荒野の声 NO.38

イスラエルの光と闇


ジョン・コールマンさんの「ロスチャイルドの密謀」を読むと、イスラエルの建国がいかに不当なものか豊富な知識と資料によって証明されている。しかし、私は読者にもう一つのイスラエルの見方についてご報告し、賢明な読者の公平な判断を仰ぎたい。
今日、イスラエルは肥沃で繁栄した土地である。果物はヨーロッパの市場ばかりか日本にまで輸出されている。豊かであふれるばかりの穀物が生産され、ガリラヤ湖周辺では魚が盛んに養殖されている。肥沃な耕地と緑なす森は対岸のヨルダンとは対照的である。

しかし、これらの土地はユダヤ人が開墾するまでは荒廃した全く無価値の不毛の地であった。ほとんどが砂漠のような乾燥地帯で、あとはマラリヤの蔓延する湿地帯であった。そこに世界中からユダヤ人たちはやってきて、砂漠に木を植え、水を注ぎ、湿地帯を切り開いて果樹園とした。今、イスラエルにある森の木々は全て一本一本彼らが植えた苗木から育ったのである。それは血のにじむような努力の賜物であった。

一方、今、パレスチナ人と呼ばれるようになったアラブ人たちは、ほとんどこのような生産性を求めなかった。砂漠のような土地にあるやせた植物を羊や山羊に与えて放牧していただけである。これはイスラエルに行くと実に明白に分かることで、高いところから見るとイスラエルは緑、ヨルダンは茶色とはっきり色分けされている。
 
このようなイスラエルの光の部分の一方で、アメリカで驚くべき法律が制定されたという。それも2004年にすでに。以下に太田龍の時事寸評平成19年(2007年)4月2日(月)(第2006回)より転載させていただく。(書法は変更させていただいた)
http://www.pavc.ne.jp/~ryu/cgi-bin/jiji.cgi

A・C・ヒッチコック著「サタンのシナゴーク(会堂)」米国版。276頁以下。ここに、2004年10月16日。ブッシュ米大統領は、「グローバリズム・アンチ・セミティズム・ レビュー・アクト(全世界反ユダヤレビュー法)」に署名した、と。筆者の知る限り、日本のマスコミは、米国のこの法律の制定について、なんらの報道もして居ない。A・C・ヒッチコックによれば、ある人物が反ユダヤ的と見なされるための條件は、次の14項目であると言う。

(1)ユダヤ社会が政府、マスコミ、国際ビジネス世界、金融を支配して居る、との主張。
(2)強力な反ユダヤ的感情。
(3)イスラエルの指導者に対する公然たる批判。
(4)ユダヤの宗教を、タルムード、カバラと結び付けて批判すること。
(5)米国政府と米国社会が、ユダヤ=シオニストの影響下にある、との批判。
(6)ユダヤ=シオニスト社会が、グローバリズム又はニューワールドオーダーを推進している、との批判。
(7)ユダヤ指導者などをイエス・キリストのローマによる、十字架に付けての死刑の故に非難すること。
(8)ユダヤのホロコーストの犠牲者を六百万人の数字をなんらかの程度で切り下げる主張。
(9)イスラエルは人種主義的国家であるとの主張。
(10)シオニストの陰謀が存在すると主張すること。
(11)ユダヤとその指導者たちが共産主義、ロシアボルシェビキ革命を造り出した、とする主張。
(12)ユダヤ人の名誉を毀損する主張。
(13)ユダヤ人には、パレスチナを再占領する聖書に 基づく権利はない、との主張。
(14)モサドが9/11攻撃に関与したとする主張。

これは実に驚くべき「法律」ではないか。この法律を執行する任務は、米国の国務省に与えられたと言う。米国政府は、この法律にもとづいて、全世界を監視する、と。つまり、米国政府は、世界中の全人類に対して、ユダヤ=シオニスト=シオニズムを批判するいかなる人物も、犯罪人である、と宣告するわけである。更に、二〇〇四年、六月二十日。イスラエル国会は、全世界に対して、ユダヤ六百万人ホロコーストを疑問とすることを犯罪とする、との決定をしたと。大ざっぱに言えば、この米国の全世界反ユダヤ監視法のような法律から見て、「犯罪人」に充満して居る国は、ロシア、イスラム世界の或る部分と成るであろう。
これでは、言論の自由もへちまもない。 これは、オーウェルの「一九八四年」の世界そのもの、としか言いようがない、であろう。 ―以上引用終わり―

 これでは今後、イスラエル、ユダヤに関しては一切の批評、批判、科学的な分析も出来なくなる。キリスト教の大方の指導者はこの法律に何の矛盾も感じないだろう。それほど彼らは事実に疎く、真実に盲目になっている。そして“米国政府は、この法律にもとづいて、全世界を監視する”とは何事か。アメリカが世界の警察と裁判所になるというのか。そして今後、私たちも発言の機会を失うだろう。もうこれが最後になるかもしれないのだ。

 しかし、間もなく、イランに対するアメリカの攻撃を機会にロシアがアメリカを攻撃するだろう。その時、これらのもくろみは一時的に頓挫するだろう。その後、反キリストがヨーロッパに立つと私は見ているが、その反キリストがイスラエル・ユダヤに対して同じように支援者として接するかどうかは疑問である。聖書で見る限り反キリストは最終的にはイスラエルを攻撃する。サタンにとって“選民”などという思想は関係ないのだから。
ちなみにインターネットで太田氏のサイトを引くと、良く似たURLで全く関係ない内容のサイトが出てくる。これはデイヴィッド・メイヤー氏も同じである。混乱させ邪魔をするためであろうが、どこからそういう指令が出ているのだろう。日本では誰がやるのだろう。