演劇

演劇

 これまでに演じたオリジナル脚本の中からデジタル化できた分についてここに掲載します。とりあえず、テキスト形式のファイルです。ダウンロード後、適当なワープロソフトで開いてください。



CHAOS

1992年8月25・26日、東京中野「スタジオあくとれ」にて上演。
 コンピュータ技術者「神崎修一」は自分の記憶をコンピュータ内に複製することに成功し、コピーされた神崎は略して「コピカン」と名付けられた。しかし、神崎はコピカンと話し込むうちにどちらが実在なのかがわからなくなってきてしまう。精神的に追い詰められていく神崎は・・・・

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出演 久光一誠
中村太郎
杉野早苗
小林千恵
稲田信一
濱門麻美子
月顕命
構成・脚本 諸橋知雄
久光一誠
演出 月顕命
映像 浅野豪文・倉金博
音楽 LOUISD'OR
美術 TDT
照明 嶋原千晴
制作 濱門麻美子
福沢尚子
制作協力 大堀久美子
森田千恵
Circus Muximus
ボーズ株式会社
ラオックス

Behind the Mirror

1993年12月11・12日 東京赤坂「プレイBOX」にて上演。

 帝都大学付属病院第2脳外科部長「江藤裕一」は人間の精神的開放を仮想現実の世界に求めて人類の総仮想化を企てていたが、不慮の事故により死亡してしまう。しかし彼の意思はすでにデータとしてコンピュータ内に記録されていた。(株)丸徳医療の人格形成スタッフ「御里和夫」はこの記録を自分の脳に移植してほしいという女性「冴島薫」の申し出をきっかけに事件に巻き込まれていく・・・

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出演 久光一誠・大村慎・中村踊郎・植松由樹子・斉藤雅之
なだ稲田・渡辺祥江・関隆敏・高橋唯子・月顕命・杉浦円
企画・原案 諸橋知雄・久光一誠
脚本・演出 諸橋知雄
映像 浅野豪文
音楽 LOUISD'OR
照明 田中美保子・大堀久美子
衣装 桜井亜希子
宣伝美術 久光工房・M.Factory
舞台美術 Taro's Company
舞台監督 稲田信一
制作 中島さと美・中村太郎・森田千恵
制作補 山口英人・須永まり子
制作協力 劇団Petit French Kiss・Circus Maximus
岩上琢磨・橋本秀昭

Mの事情

1995年12月23・25日 東京北区「北とぴあプラネタリウム」にて上演。
 3話構成のオムニバス。
第1話:「浮気」クリスマスの夜、単身赴任男がアパートに帰ってくると妻が待っていた。しかし、浮気相手の女性が現れた・・・・どうする!
第2話:「脱出」クリスマスの夜、地球-木星間観光宇宙船が航行中事故によって爆発した。かろうじて小型宇宙船で脱出したのは1組の男女と1人の女性だった。男はかつて「吸血の十字架」と恐れられた軍の特殊部隊員だった。そして女性は吸血の十字架に夫を殺された経歴があった。密室の小型宇宙船で3人は・・・
第3話:「幸せ」クリスマスの夜にあった現代版「マッチ売りの少女」

出演 久光一誠・植松由樹子・関隆敏
企画・原案 諸橋知雄・久光一誠
脚本・演出 諸橋知雄
映像 浅野豪文
音楽 LOUISD'OR
照明 田中美保子・大堀久美子
衣装 桜井亜希子
宣伝美術 久光工房・M.Factory
舞台美術 Taro's Company
舞台監督 稲田信一
制作 中島さと美・中村太郎・森田千恵
制作補 山口英人・須永まり子
制作協力 劇団Petit French Kiss・Circus Maximus
岩上琢磨・橋本秀昭

外郎売り

 1718年(享保3年)、江戸の森田座で、二代目市川団十郎が初演した。滝のような弁舌で、いい立てをしたことが評判となって、それ以降、さまざまな場で上演されてきた。

 拙者親方と申すは、お立ち合いのうちに、ご存じの方もござりましょうが、お江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎになられて、青物町をお登りへおいでなさるれば、欄干橋虎屋藤衛門只今は剃髪致して、円斉となのりまする。元朝より大晦まで、お手に入れまするこの薬は、昔からちんの国の唐人、外郎という人、わが朝へ来たり、帝へ参内の折りから、この薬を深く籠め置き、用ゆる時は一粒ずつ、冠のすき間より取りいだす。依ってその名を帝より、とうちんこうと賜る。すなわち文字には「頂き、透く、香い」とかいて「とうちんこう」と申す。只今はこの薬、殊の外世上に広まり、方々に偽看板を出し、イヤ、小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと色々に申せども、平仮名をもって「ういろう」と記せしは親方円斉ばかり。もしやお立ち合いのうちに、熱海か塔ノ沢へ湯治にお出でなさるるか、又は伊勢御参宮の折りからは、必ず門違いなされまするな。お登りならば右の方、お下りならば左側、八方が八つ棟、表が三つ棟玉堂造り、破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって、系図正しき薬でござる。

 いや最前より家名の自慢ばかり申しても、ご存じない方には、正身の胡椒の丸呑み、白河夜船、さらば一粒食べかけて、その気味合いをお目にかけましょう。先ずこの薬をかように一粒下の上にのせまして、腹内へ納めますると、イヤどうも云えぬは、胃、心、肺、肝がすこやかになりて、薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し。魚鳥、茸、麺類の食合せ、其の他、万病速効ある事神の如し。さて、この薬、第一の奇妙には、舌のまわることが、銭ゴマがはだしで逃げる。ひょっと舌がまわり出すと、矢も楯もたまらぬじゃ。

 そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。アワヤ喉、さたらな舌に、カ牙サ歯音、ハマの二つは唇の軽重、開合さわやかに、あかさたなはまやらわ、おこそとのほもよろを、一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ、盆まめ、盆米、盆ごぼう、摘蓼、摘豆、つみ山椒、書写山の社僧正、粉米のなまがみ、粉米のなまがみ、こん粉米の小生がみ、繻子ひじゅす、繻子、繻珍、親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親嘉兵衛子嘉兵衛、子嘉兵衛親嘉兵衛、古栗の木の古切り口。雨合羽か、番合羽か、貴様の脚絆も皮脚絆、我等が脚絆も皮脚絆、しっかわ袴のしっぽころびを、三針はりながにちょと縫うて、縫うてちょとぶんだせ、かわら撫子、野石竹。のら如来、のら如来、三のら如来に六のら如来。一寸先のお小仏におけつまずきゃるな、細溝にどじょにょろり。京の生鱈、奈良生学鰹、ちょと四、五貫目、お茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ茶立ちょ。青竹茶筅でお茶ちゃっと立ちゃ。

 来るわ来るわ何が来る、高野の山のおこけら小僧。狸百匹、箸百膳、天目百杯、棒八百本。武具、馬具、武具、馬具、三武具馬具、合わせて武具、馬具、六武具馬具。菊、栗、菊、栗、三菊栗、合わせて菊、栗、六菊栗。麦、ごみ、麦、ごみ、三麦ごみ、合わせて麦、ごみ、六麦ごみ。あの長押の長長刀は、誰が長長刀ぞ。向こうの胡麻がらは、荏の胡麻がらか、真胡麻がらか、あれこそほんの真胡麻殻。がらぴい、がらぴい風車、おきゃがれこぼし、おきゃがれ小法師、ゆんべもこぼして又こぼした。たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ一丁だこ、落ちたら煮て食お、煮ても焼いても食われぬものは、五徳、鉄きゅう、かな熊童子に、石熊、石持、虎熊、虎きす、中にも、東寺の羅生門には、茨木童子がうで栗五合掴んでおむしゃる、かの頼光のひざもと去らず。

 鮒、きんかん、椎茸、定めて後段な、そば切り、そうめん、うどんか、愚鈍な小新発地。小棚の、小下の、小桶に、こ味噌が、こ有るぞ、小杓子、こ持って、こすくって、こよこせ、おっと合点だ、心得たんぼの川崎、神奈川、保土ヶ谷、戸塚は、走って行けば、やいとを擦りむく、三里ばかりか、藤沢、平塚、大磯がしや、小磯の宿を七つ起きして、早天早々、相州小田原とうちんこう、隠れござらぬ貴賎群衆の花のお江戸の花ういろう、あれあの花を見てお心をおやわらぎやという。産子、這う子に至るまで、この外郎のご評判、ご存じないとは申されまいまいつぶり、角出せ、棒出せ、ぼうぼうまゆに、臼、杵、すりばち、ばちばちぐわらぐわらと、羽目を外して今日お出でのいずれも様に、上げねばならぬ、売らねばならぬと、息せい引っ張り、東方世界の薬の元締め、薬師如来も照覧あれと、ホホ敬って、ういろうは、いらっしゃりませぬか。