ターンシグナル・ユニットの構造と原理                
 ターンシグナル・ユニット(フラッシャー・ユニット)は、S211A、S301,
 S601型と共用の熱線電磁式である。(部品番号 281011020)
 熱線電磁式は、熱線の温度変化の際に生ずる伸縮作用を利用し。接点を開閉させ
 電球を点滅させるものでその動作の概要を説明する。

1.切換スイッチを左右いずれかに閉じると、電流はバッテリーから、"B" 端子、
  スプリング、アーマチュア、熱線、コイル、"L" 端子,切換スイッチ、ランプを流れる。
  熱線は、この電流により、急激に温度上昇して熱膨張を生ずるため、アーマチュアは、
  スプリングにより引っ張られて点滅用の接点が接する。

2.接点が接すると、同時に熱線が短絡されるので、コイルとランプには大きな電流が流れ
  (図中⇒印)ランプは明るく点灯すると同時に、電磁コイルは電磁力を増大し
  アーマチュアは吸引され、接点はより確実に保持される。

3.この接点が接している間、即ちランプが点灯している間は、熱線は短絡され電流は流れ
  ない。このため熱線は周囲の空気により冷却され、収縮して張力が増し、ある値以上に
  なるとコイルの電磁力に打ち勝ち、アーマチュアを吸引状態より引き離す。
   このため接点が開きランプは消灯する。

4.接点が開くと上記(1)の状態に戻るので、切換スイッチを閉じている間は規則正しい
  点滅を行う。

5.このように熱線電磁式ターンシグナル・ユニットは、ランプを流れる電流により作動
  するのでランプを規定外のものを使用すると電流の大きさが異なるため、ユニットは
  正常な作動をしなくなる。必ず規定のランプを使う必要がある。

6.ターンシグナル・ユニットの仕様
   定  格 : 12V−10WX2
   点  滅 : 12V 80±15 回/分 20゚C
          10V 〜 16V 50 〜 120回/分
    始    動 : 10V 〜 12V  0.8秒以内
   点 滅 比 : 0.3 〜 0.6

7.注意事項
  A) S211A に使用するときは、"P" 端子は使用されていない。
    これはパイロットランプがメーターに付いていないためである。
  B)  ランプの回路をショート(短絡)させると熱線は直ちに焼損・断線する。
    レストアーが完了したときはランプの回路をテスターで測定し、ショートして
        いないことを確認した後に作動させること。手を抜くとオシャカ間違いなし。