第49話 幸せの涙が流れる時
脚本・宮崎 晃
絵コンテ・池野文雄
作画監督・小川隆雄
パンダボアヌ工場に奇跡が起こっている。
ロザリー達はそうささやきあっていました。ファブリさんがルーアンに派遣されました。ビルフランは今、工員の子供達のための保育施設の情報を集めているのでした。決して工員を省みることのなかったビルフランが、工員の葬式に出席し、福祉施設の計画を立てようとしている。マロクールの人たちは皆、ビルフランの変化に驚くのでした。
そして、その奇跡の中心、 今や工場の裏番となったペリーヌは一つの計画を立てていました。ある夜、ペリーヌはビルフランをお屋敷から連れ出します。ペリーヌはどこに行くのか一言も言いません。しかし、ビルフランは何も聞かずに付いていくのでした。
ペリーヌが向かった先は工場の女工達の下宿でした。既に女工達は皆寝静まった後。16人もの女工が詰め込まれた部屋はとても汚く、部屋に踏み入れたビルフランが気分が悪くなってしまうほどでした。そこは丁度、ペリーヌがマロクールに来てすぐ逃げ出してしまったような部屋でした。工員達の暮らしを身をもって知っているペリーヌは、ビルフランにパンダボアヌ工場の工員が日頃どんな酷い生活を強いられているのかを切々と訴えます。「工場で働く人達全部の幸せを考えて欲しい」と頼むペリーヌ。自分のことで手一杯だったビルフランは、自ら工員の生活に触れて大きなショックを受けます。ビルフランは今まで工員の暮らしている環境のことなど考えたことが無かったのです。
働くもの全ての幸せを・・・。
ビルフランは次の日から、早速行動を開始しました。会議で保育所の設立を発表し、さらに独身者のためのアパートの建設や、労働者クラブの計画をぶち挙げるのでした。それは莫大な予算がかかる計画でした。しかし、ビルフランはその費用を全部工場で負担するというのです。ビルフランはやる気まんまんです。
ビルフランのエネルギッシュな活動にペリーヌの影を感じずには入れられないテオドールは、焦りをますますつのらせます。テオドールはビルフランのところに突撃直訴。「あの娘はおじさんに悪い影響を与えすぎます!あの娘は危険です!」どうして肉親のボクより、あんなわけのわからない娘の言うことを聞くんだ!
そこにフィリップ弁護士からの電報が届きました。フィリップ先生のエドモンの娘についての調査は既にパリでの活動を終え、最終段階に入っていました。とうとう、白黒はっきりする・・・。電報の内容を知ったビルフランは期待と不安で一杯でした。一方、テオドールはフィリップ弁護士の調査が一体どういうものなのかさっぱりわかりませんでしたが、自分に関係する話と聞いて的はずれな期待を高めるのでした。
そして、フィリップ先生がマロクールに到着しました、調査の結果を持って。
フィリップ弁護士のマロクール到着の出迎えは喜色満面のテオドール自らが出陣。ビルフランのただならぬ様子を見て部屋を出ようとするペリーヌでしたが、ビルフランはペリーヌも一緒にいるように言います。おじゃま虫のテオドールも聞き耳を立てるなか、フィリップ先生の報告が始まりました。
「すっかり遅くなってしまいました。何しろ、今度の調査はパリのすみからすみまで歩き回ったものですから・・・」
「とんでもありません、フィリップ先生!・・・それで、その・・・先生、私のお願いした・・・」
「はい。パリでの調査は全部終わったんですが・・・実はまだ最後の調査が残っているんです」
「おお・・・まだ残っておるのですか!それでいつ、いつわかるのですか?」
「今すぐです、ビルフラン様」
そう言うと、フィリップ先生はペリーヌに近づきました。
「パリではパリカールに会ってきました。とても元気でしたよ」
「まあ!パリカールに!?」
「それにあの・・・男のような恰好をした女の人で・・・え〜っと・・・」
「ルクリおばさん!」
「・・・そう、ルクリさん。あの人がよろしくとのことでございました・・・・ペリーヌ様」
・・・空気が止まりました。何気ないその会話は、フィリップ先生のパリでの調査と、目の前の「オーレリイ」という少女を結びつける何よりの証拠でした。オーレリイと呼ばれた少女の正体に、遂にフィリップ先生はたどり着いたのです。
「これが私の最後の調査であります。ビルフラン様のお考え通り、こちらのお嬢様はビルフラン様のご子息、エドモン様のお子様に間違いございません。お名前はペリーヌ、ペリーヌ・パンダボアヌ様と申します」
ビルフランはソファから立ち上がっていました。
「や、やっぱりそうだったのかっ!ペリーヌ・・・ペリーヌ! いい名前だ・・・おいでペリーヌ!さあ、どこにいるのだペリーヌ!わしの所まで来てくれ!」
「さあ、早く行っておあげなさい・・・もう我慢なさる必要はないんですよ・・・・」
「・・・・・おじいさま・・・おじいさま!」
ペリーヌはおじいさんの胸に飛び込みました。とうとうその時は来たのです。2人はしっかりと抱き合いました。
「ペリーヌ、もう離さないぞ、もう二度と離さないぞ、ペリーヌ・・・・神よ、この幸せをあなたにどうやって感謝すればよいのでしょうか!」
パンダボアヌ工場に、また奇跡が起こりました。本当に大きな奇跡が。ペリーヌはおじいさんの胸の中で泣きました。ビルフランの目からも涙がとめどなく流れます。2人の流した涙は、暖かい幸せの涙でした・・・。
ま、コメントはいらないでしょ?
あらすじ読んでもらったら、それで何も言うことはない(沢田研二)
第50話 初雪が降った日
脚本・宮崎 晃
絵コンテ・池野文雄
作画監督・百瀬義行
打ちひしがれたテオドールが屋敷から去っていきます。
ペリーヌとビルフランは2人きりで、話をしていました・・・。もう、2人の間に何の壁もありません。祖父と孫として、ようやく2人は相まみえることができたのです。ビルフランは今までのペリーヌに対する仕打ちやマリお母さんに対する酷い言葉を後悔していました・・・。しかし、ペリーヌがおじいさんを責めることはありませんでした。そして、お母さんがどれだけ立派な人だったか、ビルフランに訴えるのでした。しかし、ペリーヌが話さなくとも、ビルフランにはマリお母さんがどれほど素晴らしい人かよくわかりました。何しろ、ペリーヌのような娘を育てた母親なのですから・・・。
「ペリーヌ、わしはお前を世界で一番幸せな娘にしてみせる。そうすれば天国にいるお母さんもきっと喜んでくれるだろう・・・」
雪がそぼふるなか、テオドールが一路向かった先はタルエルの屋敷でした。いつものようにテオドールを見下す態度を取る自信満々のタルエルでしたが、テオドールの話を聞いて表情が曇ります。
「パンダボアヌ工場はもう絶対君のものにはならないぞ・・・エドモンの子供が見つかったんだ」
「な・・・なんですって?そのお子さんはいまどこに?」
「・・・マロクールにいる」
「しかし、ビルフラン様はエドモン様の奥様を嫌っていたはずですから!そのお子さまだからと言って、そうあっさり自分の跡継ぎになさるとは考えられませんよ!」
「それがそうじゃないんだな・・・」
「いい加減にしてください、テオドールさん!どうしてそうじらすんです!」
「せめて、君の驚く顔を見て、自分を慰めたいのでね」
「はっきり教えてください!」
「孫の名は、ペリーヌと言うんだ。君のよく知っている娘だよ」
「私が知っているですって?」
「そう、3ヶ月も前から、我々の目の前にいたんだ!」
「は・・・・はっ!」
「そうなんだよ、オーレリイだよ!オーレリイが、ペリーヌ・パンダボアヌだったんだ!」
「あ・・・ああああ!」
しかし、そこでひるむタルエルではありません。タルエルはすかさずビルフランのもとに駆けつけ、慶びの言葉を贈ります。しかし、ビルフランはペリーヌをいじめていたタルエルを冷たくあしらうのでした。ビルフランにはタルエルの相手をしているヒマはありませんでした。タルエルやテオドールと違って、ペリーヌがなけなしの頃に親切にしてくれた人のところへ、ビルフランは向かうのでした。
ビルフラン自らの参上に騒然となるロザリーの店。しかし、ビルフランが話を始めた時の驚きはそれ以上でした。ペリーヌがエドモンの娘!ロザリーに、ロザリーの家族、何よりフランソワーズおばあさん、そして駆けつけたファブリさん、みんなペリーヌのことを心から喜んでくれました。
「ここにいるみんなはわしのかわいい孫の為に心から親切にしてくれた人達だ。みなさん、もう一度わしは心からお礼を言わせてもらいたい、ありがとう!」
乾杯をする一同。みんなペリーヌに優しくしてくれる人達でした。もしこの人達がいなかったらペリーヌの今日の幸せはなかったでしょう・・・。
前回今回とテオドールが良い味を出してます。
タルエルとテオドールのノックアウトぶりは「課長島耕作」の最終盤の様な痛快さですなっ。今まで粗末に扱っていた娘が、何とオーナーの孫! あ〜、もっとこういうシーンが見たかったなぁ。いじめてはヘコまされ、いじめてはヘコまされという天丼ネタがもっとあれば。一方、身なりや貧富に関係なく親切にしたあげたロザリー達には祝福が。そしてビルフランの「人を愛す気持ちがないといけない」という言葉。ここら辺は説話的に意義深い感じです。
しかし、負け組になりかけたところで、すかさず勝ち組の船に飛び乗ろうとするタルエルのたくましさにも感心。ビルフランにイヤミを言われようが、どこ吹く風で風見鶏。この次の回からは完全にペリーヌの太鼓持ち。ここまで保身に走れれば、むしろ立派。食いっぱぐれなさそう。すぐに頭を抱えてしまうテオドールとは強さが違いますなっ。
第51話 おじいさんの目
脚本・宮崎 晃
絵コンテ・池野文雄
作画監督・小川隆雄
立場が変わっても、何も変わらないペリーヌ。雪かきも御者も自分でやります。
しかし、 今やペリーヌは工場の跡取り。回りの者も気が気ではありません。
工場でも全く待遇が変わりました。タルエルは揉み手でペリーヌをお出迎え。ペリーヌは既に秘書ではありませんでした。ビルフランはペリーヌを工場に連れて行くことをやめ、学校に行っていないペリーヌにちゃんとした勉強をさせることにしたのです。ビルフランは工場の改革を引き続き強力に押し進めていました、ペリーヌが喜ぶような理想の工場を作る、それがビルフランの原動力になっていました。
そしてもう一つ、ビルフランには大きな望みがありました。それは自分の目でペリーヌの顔を見てみたいということでした。「どうしても、お前の顔が見たい・・・ペリーヌ!」ビルフランは今まで何度か目の手術を試みたのですが、ビルフランはのどが弱く気管支炎の発作が起こる怖れが常にあって、精密な目の手術ができないのでした。
しかし、孫が見つかった今、ビルフランは少々の危険を冒してでも目の手術に挑戦したい気持ちでした。もちろん、主治医のビション先生はネガティブです。明るい要素もありました。寒くなっていくこの時期は発作が起こりやすいのですが、今年は全く起こっていないのです。それは今のビルフランの心身の充実を示していました。しかし、それでもなお、目の手術は6:4で危ないと言うのが先生の見込みでした。成功率4割。これはビルフランを迷わせました。今は死にたくない・・・目が治っても長生きできなければ何にもならない。ビルフランは迷いました。
それでも、ビルフランは手術の決意をします。ビルフランは自分の運命にかけたのです。
手術は屋敷の一室で行われました。それは危険な手術でした。気管支の発作が起こってしまったら、手術は失敗です。悲壮な決意で手術に望むビルフラン。ペリーヌは神様に、両親に手術の成功を祈りました・・・。
ペリーヌの祈りが通じたのか、発作は起こりませんでした。手術は無事成功したのです。「ペリーヌ、お前の顔が見られるぞ、あと1週間だ、あと1週間たつとお前の顔が・・・」
おじいさんの目の病気というのはどうも白内障だった模様。白内障手術というのはもうこの頃から行われていたのか・・・なんて思っていたら手術自体はかなり前からあって、18世紀にバッハとか手術受けて失明したりしてたのですね。やっぱり怖い手術だ・・・。
白のベレー帽をかぶった姿が妙に可愛く見えるペリーヌ。何だか、正式に孫の名乗りを上げた途端に、たたずまいからも高貴さがにじみ出てきたように思うのはボクの気のせいでしょうか・・・。ほんとにセレブ感が漂い始めたペリーヌです。
その可愛い孫の喜ぶように行動をするおじいちゃん・ビルフラン。それで「おじいさま、大好き!」と言う孫・ペリーヌ。ここまではどこにでもある孫と祖父。しかし、そこで祖父がやっているのはガンプラを買うなんてもんじゃなく、工場の改革だとは。さすがにスケールが違います。
第52話 忘れられないクリスマス
脚本・宮崎 晃
絵コンテ・池野文雄
作画監督・桜井美知代
「明日には短い時間じゃが、とうとうお前の顔が見られる・・・」
「でも、おじいさま。ひょっとすると顔を見てガッカリするかも知れませんわ!」
「どうして?」
「おじいさんはどういう風に想像してらっしゃるか知りませんが、私、美人じゃありませんよ!」
「どうして?」
「ウソをつけ、みんな可愛い娘だと言っておる!」
「それはお世辞です」
巷はクリスマスです。ビルフランのワクワクが止まりません。目の手術から丁度1週間。まもなくまもなく包帯が取れるビルフランにとって、今年は素晴らしいクリスマスになりそうでした。
そのビルフランの使いとして、ペリーヌがロザリーの店にやってきました。手には山ほどのプレゼント。ビルフランは今までペリーヌの力になり、ビルフランとの出会いのきっかけになったロザリーの家族にお礼として、クリスマスの贈り物をすることにしたのでした。「みなさん、クリスマスおめでとう!」ペリーヌによるビルフランの口まねで渡されたプレゼントは素晴らしいものでした。コートにブーツ、帽子にショール。どれもステキなものばかりでした。ロザリー一家にとっても、今年は特別なクリスマスになりました。
そして、ペリーヌとって大きな支えになったファブリさんへも、ビルフランからのプレゼントがありました。それは、仕事でした。パンダボアヌ工場に新しく建つ福祉施設に関する、ビルフランからの全権依頼でした。ファブリさんは身の引き締まる思いでした。マロクールは今、理想の町へ向かって歩き始めたのです。
そして、クリスマスの日になりました。
光を遮った部屋で、ビルフランの包帯が取り替えられます。その間の数分間が、今のビルフランに許された目を使える時間です。包帯を取ったビルフランは、目の前に座ったペリーヌを探しました。長い間使ってなかった目で、しっかりと見つめたペリーヌの顔。ペリーヌの顔がはっきり見えました。
「おお・・・ペリーヌ!・・・・わしの想像していた通りの顔じゃ・・・イキイキとして、賢そうで、キリっとして!しかし、何てお前は息子に、エドモンに似ているんだ。もしわしが目が見えていたら、一目目でお前が孫だとわかったろうに!フランソワーズをのぞいては誰もその事に気付かなかったのは、よくよく間抜けな人間が多かったんだな!」
「ペリーヌお前はやっぱり美人だったじゃないか、この嘘つき!」ほんの短い時間でしたがビルフランはペリーヌの顔を見て心から感動したのです。やがて、あと2月もすれば・・・毎日かわいい孫の顔を見る事ができるようになるでしょう。
有名な話ですが、この話が放映されたのは1978年12月24日。クリスマスイブのクリスマスイブの話。
あの〜ですね。これは聞き流していただきたいんですけど、この話とか見てると、時々ペリーヌとビルフランが孫と祖父というより、夫婦みたいに見える瞬間があるんですよね〜。これはボクが病気なんでしょうか?そもそも、ペリーヌはマロクールに来てからおじいさんしか頭にないんですよね〜、その上ペリーヌを守るのも全部ビルフランがやっているから、ペリーヌの心もずっとビルフランから離れない。だから、相手役の権利があるファブリさんがどうにも影が薄くて。せっかくファブリさんも原作の有象無象状態から相手役っぽいところに出世したんだから、もそっと頑張って欲しいですよ。ペリーヌの新しい服装を見物に駆けつけるだけじゃなくって、もっとペリーヌに頼りにされるようになってください〜。
そういえば、ペリーヌってもう写真撮らないのかな?おじいさんの写真を撮ってあげたらいいのに。
第53話 春の訪れ
脚本・宮崎 晃
絵コンテ・池野文雄
作画監督・小川隆雄
ビルフランの目は順調に能力を取り戻していました。まだ外出こそできませんが、メガネをかけたビルフランはもう普通の人と変わらないほどにものが見えるようになっていたのです。
季節は春になりました・・・。
マロクールでは式典が開かれました。冬の間工事が難航していた保育園が遂に完成したのです。「こんな立派な保育所を持った工場はフランス中どこを探してもない!」と胸を張るタルエルの紹介で、ペリーヌが壇上に立って挨拶をします。暖かい拍手に迎えられたペリーヌは、ファブリさんや技師、作業員達にお礼の言葉を述べ、こう締めくくりました。
「おじいさまには感謝する必要はありません!だって当然のことですから!」
ペリーヌが来て、マロクールはまるで様子が変わりました。ビルフランの心を溶かし、街を変え・・・あの厳格なタルエルや、意地の悪いテオドールでさえ、今やペリーヌのシンパになり始めていました。
そんな新しいマロクールをビルフランが自分の目で確かめる日がやってきました。遂に、外出できるまでになったビルフラン。ビルフランにとっては、全てが新鮮な世界です。ビルフランは早速、ペリーヌの案内でマロクールの街を見て回ることにします。
今日のためにビルフランは、一つペリーヌに贈り物を用意していました。ペリーヌが馬車を出そうと外に出ると、既に馬車は用意されていました。そして、その馬車をひいていたのは・・・あのパリカールだったのです。ペリーヌのために、ビルフランがルクリおばさんから、懐かしいロバを買い上げていたのです。
大喜びのペリーヌとビルフランはペリカールにひかれて出発しました。ビルフランが真っ先にペリーヌに向かってもらった先・・・それは完成したばかりの保育園でも工場でもありませんでした。それはペリーヌが過ごした池のほとりの小屋でした。ビルフランはペリーヌが話した小屋での生活、そのたくましさ、その意志の強さを知った時から、ペリーヌのことが大好きだったのです。そして、その娘が自分の孫だった・・・それは、ビルフランにとって考えられないほどに幸せな出来事でした。
マロクールを一回りした後、ビルフランとペリーヌは街を見下ろす高台にやってきました。
「わしは昔ここに立って決意した事があった・・・・パンダボアヌ工場をフランス一の工場にしてみせると。そして今また新しい決意をしなければならない。それはこのマロクールをフランスで一番豊かで住みよい所にすること!」
「そうよ、そうだわ。頑張りましょう、おじいさま!」
「頑張ろう、ペリーヌ!」
そして、ペリーヌはお父さんやお母さんに向かって叫びました。
「お父さん、お母さん、私、幸せよ!安心して下さい!」
ペリーヌはビルフランをダンスに誘いました。嫌がるビルフランの手をとり、踊り始めるペリーヌの顔は幸せにほころんでいました。こんな日がやって来るなんて夢のような気持ちでした。長い苦労を重ね、とうとう、ペリーヌは幸せになったのです。おじいさんとその孫は、マロクールを見下ろす場所で、いつまでも踊り続けるのでした・・・。
いやー爽快な終わり方ですねぇ。ハッピーエンドにもほどがある、というぐらいハッピーです。
最終回と言いながら、完全に後日談的な話で安心してみられます。あらすじでは省略してしまいましたが、マルセルも登場。タルエルやテオドールまでも白旗を上げて、マロクール中がペリーヌ側の人間で埋め尽くされます。これ以上ないという結末。しかし、ファブリだけじゃなくてタルエル達にももっと頑張ってもらいたかった。 こいつらがもっと悪辣であったら、この最終回での感慨は更に更に素晴らしかったかも・・・。ま、この2人じゃあ、ここまでが精一杯かぁ・・・ペリーヌを誘拐するぐらいの大技を繰り出せるなら一人前の悪役だったろうけど、 テオドールなんか、結局グチをたれていただけだもんなぁ。
最後はナレーションで名劇らしく終了。作品を通じてのテーマも明確にしめされます。曰く、「自分の幸せだけでなく、他人(ひと)の幸せをも同時に考えられる人になってくださいね」情けは人のためならず。人から愛されるためにはまず人を愛さなくては。いや〜、自分のことで手一杯のこの不況時代には耳の痛い言葉ですね・・・。それどころか、自分の不幸を他人の不幸で補う世の中。ペリーヌー!助けてくれー!!