S211A エンジンボアーアップ
ラビット90 ハイスーパー(S211A)は、昭和41年6月、
次世代を思わせる斬新なスタイルにロータリーディスクバルブ、5.5PSエンジンを搭載、
足回りとの絶妙なバランスを持つ富士重工の自信作として世に送り出された。
このハイスーパーに超人的な活力を与えるため心臓部に手を加えてみた。
1.S211A 基本性能 エンジン性能
★エンジン:ES32A型2サイクル
★総排気量:87cc
★内径X行程:48mm X 48mm
★最高出力:5.5PS X 6000 RPM
★最高トルク:0.78Kg X 4000 RPM走行性能
★最高速:普通姿勢 =75Km/h,伏姿勢 =82Km/h
★加速:0−200m 15.2秒
★低地燃費:63〜70Km/L![]()
2.まな板の鯉 ★エンジンの改造はピストンの交換、シリンダーのボーリングが必要なためエンジンを車体より取りおろす。
★エンジン内部への汚泥、異物などの混入を防ぐため外部はきれいに洗滌する。
★分解に当たっては分解専用のスタンドを製作し確実な作業を行う。★写真クリックで3面の写真。
★スタンドの写真は分解スタンドをクリック。
3.シリンダーを外す ★マフラー、エンジンシュラウド、シリンダーヘッドを外す。
★シリンダーを止めている6mmナット4個とスプリングワッシャーを外す。
★外したナット、ワッシャーは員数を確認し保管した後シリンダーを外す。
★クランク内に異物が入らないように充分気を付ける。
4.ピストンを外す ★ピストンピン両側についているC型クリップのどちらかを外す。外すときクリップが飛びやすいので気を付けること。
★ピストンピンの引き抜きは、太めの(+)ドライバーで押して抜く。抜けないときは専用工具を用い、コンロッドに横方向の力が掛からないようにする。★専用工具のアイデアは、「Q and A」を参考にする。
5.代替ピストンの選定 ★ピストンの選定は、ボア、ストローク、ピストンピンの位置、バランスなど多くの条件が合わないと使えない。
★選定したものはボアー 52.465mmのもので海外で生産されたものである。★これにより シリンダー容積は 104cc となり
20%の増加となる
6.シリンダーのボーリング ★4.5mmのボーリングは大変難しく、腕の良い内燃機屋に依頼する必要がある。特に吸気部分は肉厚が薄くなり少し不安がある。
7.組み込み ★ピストンの頭に付けられた矢印を排気ポート(マフラー側)に向けてコンロッドに取り付ける。
★ピストンリングの合わせ面はピストンに付いているノックピンに合わせる。これを怠るとリングを折ることになる
★圧縮圧確保のためシリンダーヘッドガスケットを厚み0.5mmのものにする。
8.キャブレターの改造 ★オリジナルのキャブレターでは吸気量が不足する。同じダウンドラフト方式のS301B型用を使う。
★S211Aのインテークとはサイズが異なるためアダプターリングを製作し取り付ける。
★メインジェットは#240を使う。
9.燃料の流れに注意 ★S301B型用キャブレターはチャンバーへの燃料が上から入るようになっている。
★S211Aは燃料タンクの位置から落差が少ないためキャブレターへの流入方向を水平にしてやる必要がある。
10.エアーフィルターの改造 ★キャブレターの交換に伴いエアーの流れも改善する必要がある。
★エアーフィルターを外すと流入の抵抗が無くなり2速で75Km/hまで回転は上がるが吸気の騒音が大きくなる(5000回転以上ではマフラーの音を上回る)。
★エアーフィルターケースに12mmの穴を9個開けて現在の開口面積の2倍にしてやると我慢の出来る吸気騒音で2速の最高速が70Km/hは確保できた。
11.完成しました。 ★エンジンの改造後も外観は何の変わりもないが10,000回転まで伸びるショートストロークエンジンは3速で 100Km/h を実現。まさにハイスーパーがハイ・ハイスーパーとなった。 ★長い登り坂を2速で、しかもフルスロットルで走行試験をしている時マフラーがパンクした。
S211Aのマフラーは首根っこが弱いため肉厚を増した強化型を使用することとした。★1000Km の実走試験は終わったが今年はもっと過酷ないじめを計画中。