去勢抵抗性前立腺癌の新薬:アビラテロン(ザイティガ)・カバジタキセル(ジェブタナ)・エンザルタミド(イクスタンジ)が日本でもまもなく承認されるようです。
これらの薬をどういう患者さんに使うべきか、AUA(アメリカ泌尿器科学会)がガイドラインを作成したようです。
Castration-Resistant Prostate Cancer: AUA Guideline
J.Urol.190,429-438,2013.
6例の典型例を提示して、どうすべきかが書かれています。
1.転移がない去勢抵抗性前立腺癌。
2.全身状態良好で、転移があるが症状がない去勢抵抗性前立腺癌。ドセタキセル未使用。
3.全身状態良好で、転移があって症状もある去勢抵抗性前立腺癌。ドセタキセル未使用。
4.全身状態不良で、転移があって症状もある去勢抵抗性前立腺癌。ドセタキセル未使用。
5.全身状態良好で、転移があり、ドセタキセル使用済みの去勢抵抗性前立腺癌。
6.全身状態不良で、転移があり、ドセタキセル使用済みの去勢抵抗性前立腺癌。
1.転移がない去勢抵抗性前立腺癌。
ホルモン療法をそのまま続ける。PSAが上昇したというだけで、新薬は使わない。
2.全身状態良好で、転移があるが症状がない去勢抵抗性前立腺癌。ドセタキセル未使用。
アビラテロンでも、ドセタキセルでも良い。
3.全身状態良好で、転移があって症状もある去勢抵抗性前立腺癌。ドセタキセル未使用。
ドセタキセルが良い。
4.全身状態不良で、転移があって症状もある去勢抵抗性前立腺癌。ドセタキセル未使用。
アビラテロンが良い。
5.全身状態良好で、転移があり、ドセタキセル使用済みの去勢抵抗性前立腺癌。
アビラテロン、カバチタキセル、エンザルタミドいずれも良い。
ドセタキセルの前にアビラテロン使用済みなら、カバチタキセルかエンザルタミド。
6.全身状態不良で、転移があり、ドセタキセル使用済みの去勢抵抗性前立腺癌。
緩和医療が第1選択。
この症例6に対しては、緩和医療以外の選択肢として、 アビラテロン、エンザルタミドも提案しても良い、との専門家の見解も添えられています。
Are post-docetaxel treatments effective in patients with castration-resistant prostate cancer and performance2? A meta-analysis of published trials.
Prostate cancer and prostatic diseases 16,323-327,2013.
全身状態不良で転移がありドセタキセル使用済みの去勢抵抗性前立腺癌の死亡リスクを、 アビラテロン、エンザルタミドが若干低下させる、 という趣旨の論文をIacovelliらが報告しているようです。
危険率4.6%での有意差ですから、
医者にとっても患者さんにとっても悩ましいデータです。
2014年3月7日の院長ブログ原稿