レセプトチェックのプロ
昨日のブログに書いた、
安いソフトだと、男性なのに「月経困難症の病名が必要です。」なんて言ってくるかも、
の続きです。
開業医はレセプトに病名漏れがないか、真面目にチェックします。
勤務医は、というと、これは雑用でしかありません。
経営委員会などで配布される資料には各科別の査定率が出ていますので、
経営委員会に出席させられる部長はレセプトチェックも大事な仕事とは認識しています。
外来患者さんのレセプトは部長がチェックできますが、
入院患者さんのレセプトは受け持ち医にチェックしてもらうしかないのです。
受け持ち医は、病院の赤字には興味がないので、細かくはチェックしません。
それで、レセプトチェックのプロの登場です。
大病院では、毎月1日にレセプトがすべて印刷され、医療事務に特化した企業から派遣された事務員が3~5日までにチェック。
病名が抜けていると思われるもの、不適切な処置と思われるレセプトに付箋がついた状態で医者のところに回ってきます。
どんな項目がよく査定されるか、しっかり勉強した方たちなのでしょうが、やはりすべてを知っているわけではありません。
昨日のドクターフリッカーのブログでは肝炎のインターフェロン治療の「外来導入」の話が出ていました。
私が勤務医だった頃、肝炎に対してインターフェロン療法が始まりました。
インターフェロンは薬価の高いお薬です。最初は肝生検で「活動型肝炎」と診断しないと使えない薬だったようです。
ですから、レセプトチェックのプロたちは、インターフェロンが使われている人のレセプトに「活動型肝炎の病名と肝生検した日付を入れてください。」なんて書いてきます。
泌尿器科でインターフェロンを使っているのは腎癌の人たち。
インターフェロンはもともと夢の抗癌剤と期待されて開発されましたが、結局有効だったのは、腎癌とメラノーマだけでした。
保険診療上、インターフェロンは腎癌とメラノーマにだけ使う薬だった時代が長く続きました。
インターフェロンは高い薬ですが、それを使う患者さんは少なかったので、国民全体の医療費に占める割合も大きくありませんでした。
それがC型肝炎に有効ということがわかって、消費量が一気に増え、それに伴い、査定も厳しく。
私は腎癌にインターフェロンを使っているだけ。そのままそのレセプトを支払い基金に提出してもらって何の問題もありません。
なのに病院が勝手に契約している派遣事務員に毎月、「肝生検した日付を入れてください」という付箋を付けられました。
「インターフェロンは腎癌にも適応があります」とメモをつけても、派遣事務員はころころ代わるようで、また同じ付箋が。
頭に来た私は、
「ニ〇イ学〇、教育担当者殿! お宅の社員にはインターフェロンは腎癌にも適応があることを知らない人が多すぎます。ご指導よろしくお願いします!」
と書きました。
それで、おしまいになりましたから、私のメモは、ニ〇イ学〇の中枢に届いたんでしょうね。
今年も去年と同じような年末を過ごしています。
昨年もたな卸しの日に、
フォーリーカテーテルを交換している人たちのレセプトに「24時間以上留置しないと査定されます。」との付箋が付いていた、
という話を書いています。
3年目になると、ブログの内容も繰り返しが多くなります。
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