radioactive放射線とは何か?radioactive


Step3 放射線のエネルギーと線量


(1)放射線のエネルギー
 放射線のエネルギーの単位としては、電子ボルト(eV)が使われます。電子ボルトとジュールとの間には 1eV=1.6×10−19J の関係がある。
 粒子放射線のエネルギーは粒子の運動エネルギーに等しく、電磁放射線のエネルギーは電磁波の振動数に比例します。

(2)放射線の線量

 放射線の線量は、放射線の生物影響と深い関係があります。放射線と物質である人体との相互作用(電離・励起)によって放射線のエネルギーが伝達されていきます。単位質量当たりに吸収されるエネルギーを吸収線量(J/kg)といい、単位はグレイ(Gy)が使われます。吸収線量と生物影響との関係は、放射線の種類とエネルギーによって異なり、エネルギーの吸収された臓器や組織によっても異なります。そのため、放射線防護上、等価線量、実効線量という量が定義されます。
 人間に対する放射線の影響は、吸収線量が等しくても放射線の種類、エネルギー及び被ばく条件(内部被ばく、外部被ばく)によって異なってきます。そこで、被ばくの影響をすべての放射線に対して共通の尺度で評価するために等価線量(equivalent dose)単位はシーベルト(Sv)というものが考えられました。等価線量Hは、吸収線量をD、放射線荷重係数をWとすると、

  (Sv)=(Gy)×
 で表されます。
 放射線荷重係数Wとは、放射線の種類やエネルギー(線質)により体に及ぼす影響が異なるため、これをある程度数量的に表示したものです。

放射線の種類 エネルギーの範囲
光子(X線、γ線) 全エネルギー
電子(β線)、μ中間子 全エネルギー
中性子 10keV未満
10keV以上100keV 10
100keVを越え2MeV 20
2MeVを越え20MeV 10
20MeVを越えるもの
陽子(反跳陽子を除く) 2MeVを越えるもの
α線、核分裂片、重粒子線 全エネルギー 20

 さらに、これを体全体で考えたものが実効線量(effective dose)で、被ばくした臓器・組織で吸収された等価線量を相対的な放射線感受性の相対値「組織荷重係数」で掛け算してその和をすべてを足したものとしています。これも単位はシーベルト(Sv)です。(このあたりよく考えないとちょっと混乱しちゃいます。)
 組織荷重係数は、

臓器及び組織 組織荷重係数
生殖線 0.20
赤色骨髄 0.12
結腸 0.12
0.12
0.12
膀胱 0.05
乳房 0.05
肝臓 0.05
食道 0.05
甲状腺 0.05
皮膚 0.01
骨表面 0.01
残りの組織 0.05

 となっています。



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