泌尿器科医・木村明の日記


自慢のお嬢さん③



自慢のお嬢さんの続編です。

昨日のブログを読んだ事務長は、腹腔鏡手術は全例ロボットでやるものだと、思ったようです。

違います。腹腔鏡手術では、道具を手で操ります。

だから触覚がある(どれくらいの力で引っ張ったら千切れるか、などが分る)のです。

外科にローテートしたとき、娘は術者の先生から、「今までの研修医の中で一番カメラの扱いが上手い」と褒められたそうです。

「カメラの扱いに上手い下手があるのか?」と私に聞くので、

画面の右に見えているものが、カメラの右側にあるとは限らない。見たい物にカメラを近づけられるのは、お前が父親に似て、頭の中に3次元がイメージできるからだ。」

と教えてやりました。

右眼を閉じて片目で、人差し指で机の上のボールペンの先に触ろうとしてみましょう。

奥行きが分らないので上手く行きません。

でも頭を少し左に動かせば、片目でも奥行きがわかります。

術者が知りたい、奥行きを別の角度から見せてあげる、

それが腹腔鏡でのカメラ係の役割です。

娘は後期研修を受けたい病院での採用試験の作文「私が自慢できる事」で、

外科でカメラの扱いが上手いと褒められた事を書いたそうです。

どんなことを書いたのか、読みたいです。

「父親から受け継いだ才能のおかげで」と書いてないのは、百も承知ですが。
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