一目見てオオバコの仲間だろうと思った植物です。ただ全体的に白い毛が多く何かフワフワしているなと感じました。花茎の長さもまちまちで、高さの小さい株はとてもかわいらしく見えます。まるで緑色のニョロニョロです。
撮影中は植物の名前を知らず、咲いている花を撮影をしようといろいろな株にあたったのですが、どうも花らしい花が見つかりません。帰って名前を調べてみると納得、花冠がほとんど開かずにいつまでもつぼみのように見えることから「ツボミオオバコ」と名がついたそうです。
ツボミオオバコは根生した葉の間から10〜50cmの花茎を伸ばし、小さな花を穂状につけます。ただ総ての花がつぼみ状で花冠が開かないかというとそうではなく、一部の花は花冠裂片が平開します。平開タイプでは雄しべの葯が細長い花糸について花冠から飛び出します。一方花冠の開かない直立したままのタイプでは、雄しべは小さく花冠内にあって花から飛び出すようなことはありません。
ツボミオオバコはオオバコと同じよう雌しべ先熟で、まず雌しべが先に成熟し(雌性期)、その後で雄しべが成熟(雄性期)します。これによって同一の花での受粉を避けているわけです。上の花の写真は雌性期の花で、花冠の先に細長い糸状のものが見えますね。これが雌しべの柱頭です。雌性期のあと花冠が開かない直立タイプと、花冠が開く平開タイプに分かれるようです。
直立タイプと平開タイプが同じ株に混在するのか、別株として存在するのかは現地では調べませんでしたが、辞典(日本の帰化植物[平凡社])によれば両方のケースがあるそうです。ただし同一花序内に直立タイプと平開タイプが混在するかどうかまでは載っていませんでした。
なお同辞典では平開タイプは不稔花(果実が実らない花)であると紹介されています。
|