゼロの社会を実現することです。不当な控訴を断念するよう強く求め、今判決では不当に退けられている事故後の不法行為を許さず、社会的責任を追及するとりくみを続けたいと思います。

この裁判の取り組みが、人命軽視の「クルマ優先社会」の流れに一石を投じ、全ての運輸事業者が安全のための適切な運行管理と労務管理を徹底し、運輸局、労基署など行政も正しく指導監督する、そして一般のドライバーも重い重い社会的責任を担ってハンドルを握るということにつなげなくてはなりません。何よりももうかえってこない、かけがえのない肉親の尊い犠牲を無にしないために。
今後もご理解とご協力をお願いするものです。

原告斎藤千穂さんからのお礼の言葉(2002/2/28)

皆さまから、3,783名のご署名をいただいた裁判の判決が、2月26日に出ました。殖産運輸(株)社長の「代理監督者責任」(民法715条第2項・使用者責任)を、中西裁判官が認めました。ひとえに皆さまからの署名(市民の声)のおかげだと深く感謝いたします。この裁判の過程で、中西裁判官は、社長を法廷に呼んで尋問してほしいという私たち原告の訴えを退けました。殖産運輸社長は「運行管理者を置いているので、自分に責任はない」と主張してきましたが、父を死亡させた運転手が出社していた場所と、運行管理者が出社していた場所は異なっていました。

つまり、この運転手に運行管理は行われず、管理者としての義務は果たしていないのです。しかし、裁判官は、社長を法廷に呼んで、運行管理を問いただす審議も行いませんでした。殖産運輸では、運行管理が行われていないのに、判決文には加害者が主張したまま「運行管理を行っている」と、書かれています。これは事実とは違います。また、中西裁判官は私たち遺族が問うていた殖産運輸社長の事故後の不法行為(民法709条)を退けました。

具体的には、①殖産運輸が道運輸局に出した虚偽の報告書に関しては、判決文で一切触れていません。また②事故後、一度も謝罪に訪れていない。③入院していると嘘を言った。④副社長が社長を連れてくると言った日に、連絡もなくすっぽかした。に関しては、その事実は認めるが、不法行為とは認められない。という判決でした。殖産運輸社長は免停4回の運転手を雇い、その運転手が横断歩道で父を死亡させたのに、ただの一度も父の遺骨の前に謝罪に訪れることなく、逃げ切ったわけです。

裁判官(司法)は被害者を救済できる立場にあり、その責任もあるのに、謝罪に来ない社長を放置しました。謝罪するしないは感情の問題という捉え方がありますが、自社の乗務員が死亡させた無念の父の遺骨に、一人残された母に謝罪することは殖産運輸社長の義務ではないでしょうか。母をはじめ、私たち遺族はどんなにもがいても、二度と父の命を取り戻せないという苦痛のなかにいます。中西裁判官は、自分の子どもに悪いことをしたら謝りなさいとは、教えないのでしょうか。代理監督者責任を認めると言いながら、虚偽の事故報告書や、死亡させた父の前に一度も謝罪に来ないこと、入院しているという姑息な嘘、来ると言った日に来ないすっぽかしなどを不法行為とは認めないという判決は、何なのでしょうか。今日の判決には、被告の殖産運輸社長は姿を現さず(今まで一度も来たことがありません)、加害者弁護士すら来ませんでした。たかをくくっていたのでしょう。

当日の夜8時45分のNHK道内ニュースで、加害者側が控訴するということを知りました。理由は責任は法人(会社)が問われるのが普通で、社長個人が責任を問われるのは心外だというものでした。この理由と、控訴するという姿勢に社長が何の責任も感じていないという事実が、反映されていると思います。これからまた、父の無念の闘いが始まります。どうか、また、ご支援しただけるよう、亡き父と共にお願い申し上げます。この苦しい裁判の過程で、皆さまからのご署名になによりも励まされました。

父の無念の死を、これ以上悲惨な犠牲者を増やさないための声にしていきたい―――という思いが、今やっとスタートラインに立てた気がします。とても一人ではできませんでした。皆さまからのご署名が無念の父の魂を慰撫してくれたであろう事を、固く信じております。皆さま、本当にありがとうございました。

斎藤千穂さん(原告)の訴え(2002/3/9)

殖産運輸の社長が、3月6日、自分に責任を問われるいわれはないと、控訴しました。
父を自社の運転手が死亡させた2年後も、過労運転防止違反や運行管理の不徹底で、道運輸局から行政処分を受けているのに、です。

父をひいたトラックは、すぐに市内の花屋に転売していました。加害運転手を首にし、トラックを転売して、悪質死亡事故の痕跡を会社から消し去る事が、社長の責任のとり方だというのでしょうか。

これ以上、犠牲者と遺族を出してはなりません。それは、横断歩道で命を絶たれた父の悲痛な叫びでもあります。控訴審でも社長の責任を認める判決を出すために、引き続き、どうかご支援下さい。

母もこの度のショックと心労、加害運転手と殖産運輸社長経営陣により与えられる苦痛で、 片目が失明し残る目も近く手術しなければなりません。眼底出血がつづき、どんな薬を飲んでも血圧が下がらないのです。母のこの苦しみと被害を、年のせいだと切り捨てる加害者や裁判官を、私は許す事ができません。

このような苦痛は、私たちだけで、もうたくさんです。

相手側、控訴取り下げにより、一審確定
斎藤千穂さんの報告とお礼(2002/8/20)

殖産運輸社長が控訴してきた控訴審第1回が、5月28日にあり、父の遺影を胸に出廷しました。が、控訴をしておきながら、社長村山ミヤ子は法廷に現れず、損保会社の弁護士だけが出廷して裁判が始まりました。

殖産運輸側は副社長の証人尋問も申請してきました。私たちは、副社長の尋問を積極的に活用し、加えて社長の尋問も申請しようとしていました。一審の札幌地裁が退けた社長の不法行為709条も、高裁では正しく審議されるよう準備をし、2回目の裁判が6月25日と指定されました。

しかし、6月4日、殖産運輸はA4判1枚の取下書に、「都合により控訴の取り下げをいたします」の1行で、控訴を取り下げてきました。この裁判を通して見えてきたのは、殖産運輸の社長村山ミヤ子は自分の金銭の損得しか考えていないということでした。
社長の自覚も責任もない控訴と控訴取り下げに、父の死を悼むこともなく、その後の事故のない社内体制作りをしようともしない、社長の態度が見られます。

また、この裁判を通して、司法の問題点も大きく見えてきました。
1 社長が謝罪に来ない事実を認めながら、一審では不法行為には当らないとしたこと
2 虚偽の事故報告書に関して地裁判決文は、一切ふれず、審議も行っていない
3 一審地裁判決が社長に支払えと命じた損害賠償金200万円は、判決は確定したが賠償金の強制執行権はなく、支払えと命じた200万円は消滅した。

そして、社長は今も謝罪に訪れません。

しかし、3579名の方の署名及び札幌高裁に向けて命のメッセージ展で集めた330名の署名、またわざわざ5月28日の控訴審に署名を届けてくださった方のお気持ちこそが、これから交通事故をなくすために運送会社社長の責任を問うていく大きな社会的な力となっていくと思います。

亡き父と共に、お礼申し上げます。
ありがとうございました。

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