最初、この植物を見かけた時、地面の木の根が動物によってほじられているのかと見間違えました。それほど地味で、植物っぽくない花です。でも近づいてよく見ると、なにやら筒状のものの中に雄しべと雌しべらしきものが見えます。ありゃ、これは植物の花だと写真に撮った次第です。
家に帰って調べると、徳島県では珍しいキヨスミウツボという植物であることが判明しました。写真にとっておいてよかった...。
キヨスミウツボはカシ類、アジサイ類の根に寄生する寄生植物です。花期になると5〜10個の花が束になって咲きます。花冠は長い筒状で、先は2裂し唇形となり、上唇は扇状、下唇は3裂します。果実は液果です。
花には「芳香形」、「無香形」の2つのタイプとその「中間型」があるといわれています。上の花は柱頭が葯より下部にあるため「無香形」と思われます。実際に鼻を近づけても、全く匂いはありませんでした。このあたりの話は「キヨスミウツボの生活」(中西收、小林禧樹、黒崎史平著)という本に詳しいので、興味ある方は読んでみてください。
キヨスミウツボの名の由来は、千葉県清澄山で見つけられたことに由来します。また別名のオウトウカ(黄筒花)とは、花がのちに黄色(褐色)にかわることからつけられました。
2008年、この花の蕾から閉花までを追ってみました。下に写真をアップしておきます。キヨスミウツボの蕾はこんな形をしているんですね。
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