良薬は使いにくし
「旅行にも行けなかった。」というコマーシャルが印象的なハルンケア内服液。成分は八味地黄丸。
「さっき行ったのに、また」のCMが最近流れているレディガード。成分はブラダロン。
これらは頻尿・尿失禁に効果があるのかどうかわかりませんが、尿が出にくくなるという副作用はありません。
過活動膀胱治療ガイドラインによれば、頻尿にお薦めの薬は、ベシケア・バップフォー・デトルシトール・ウリトス・ステーブラ・ポラキスなどの抗コリン剤。
ブラダロンは「あまりお薦めできない」(有用性を証明するRCTがない)だったと思います。漢方薬はリストに載っていなかったように思います。
過活動膀胱の診断は簡単、と泌尿器科医は思っていました。検尿で膀胱炎を否定し、エコー検査で残尿がないことを確認するだけ。
でも、エコー検査で残尿がないことを確認する、ということなしに、抗コリン剤を処方する先生がいるらしく、尿閉を起こすことも少なくないようです。
このため、過活動膀胱治療ガイドラインが最近改訂版が出ました。高齢男性に抗コリン剤を処方する事についての注意書きが増えたようです。
前置きが長くなりました。
今日は過活動膀胱を書こうと思ったわけではないのです。
ニキビ治療薬ディフェリンゲルのお話です。
当院に通院しているニキビの患者さんはそんなに多くありませんが、作用機序を説明して理解していただけた方にディフェリンゲルを処方しました。
1日1グラム塗れば、15日でなくなるはず。
でも再診されて、効果があった、と言ってくださったのは、数名だけです。
ひょっとして副作用が出て、他のクリニックに駆け込まれていないかな、と昨日ある先生のブログを読んでいて不安になりました。
まさか私に読ませるために書かれたブログ?、なんて。
私自身、その先生に読んで欲しくてブログを書くことがあるので。
考えてみれば、ディフェリンゲルはピーリング石鹸より強い薬ですね。
ピーリング石鹸は作られすぎた角質層を削り取って薄くするだけ。
ディフェリンゲルは表皮の基底細胞に働きかけて、増殖を押えます。
ピーリング石鹸が工場の外でゴミを片付けている清掃員とすれば、
ディフェリンゲルは工場の操業停止命令を出すお役人のようなもの。
充分に説明しないまま、ディフェリンゲルが処方されると、いろいろトラブルが増えるかも知れませんね。
ここでまた、頻尿の話に戻します。
頻尿を訴える方に残尿測定をしないで、何か処方するなら、
八味地黄丸(ハルンケア内服液)
ブラダロン(レディガード)
がお薦めです。
エビデンスは全くありませんが、使いやすい薬です。
なお、バップフォーとポラキスは過活動膀胱治療薬ではなく、頻尿・尿失禁治療薬。レセプト病名には注意してください。
もうすぐ、コンピューターがレセプト審査する日が来ますから。
昨日はNASで泳いで港北食堂。夜は久々のカレット。というか夜は初めて。
しっかり作られた美味しいシチリア料理でした。安くはありませんが、お勧めです。
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